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ドリトル先生と森の狼達

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第三幕その八

「何でも大量に食べるんだったね」
「ああ、北の方の」
「あっちの鹿さん達はね」
「僕達とはまた違う群れだけれどね」
「北は北でね」
 南、即ちこちらはこちらだというのです。
「けれどあっちの鹿さん達も食べるみたいだね」
「元々食べるものが一杯あるみたいだけれど」
「紙でも人のお弁当でも何でも食べて」
「凄いんだよね」
「そうらしいね、とにかくあればあるだけ食べる位らしいから」
 先生もしみじみとして言うのでした、ニホンジカの食べる量について。
「君達もだね」
「僕達たっぷりと食べないと駄目なんだ」
「これがね」
「草だけじゃ足りないと」
「木の皮も食べないとね」
「それこそね」
 生きていけないというのです、どんな生きものも食べないと生きていけません、それでこの鹿さん達もなのです。
「とにかく食べていたよ」
「何でもかんでもね」
「数が多くても食べないとね」
「僕達が生きていけないから」
 こう先生にお話するのでした。
「いや、本当にね」
「だから食べていたけれど」
「森がそれでね」
「大変なことになっていたんだよね」
「そうなっていたのは確かだね」
 鹿さん達もこのことは申し訳なく思うのでした。
「森の皆にも迷惑かけたし」
「森を荒らしてしまって」
「そうなっていたからね」
「仲間の数が減ったのは残念だけれど」
「仕方ないね」 
 狩られたことはです、鹿さん達も受け入れています。
「森全体の為にはね」
「このことはね」
「仕方ないね」
「そうなんだよね、まあそれを言ったら人はどうなるかともなるけれど」
 先生は人間も他の動物達も同じだと考えているのでこうも思うのでした。
「けれどそれでもね」
「森全体を守る為には」
「僕達の数が減ってもね」
「仕方ないんだね」
「数が減ることも」
「そうなんだよね、まあ君達も納得してくれているのなら」
 それならなのでした、先生も。
「いいよ」
「うん、じゃあね」
「そういうことでね」
「僕達自体は普通にね」
「仲良く暮らしてるから」
「幸せにね」
「だといいよ、それでだけれど」
 先生は鹿さん達が自分達のことを納得しているのを受けてでした、それからあらためて質問をしました。
「君達は村の人達に狩りを受けたよね」
「うん、熊さん達からもね」
「まあ熊さん達は前からだけれど」
「ただ。森の奥の方はね」
「凄く減ったよ」
 その鹿さん達はというのです。
「ここからずっとずっと奥に入った」
「もう山を幾つも越えたね」
「そこの辺りはね」
「僕達の仲間の数減ってるよ」
「相当にね」
「村の人達がそこまで入ったのかな」
 先生はお話を聞いてまずはこう思いました。
「それでかな」
「ううん、それはね」
「何ていうのかな」
「あの辺りは僕達の縄張りじゃないから」
「あまり詳しい事情は聞かないけれどね」
「誰かいるみたいだよ」
 微妙なお顔になってです、鹿さん達は先生にお話しました。
「観た生きもの少ないけれど」
「誰かいるみたいだよ」
「その誰かがどういった生きものなのか知らないけれど」
「それでもね」
「いるみたいだよ」
 こうお話するのでした、ですが。
 先生は鹿さんたちのその言葉を聞いてでした、首を傾げさせて言うのでした。 
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