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ソードアート・オンライン ーEverlasting oathー

作者:ゆぅ駄狼
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フェアリィ・ダンス ー伝えたい言葉、伝わらない想いー
  Eighteen episode 過去の後悔

 
前書き
ある日、仮想世界ゲームによる事件が起きた。

ゲームのタイトルは"ソードアート・オンライン"

日本全ての人を魅了するとともに恐怖を与えた。

その世界を作り出した天才。ーーー茅場晶彦

茅場晶彦はヒースクリフという名前を使い、ゲームの中でプレイヤー達と共に戦い、監視をした。

だが、ある日にヒースクリフの正体を暴いた人間がいた。

黒の剣士、キリト

閃光、アスナ

ーーーーーー

光の勇者、ユウヤ

この四人はソードアート・オンラインに縛られた人間全てを解放することに成功した。

光の勇者と呼ばれたユウヤは本来、存在してはいけない神の槍、神聖槍を握り、愛する人を引き換えにヒースクリフである茅場晶彦を倒した。

勇者は愛する人の願いを叶え、勇者自身も茅場晶彦と消滅し、物語は終わった。


ーーーーと思われていた。



















ーーーーーーーユウヤ…………会いたい…………









 

 



「俺はここにいるぞぉぉぉおおおおおお!!!!」


ガヤガヤ……ガヤガヤ…………


「おい、ユウヤ………?」


「あれっ?」


「コラァ!そこ!静かにせんか!!」


俺は周りを見渡した。
周りには机があり、数々の同級生達や大人がいた。
目の前には黒板があり、黒板の前には大人が立っていて何やら先生の真似事をしている。


「あれ……ここは?」


「はぁ?学校だよ。☆学・校☆」


どうやら俺は学校にいるらしい。
だが、何故学校にいるのかが理解できていなかった。


「優也君と照君は後で職員室に来るように!」


「俺もかよっ!!」


俺の隣の席にいる照という少年は立ち上がり唖然としていた。
数秒すると頭を抱えながら机に伏せだした。


「優也のせいだぞ………」


「え……」


「てか、お前大丈夫か?突然立ち上がって"俺はここにいるぞ"とか言い出したけどさ」


「ああ……大丈夫だよ」


「まぁ、昨日退院したばっかなんだろ?しょうがないって!お前があの世界を終わらせて三週間はずっと眠ってたらしいからな。お前は有名なんだぞ〜?光の勇者、ユウヤってな!」


「…………………」


そうだ。
思い出した。
俺は茅場晶彦の作り出した仮想世界、ソードアート・オンラインで茅場と戦い、半分同士討ち的な感じで奴を倒すことができた。
だが、茅場を倒した後は俺の脳は焼き切られる事は無く何故か生き延びることができた。
俺が生きているのは一人の少女が守ってくれたからなのだろうか。

………そんな筈はないか。


「とゆーかお前、俺を覚えてるかー?昨日、学校の中を案内した藤林照だぞ〜〜」


「………あ、思い出した」


「忘れてたんかい、こんちきしょう」


「ごめんごめん。つーか、何か不思議な感じだよな、この学校に通っているのが教師以外全員SAO帰還者なんだろ?」


俺のいる学校は少しだけ不思議な学校だった。
通っている生徒は全員SAO帰還者で構成されているし、即席で作った学校らしく先生もちゃんとしたのはいるが殆どが素人だ。
何でもこのSAO帰還者学校は日本に二つ作られているらしい。


