モンスターハンター ―蒼翼の荒鷲―
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初めての狩り
俺が父さんと母さんを失った日から既に3年が経った。
あの日俺を救ってくれたハンターの名前を俺はまだ知らない。でもハンターとしてやっていけばいつかあの人のことを知る日が来るだろう。
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俺は今、ユクモ村から最も近い狩り場[渓流]に来ている。
背中には太刀[ユクモノ太刀]を背負い、防具としてユクモ村の初心者用のものである[ユクモノシリーズ]を纏っている姿は誰がどう見ても新人ハンターのものだ。
今日が俺の初めての狩り、内容は[ジャギィ5体の討伐]だ。
小型の鳥竜種であるジャギィはこの地方ではよく見られる種類で、今回のクエストでは増えすぎたジャギィを討伐して間引きしてほしいとのことだった。5体というのは様子見の意味合いが強い。
ベースキャンプで一度ユクモノ太刀を鞘から抜き、刀身を見る。美しい波紋を持つ鉄の刃には刃こぼれは見当たらず、砥石で研ぐ必要性はなさそうだ。
太刀を鞘にしまい、ポーチの中を確認する。中には回服薬が10個と採掘用のピッケルが5個、虫取り網が5個、砥石が7個、折り畳まれた肉焼きセットがそれぞれ入っていた。
支給品ボックスには応急薬と携帯食糧が各3個と携帯砥石が2個、あとはガンナー用の弾やビンが入っている。その中から応急薬、携帯食糧、携帯砥石を取り出してポーチに押し込み、俺はベースキャンプから駆け出した。
ベースキャンプと隣接するエリア[エリア1]は狭く、所謂大型、中型と呼ばれるようなモンスターは出現しない。今も3羽のガーグァがのんびりと水草を食べているだけだ。
このガーグァ、肉は旨く、肉焼きセットで[こんがり肉]にすれば腹持ちの良い食糧になる。ハンターになったばかりの俺には肉のストックなどないので彼らには悪いが狩らせてもらうことにした。ちなみにこういった狩猟で狩られる狩猟対象外モンスターのことも考慮して依頼は出されるので彼らを狩っても咎められない。
俺はユクモノ太刀を背中の鞘から抜き放ち、ガーグァに降り下ろす。遠心力を伴う鉄の刃はガーグァの肉体をいとも容易く切り裂き、そして絶命させた。
仲間を狩られパニックに陥る他の2匹に俺は太刀を振りかぶり、そして切り裂く。
目の前には3匹のガーグァの死骸、俺は彼らの命に感謝しながら剥ぎ取り用ナイフを突き立て、[生肉]を剥ぎ取った。
続いて肉焼きセットを組み立て、剥ぎ取ったばかりの新鮮な生肉を火で炙る。肉焼きセットの火はかなり出力が高く、僅か数秒で生肉をこんがり肉に仕立てあげていった。
こんがり肉の1つに塩を振り掛け
「いただきます」
こんがり肉に齧り付く。口の中に旨みたっぷりの肉と油の風味が広がり食欲を助長する。こんがり肉を食べきるのに時間は掛からなかった。
他のこんがり肉にも塩をかけておき、食べたい時に暖めてすぐ食べられるようにしてからポーチにしまう。
そして俺はエリア1をあとにした。
かつて、人間の集落があったと思われる建物がいくつか散見される広いエリア[エリア4]。エリア内には牙獣種の[ブルファンゴ]が 3体ほど見つけられた。狩猟対象外で、特に必要な素材もないので今回は無視し、左側あるひび割れまで走る。
ひび割れは採掘ポイントであり、鉄鉱石などの鉱物が取れる。鉄鉱石は太刀の強化に必要なのでピッケルを取り出して採掘を始めた。
取れたのは鉄鉱石5個と石ころ3個。これ以上は何も取れそうにない。
続いて倒木に跨がり、剥ぎ取り用ナイフで木を剥ぎ取る。ユクモノ木と呼ばれるこの素材も太刀の強化に必要なものだ。ただ、この素材で強化する太刀はいまのところ作る予定はない。
5片ほど取れた木材を先ほどの鉱物と一緒にポーチにしまい、次のエリアに向かった。
狭い岩場にあるエリア[エリア2]、地面には肉食系のモンスターが食べたものと思われる無数の骨とハエの集る一匹のガーグァの死骸が落ちていた。
見渡すと狩猟対象のジャギィが2匹いる。まだこちらには気付いていないみたいだ。
俺は1匹に駆け寄り、太刀を引き抜いてそのまま降り下ろす。ジャギィは血を吹き上げながら怯む。そこにすかさず突きをねじ込むとジャギィは絶命した。
それに気付いた2匹目がこちらに向かってくる。奴に噛みつかれる前に俺は再び太刀を降り下ろし、切り払う。これで2匹目も絶命した。
