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ソードアート・オンライン ーEverlasting oathー

作者:ゆぅ駄狼
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Nine episode 幸せの形

ーーーーー神様、ボクから大事な人を奪わないで。






ーーーーーーボクから大事な人をこれ"以上"奪わないで。








ユウキ…?
ユウキの声がする…
俺は死んだのか…?
暗い…
何も見えない…



俺は蒼い悪魔と戦って死んだと思っていた。
槍を悪魔に投げて…それからどうなったんだっけ…
俺はユウキを救えたのか…?



ーーーーポタ…ポタポタ…



……?
俺の頬が濡れてる…?
この暗闇の中に水なんて物があるのか…?




ーーーーーユウヤ…ユウヤ……!




ユウキの声がまた聞こえる…
ユウキ…泣いてるのか…?
この水滴はお前の涙か…

光…?
この光に手を伸ばしたらユウキの所に行けるのか…?


暗闇の中にいた俺はは一つの光を見つけた。
その光はとても暖かく、俺にとって心が安らぐ光だった。
そして俺はその光に手を伸ばした。
この光がユウキの場所に導いてくれる。そんな気がした。


お前が泣いてんなら俺が泣き止ませないといけないよな…!




ーーー俺は光に触れた。






俺の手は光に触れると現実に戻り、ユウキの頬に手を添えていた。
大好きな人を泣き止ませる為に俺は暗闇から抜け出した。
俺はゆっくりと目を開きユウキを慰めた。


「バーカ…俺は…死なないって言っただろ…?」


ユウヤのHPは1だけ残していたのでギリギリ結晶体にならずに済んだのだ。
もしユウヤが暗闇を彷徨っている時に誰かに襲われていたら確実に暗闇の中を彷徨い続けただろう。

俺がユウキの頬に手を当て、目を開けて声を掛けたことに気付きユウキは俺に抱きついてきた。


「ユウヤぁ……ふぇぇ……えぐ…ユウヤぁ…」


「俺はお前から離れたりしないよ…」


「ユウヤが…えぐ……もう死んだのかと思ったよぉ…」


「んな訳ないだろ……あれ?皆は…?」


俺はユウキの頬を撫でながら周りを確認すると一緒に戦っていたキリト、アスナ、クラインと軍の奴らがいなくなっていた。
広いボス部屋には俺とユウキだけが残っていた。
まるで二人の為に作られた空間のようだった。
俺が起きた時に皆がいないという事は長い間気を失っていたのだろう。


「キリト達はどうした?」


「皆、ボクが付いていれば大丈夫だって言って帰って行ったよ…」


大方、冷静だったキリト達は俺が結晶体になっていないので死ぬ事は無いだろうと思い、空気をよんで俺とユウキを二人だけにしたのだろう。

全く…ありがとなキリト


「あのソードスキルはなんだったの…?」


ユウキがそう言うと俺はグリムアイズを消滅させて落ちていた《グングニール》の方をみた。
神聖槍は今も輝いていたが先程まで自分を纏っていた光の渦が消えていた。
この神聖槍は茅場が間違いなく俺に託した武器だ。
だが《ラスト・アポカリプス》の様な自分のHPをギリギリまで注ぎ込んで威力とスピードを上げるソードスキルは俺自身も初めてみた。
それにこの武器が何故俺の元に出現したのかが分からない。
キリトの二刀流は大方予想は出来る。
二刀流の場合は見た感じ機動性を重視していたので俊敏性などのステータスを上げれば出現するのだろう。
それにキリトの片手直剣はそのまま残り、二刀流が出現したわけなのだが俺の場合は自分の持っていた槍が消え、《グングニール》という新しい槍が出現した。
しかも、槍のソードスキルが神聖槍という物に変わっていた。

俺は自分のステータスや装備欄を確認していたらアイテム欄にだけおかしい所があった。

俺の持っていた槍が全部無くなってる…

アイテム欄を確認すると装備していなかった槍も全部無くなっていたのだ。


「ユウキ、ちょっといいか?」


俺はユウキにそう言い、落ちている神聖槍、《グングニール》の方へ向かった。
《グングニール》を手に取るとまた体の周りに光の渦が発生した。
どうやら光の渦は所持者、ユウヤが持つと発生するらしい。
俺は光の渦よりも気になっていた武器ステータスを確認した。

な……!?