「お前はこの学校じゃ人気者なんだぜ?光の勇者さん!」


「俺は勇者でも何でもないよ。皆を救ったのは別の人なんだ……」


「やれやれ………謙虚だし、イケメンだし、おまけに優男と来たら………お前、色々な女の子に目ぇかけられてるんだぜ?」


照はそう言うとニヤニヤした。
俺は興味なさそうに鼻で笑うと黒板の方を見た。

……あと二分で授業の終わりを知らせるチャイムがなるか………喉乾いたし飲み物でも買ってくるかな


俺が心の中でそう呟いていると照は俺の耳でそっと囁いた。


「旦那、購買とか行こうとしてるみたいだけどこの後に先生の愛の説教が待ってるの忘れてないか?」


俺は無言で落ち込んだ。


















二階 職員室前 ーーー廊下ーーー



「全くよー………長いだろ説教がさー」


照はそう言いながらジト目で俺を見て来た。
その目を見ると俺は苦笑いした。


「悪かったって、購買で奢ってやるからよ」


「太っ腹っー!」


「やれやれ……ほら、ボサっとしてないでいくぞー」


「あいあいさーーー!」


そう言って俺と照は購買へと向かった。
二階にある職員室から購買はそんなに遠くはない。
徒歩でちょっと歩いて階段を降りればすぐだ。


「そういやさ、優也ってあの世界を終わらせた張本人なんだよな?最後はどんな感じだった?」


「……どうだっていいだろ。ならお前はあの世界でどんな事やってたんだよ」


「んー、ギルド活動かなー」


「へぇ………結構人がいたのか?」


「いんやぁ…俺一人」


「一人?そらまた何で?」


「……………お、優也、気付いたら購買の前についてるじゃないか!」


「ん?あぁ、本当だ」


俺と照は気付けば購買の前についていた。
だが、少しだけ不思議に思った………というよりは違和感を覚えた。
何故だか分からないが照が話をはぐらかした様に思えた。

ただの考えすぎかな………

そう思いながら俺は財布を取り出した。
財布の中には野口英世さんが四枚に五百円玉が三枚、一円玉が六枚と言った所だ。
購買のおばちゃんは財布を確認する俺を優しく微笑んでいた。


「おばちゃん、レタスサンドに焼きそばパン、それとファンタグレープで頂戴」


「レタスサンドに焼きそばパン、ファンタグレープだねぇ……」


おばちゃんは俺が頼んだ品物を忘れない様に何回も呟きながら後ろの巨大冷蔵庫や棚から品物を取ってきた。
代金の合計である四百九十円を支払い、受け取った。
俺は照にも奢ってやることを忘れてはいなかったから照に何を食べたいか聞こうと照を見ると物凄く悩んでいた。
頭を掻きむしったり、腕を組んで品物と睨めっこしたりしていた。


「何やってんだお前」


「クッソぅ………」


「何に悩んでるんだ?」


「いやさ、あのね、ちょっとど忘れしちまって」


「また急だな」


「ああ………なぁ優也」


「なんだよ、選ぶなら早くしろよ」


「バナナっておやつにふく「おばさん、ミルミル一つ頂戴」まれって、ハァ!?え?おい!なんだよミルミルってそんなもん食べたことも飲んだこともないぞ!」


俺がミルミルを頼むとおばちゃんは微笑みながら紙パックを一つ取ってきた。
それは物凄く内容量が少なかった。
ヤクルト並みに少なかったし小さかった。
紙パックにミルミルと書かれた飲み物、これは俺も飲んだ事が無かった。
俺はミルミルの料金も支払い、照と一緒に購買を後にした。
照にミルミルを飛ばし渡すと照は唖然していた。


「んだよミルミルって………ミルミルミルミルミルミルミルミルミルミル………あ、乳酸菌いい感じ」


「どうだ?美味しいか?」


「ミルミルが口にミルミル広がってミルミルミルミルミルミルミルミルミルミル……………」


「もういいよ……」


「けど、こいつめっちゃ美味しい。乳酸菌ひゃっほい………これから何処行くんだ?」


「屋上かな」


「屋上かー!漫画とかアニメっぽいな!いいねぇ青春青春!」


「お前のキャラが全く読めないな」


「んじゃぁ………勝負するか!」


「何の?」


「どっちが先に屋上に着くかだよ!!」


照はそう言うと俺の焼きそばパンを奪って屋上に向かって走り出した。
突然焼きそばパンを奪われたせいで他に持っていたレタスサンドとファンタグレープを床に落としてしまった。