仕留めた2匹の内、先に仕留めた方から剥ぎ取りを始める。小型の鳥竜種は死後に特殊な分泌液を吹き出し、肉体がすぐに腐敗して素材が使い物にならなくなるからだ。
そして2匹からジャギィの皮を得て、俺はこのエリアの採掘ポイントに向かった。
ピッケルを降り下ろすこと6回、鉄鉱石3個、マカライト鉱石3個という大収穫を得た。マカライト鉱石は更なる強化に使うのだ。
続いて、落ちている骨の内、使えそうなものをいくらか拝借する。これらは棒状の骨としてピッケルなどの材料として需要がある。
最後に朽ち木からアオキノコを4つほど採取し、エリアを出た。
滝から流れる浅い川が美しい[エリア6]、ここにも狩猟対象のジャギィが2匹いた。
向かってくる2匹にまず突きを浴びせる。これで2匹は怯んだ。そこに右移動斬りで纏めて2匹を切り裂き、仕留める。そして先ほど同様に素早く2匹から剥ぎ取りを済ませた。得られたのは皮と牙を1つずつだ。
ここにも採掘ポイントがある。ここはマカライト鉱石が取れやすいと聞いている。
ピッケルを握り、降り下ろせば青く輝くマカライト鉱石がひび割れからこぼれ落ちてくる。話は本当のようだ。
こうしてマカライト鉱石4個、鉄鉱石1個、それと精算アイテムである花香石のかけらが2つ手に入った。
そして俺は次のエリアに向かう。
巨木の切り株やいくつもの木々が立ち並ぶ森林[エリア5]
ここには狩猟対象のジャギィはおらず、ブルファンゴが2匹いるだけだった。
見回すとある一本の木に大きな蜂の巣があり、その根本には滴ったハチミツが水溜まりを作っていた。ハチミツは回服薬グレートなど狩猟生活に欠かせないものであり、見つけたら採取するのがハンターの基本の1つとされる。
俺はその木に駆け寄り、ハチミツを専用の小瓶に入れる。手に入ったのは小瓶5本分だ。
もうここには用はないか。
俺は元来た道を引き返しエリア6に戻った。
エリア6からエリア5に向かう道の近くにはもう1つ、別のエリアに向かう道がある。俺はその道へ走った。
ススキが生い茂り、ごく浅い湿原となっているエリア[エリア7]、ここには虫が取れる採取ポイントがある。
エリア内のモンスターはガーグァ2匹だけ。そういえばそろそろ小腹が空いてきたな。
ポーチにはこんがり肉の他、支給品の携帯食糧も入っている。俺は携帯食糧の包を剥いで齧り付く。
噂には聞いてたがパサパサして水分なしでは厳しくな。
ぶら下げた水筒の水を飲みながら俺は携帯食糧を完食した。
小腹を満たしたところで虫取り網を取り出して採取を始める。取れたのは閃光玉の材料になる光蟲が3匹、武具の素材になるキラビートルが2匹と中々の収穫だ。
このエリアですることはもうないので次のエリアに向かった。
かつて人が住んでいたことを思わせる社のような遺跡がある[エリア9]、ここでも虫が取れる他、ユクモノ木も採取できる。
まず近場のユクモノ木から採取する。1つだけ虫の死骸が取れたが、ユクモノ木を5つ採取できた。
続いて虫取り網で虫をとる。釣り餌になる釣りバッタと釣りフィーバエが各3匹取れた他、キラビートルが2匹取れた。かなりの収穫だろう。
そして社に作られた蜂の巣からハチミツ5個とツチハチノコ1匹を採取して次のエリアに向かった。
鍾乳洞の中にあるエリア[エリア8]、ここは飛竜種が巣として使うことで有名だ。幸い、今は飛竜はいないが。
このエリアにもジャギィが2匹いた。片方を倒せばクエストは終わりだが、帰るのに邪魔になるからもう1匹も狩ってもおこう。
太刀を鞘から引き抜きながら一方に駆け寄り降り下ろす。続いて左移動斬りで攻撃しながらもうとの距離を詰めた。そしてすぐに体勢を立て直して残った一方に突き、切り上げの2連撃を叩き込み仕留めた。
これでクエストは終了。倒したジャギィから素材を剥ぎ取ったら迎えがくるのを待つだけだ。
だが迎えがくるには少し時間がかかる。エリア内を見回すと採掘ポイントがあった。
その採掘ポイントにピッケルを降り下ろし、鉱石を採取する。ここでもマカライト鉱石が4個取れ、さらに花香石のかけらも2個手に入った。
そうしている内に迎えが到着したみたいだ。
俺は迎えのいるベースキャンプに駆け出した。
後書き
実際のハンター生活ってこんな感じかなっていうフロム脳という名の妄想で書きました。
とりあえず携帯食糧は氷上版、小型鳥竜種の腐敗はゆうきりん版を参考に描写しました。実際の携帯食糧ってどんな感じなんでしょうね。
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