「お前が俺より遅かったらこの焼きそばパン食ってやるからなぁ〜!」


「……………レタス……は………」


俺は狂いそうになった。
途轍もない怒りと悲しみがこみ上げてきた。


「レタスサンドは落としても封を開けてないからいいが…………俺のファンタをどうしてくれるんじゃぁぁぁぁぁぁああああああ!!!!!!!」


「怖っ!!くんじゃねぇ!!来ないでください!怖いっす!!!」


俺は涙を流しながらキレた顔で照を追いかけた。

我が魂はレタス。

我が血筋はファンタ。

我が身は焼きそばパン。

その全ては俺のものじゃあぁぁぁあああああ!!!!


俺は全力疾走で階段を駆け上がった。

この学校は四階建て………屋上までは残り三階半。
悪いが………………










本気で行かせてもらうぜ!!!!!









俺は階段を蹴り、ジャンプをした。
そして階段に設置されている手すりの上に乗り、一気に足を回転させ、凄まじい速さで登って行った。


「ハァァァアアアア!?なんだそれ!?チートかよ!」


「チートで結構、悪いが勝つのは俺だぁぁぁああああ!!!!!」


「うぉぉおおおおおお!!!負けらんねぇ!!ミルミルの為に!俺自身の為に!!」


「俺だって負けらんねぇんだよ!焼きそばパンの為に!俺自身の…………為……………に………」









ーーーーーーボクの為に生きてね。








俺は足の動きを遅くし始めた。
いや、自分から遅くしたのでは無く、勝手に足が止まってきたのだ。
照は屋上に入る扉を開け、屋上に入っていった。俺は手すりから降り、開かれた扉の前で突っ立っていた。


「もう………いねぇんだよ………」


俺は拳を握り、歯を食いしばった。


「あいつは死んだんだよ………分かれよ俺………クソが……もう少し早くヒースクリフを倒していれば…………俺だけ助かる事は無かったんだ………あいつも一緒にこの世界に戻る事が出来たんだ………」


「おい?なした…………顔色悪いぞ?」


「……………大丈夫だよ」


「………ソードアート・オンラインの中での事か?」


「なんでそう思う………?」


「此処に通っている生徒が悩んでたり悲しんでる時はソードアート・オンラインの中で何か後悔を残して来てる、そんな奴らばっかだからだよ」


「お前も後悔してる事があるのか?」


「………まぁ、此処ではなんだ、取り敢えず屋上に入ろうぜ」


照は背後にある扉の開かれた先に広がる屋上に親指を向けて苦し紛れの笑顔でそう言った。
















俺と照は屋上の床に座りながら購買で買ったものを食べていた。


「ふぅ………食った食った、焼きそばパンご馳走さんな」


「結果的に俺が負けたからな」


俺は床に置かれたファンタを手に取り、口に含んだ。
照は俺がファンタを飲んで一息つくのを見ると口を開き、話し始めた。


「…………俺は人を殺したんだ」


「人を……殺した?」


「現実世界じゃない、仮想世界のソードアート・オンライン内で、だよ。あの世界では絶対的なルールが一つあった。HPが0になり、消滅すると現実世界でも肉体は死に至る。俺は沢山の人を消滅させたんだよ」


「何でそんな事をしたんだ………?」


「…………俺が最初に殺した人は誰か分かるか?」


「………友達か」


「確かに友達だった。けど、俺にとっては友達以上に価値ある昔からずっと一緒だった幼馴染の女の子だった」


「てめぇ!!!!」


俺は照の胸ぐらを付かんで屋上の扉に叩きつけた。
とても気分が悪かった。
友達以上に価値ある女の子、それは"好き"という事を意味している。
好きだった女の子を殺した男を見て腹が立った。
今すぐにでもぶん殴りたかった。


「最初に殺したのが女の子だった?自分の手で殺したって言うのかよ!!!っざっけんじゃねぇぞこら!!!!」


「………………!」


俺が怒号をかますと照は俺の胸ぐらを掴み返して来た。


「俺だって………俺だって"見殺し"にしたく無かったんだよ!!!!俺はあいつと………"鈴菜"と一緒にいたかった………!」


そう言うと照は胸ぐらを掴んでいた手の力を抜いていった。
膝をついて涙を流していた。


「…………何があったんだ?」


「……………………俺のレベルが43の時、第31層のルイス・フェルトの街にいた時の話だよ」
















第31層 ーーールイス・フェルト 市街ーーー


俺、照のプレイヤー名はテル。両手剣使い。
人生初のMMORPGがこのソードアート・オンラインだった。
本当は本名よりは偽名を使った方が良いらしいが俺はこの名前が好きだったからプレイヤー名にそのまま付けた。
この31層は凄く暑い。
街の周りを砂漠で囲んでいるだけあって中々に暑い。
現実世界の事をこうもリアルに仮想世界で表現出来るなんて……凄いと思った。
俺は砂漠の真ん中にある街、ルイス・フェルトの中を歩き回っていた。
この街はもう一つ特殊な事があった。
最初から作られていた街では無く、一人のプレイヤーが鍛冶屋スキルで何でも作れるなら街も作れるんじゃないかという理由でメンバーを集め、作り出した仮想世界で唯一のプレイヤー達が作り出した街だ。
その為、破壊不能オブジェクトは無く、民家を攻撃すれば破壊出来るという欠点付きだ。
だが、中々にロマンがある。


「ねぇテル!これから街を少し出た先の砂漠でレベル上げしようよ!」


「あっちぃ……あっちぃ……デロンデロンにぱっぱらぱー………」


「聞いてる?」


俺の横を一緒に歩いている女の子の名前は"スズナ"本名は佐藤鈴菜、俺の昔からの幼馴染。
成績優秀、天才、父親がレクトだかなんだかの会社のお偉いさんだとか。
成績クソ、底辺、親は離婚で俺は一人暮らし。
なんで一緒にいるのかが理解出来なかった。
だけどーーー


「ねぇーって!」


「満更でもないんだよなぁこれが………」


「んーっ」


スズナは俺の横から腕を組んで顔を近づけて来た。

………俺はこいつが好きだ。
馬鹿な俺でも自分の気持ち位は分かる。


「うっせーな、あっち行ってろバーカ」


「いっつもそう言う事言って構ってくれるもんね」


「だぁーーーーっうるせぇな!後で行ってやるから!!!」


「ふふっやっぱり♪」


可愛い笑顔をして喜んでいるスズナを見て俺は照れてそっぽを向いた。








本当に幸せだったなぁ…………
この後、すぐに悲劇は起きた。
俺がソードアート・オンラインの殺人の世界でCartain death 《確実な死》と呼ばれる初めの一歩だ。






歩いていると路地裏から男性プレイヤーが四人、俺達の目の前に出てきた。
そいつらは武器をちらつかせると不気味な笑みを浮かべていた。


「ククク………アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!!!」


「よぉ……おっ?女を連れてるじゃねぇか………ククク………」


「どうしやすか………ネぇ兄貴よぉ?」


「あぁ?女と金を置いて行ってもらうしかぁねぇじゃねぇかよぉ!!」


………やべぇのにあっちまったな………プレイヤーキラー………盗賊か。



「悪りぃ俺達ちょっと急いでんだわ」


「貴方達………なんなの?」


スズナがそう言うと兄貴と呼ばれているリーダー格の男が前に出てきた。


「俺達はギルド……って訳じゃないが、こうやってお前らみたいな雑魚から装備品を奪ってんだよ。装備を置いて行かなかったら………分かるよな?ついでに女も置いて行きな」


「何言ってんだ?てめぇに渡す物なんかねぇよ、ファックってな!」


俺は中指を立てて男に言った。
すると男は眉をピクッと動かし、右腕を挙げた。


「ぶっ殺せ」


「「「了解」」」


「あー………怖えーなぁ……」


「大丈夫なの……?テル………」


「………大丈夫に決まってるだろ」


と言ってもぶっちゃけ余裕がない。
相手の装備を見るからにして32層で取れるものばかりだ。
推定レベル30〜35と考えればいいか。
に、対して。
レベル43の俺とレベル31のスズナ。
スズナが危ないからいつも置いてけぼりにしてたのが裏目に出た。


「さーーーーーーーって………と」


「ひゃい!?」


「全力ダッシュだ!」


俺はスズナの手を取り、握り締めると全力で盗賊がいる方向とは逆の方向に走っていった。
盗賊も獲物を逃がすまいと全力で追いかけて来た。












ーーーハァ………ハァ………ハァ………


追いかけっこをして10分位だろうか。
それ位経った。
俺とスズナは砂漠の中心とは言わないが、砂漠の中にある洞窟に逃げ込んだ。


「大丈夫か……ハァ………スズナ………」


「うん…………ありがと………」


「全く……面倒なことになったな」


「…………!」


ズサ………ズサズサズサ…………!


洞窟の外から誰かが近づいてくる足音がした。
それも数人だ。


「クッソ………」


「………私が行くよ」


「は?」


スズナはそう言うと洞窟の外に向かって走り出した。
スズナは此処に二人居ても殺されてしまう、そう思い、囮になろうと言うのだ。
だが、そんな事をしても無駄だ。
ろくに戦闘をしたことのないスズナが四人の盗賊に突っ込んでいったって危険な目に会うだけだ。


「行くんじゃねぇぇえええ!!」


俺が叫びながらスズナの手を握ろうとしたが、掴めなかった。
スズナはそのまま洞窟の外へ走っていった。
俺はすぐに追いかけようとした。


「な……んだ……これ………」


俺は動けなかった。
自分のHPバーを見ると目を疑った。


「麻………痺…………毒?」


自分のHPバーを見ると間違いなく麻痺のアイコンが表示されていた。
右肩から赤いエフェクトが出ている事に気づいて見て見るとナイフが刺さっていた。
誰が刺したのかは薄々気付いていた。
走り去って行くスズナの頭の上のアイコンを見るとオレンジ色になっていた。
スズナは昔から誰にも迷惑をかけたがらない性格だった。このソードアート・オンラインでは迷惑にならない様にサポートに徹していた。
その為、使用していたのは麻痺投げナイフなどの投剣スキルだ。











「馬鹿やろぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!」












俺が動ける様になったのは十数分後だった。
洞窟を出ると皮肉にも空は曇り、雨が降っていた。
雨はまだ降ったばかりで洞窟の外からスズナと盗賊達の足跡が続いていた。
足跡は砂漠の中へと続いていた。
足跡の原点に辿りつくとそこは崖だった。
俺が目撃したのは最悪の瞬間だった。
盗賊の中の一人がスズナを崖から突き落としたのだ。



ーーーおっと………手を滑らせちまったなぁ……アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!!!


ーーー何やってんだぁおい?


ーーー男の方はどうしやすかい兄貴ぃ?


ーーー………放っておけ



俺は瞬きを一瞬もしないでスズナが落ちて行くのをずっと見ていた。
気付けば自分の持つ大剣を握り締め、斬りかかっていた。



ーーー何だテメェ!!!さっきの野郎か!!


ーーーぐああああああああ!!!!


ーーーヒィィ、許してくれ!!!!


俺はリーダー以外の三人を殺した。
一人は首を飛ばし、一人は胴体を切断して滅多斬りにし、一人は俺が剣を振ると後ずさり足を滑らせ崖から転落死。

俺はリーダー格の男に低い声で話しかけた。


「スズナを殺した時………どんな気持ちだった………」


「………快楽そのものだ」


「ゲスが………テメェだけはゆるさねぇぞ糞野郎…………!」


俺はリーダー格の男の首を跳ねた。
首を跳ね飛ばしただけでは満足出来なかった。
結晶化する前にありとあらゆる部分を切断し、崖から突き落とした。




ーーーー俺は狼の様に崖で泣き吠えた。




好きな女の子を見殺しにしてしまった後悔が俺の心を貫いた。
情けないことに自分の身を崖から投じる勇気が無かった。













 
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