《グングニール》のステータスは異常だった。
更に俺のアイテム欄にあった槍は無くなった代わりに無くなった槍の武器能力を《グングニール》に引き継いでいた。
キリトの剣《エリュシデータ》が魔剣クラス、俺の槍《クェーサールイン》が魔槍クラスと言われているのならこの《グングニール》は魔神クラスというのが相応しいだろう。



ーーーーーーーーーーーーーー


武器固有名《グングニール》

武器製作者 不明


武器ステータス

攻撃力3000 ー 3600

俊敏性 +70

………

武器能力
自動回復 10秒毎に800
所有者のHPが減ると共に武器耐久値減少
決闘での神聖槍は使用不可
トレード不可
ソードスキル《ラスト・アポカリプス》時 所有者のHPが1まで減少
スキル神聖槍をセットすると自動的に《グングニール》装備
《グングニール》装備時 光の渦が常時発生

不明スキル 槍吸収



ーーーーーーーーーーーーーー




キリトの《エリュシデータ》は確か攻撃力が900 ー 1050…《グングニール》の攻撃力は3000 ー 3600か…
俊敏性は《エリュシデータ》に負けているけど…自動回復が10秒毎に900で武器耐久値が所有者のHPと共に減少……決闘には使用不可能か…
まぁ当然だろうな。攻撃力が3600の威力はボス部屋までの骸骨騎士などをほぼ一撃で倒せる威力なのだから。
ただ、決闘じゃないPKにあった時はこれを使えば確実に勝てるだろうな
それに……不明スキル槍吸収……?
俺の持っていた槍を全て吸収してこの槍に付与されたってことは……
このスキルのせいなのか……?
いや、そんな事よりも……


俺は一つの疑問が浮かんだ。
確かに《グングニール》の威力は異常だ。
だがこの槍は強力であると共にこのソードアート・オンラインのゲームバランスを壊す槍でもあった。
しかし、茅場は俺にこの神聖槍を託したのであった。

もしかするとヒースクリフさんの神聖剣もこんなステータスなのか…?


俺が考えていると背中にユウキが抱きついてきた。


「本当に心配…したんだよ…?」


「ごめん…」


ユウキの声は今にも泣き出しそうな位に震えていた。
俺はユウキに謝る事しか出来なかった。


「ユウヤはボクがいないと駄目なんだから…ユウヤは先に死んだら駄目なんだよ…?」


ああ…俺はユウキがいないと駄目だな…
確かにそうだけどお前も泣きそうになりながら俺に言うなよ…お前も俺がいないと駄目じゃねぇか…

俺はユウキの方を向き、ユウキを抱きしめた。
そして俺は決意した。

ユウキの側にずっといてあげたい。
ユウキをもっと知りたい。


「なぁユウキ、俺の事が好きか…?」


「うん……ボクはユウキが大好きだよ……」


「そうか……24層の奥にさ、海があるだろ?その近くに海を見渡せる家があるんだよ」


「うん……」


俺はユウキに自分の命を預けることを決意した。

ユウキに俺の全てを捧げよう。
全てを捧げてユウキだけの騎士になる。
騎士になってユウキを永遠に守り続ける。
俺の命に変えてでもとは約束できない。
俺が死んでしまうとユウキを泣かせてしまうから。


「その家に二人で住んで、俺がお前を幸せにして、このアインクラッドを二人でクリアして…俺は絶対にお前を幸せにするから…だから……俺と…」







ーーーーーーー結婚してくれーーーーーーーー








俺はユウキにプロポーズした。
俺はユウキの目を見て聞こえる様にユウキに伝えた。
するとユウキはまた泣いてしまった。ユウキの目から涙が溢れ、その涙は頬を伝っていった。
しかしその涙は"悲しみ"の涙ではなく、"喜び"の涙だった。
ユウキは涙を流しながら笑顔で口を開いた。





ーーーーーうん!ーーーーー





俺にとってその笑顔はとても眩しく、愛おしかった。

俺達はこの日を境に夫婦となった。
そして俺達がボス部屋、迷宮区を出ると既に夜になっていた。
俺とユウキは手を繋ぎながら24層の奥の海の近くにある家を買いにいった。
道中に俺がこけたりしてユウキに笑われたっけか…

星空達はまた俺達を祝福してくれていた。









ザァー…ザァー



日が経ち、海の声が聞こえていた。
その中、俺の大好きな人、愛する人が俺を呼んだ。


「ねぇユウヤ!」


「どうしたー?」


俺達は今、新しく買った家で二人で幸せに暮らしていた。
幸せなのだがユウキが少しおかしい。
いや可愛いのだが…


ムギュー…


「だーいすき!!」


やたらとスキンシップが激しい。
いや、可愛いよ?可愛いですよ?だけど毎回首とかに抱き着かれると俺の首取れるよ?
状態異常で首破損とか誰も見たく無いよね?
1日50回位を目安にしてるのか分からないですけどマジで首折れるよ?


「ユウキ…抱きつくのはいいんだけど…そろそろ俺の首もげるぞ…」


「しゅん…」


俺がそう言うとユウキが萎えてしまった。
だが俺にとってはその光景も中々可愛く和むものだ。

うーん…もっと違うユウキも見て見たいな……あ

俺はある物がアイテム欄に眠っていることを思い出した。
すぐに右手でウィンドウを開くと俺は危険物を取り出した。
そう、その危険物とはユウキが身につけるとあらゆる生物を死に至らせることが可能な物だった。
俺は危険物を片手にユウキを呼んだ。


「ユウキ、ちょっとこれつけてくれないか?」


「ふぇ!?これって…」


ユウキに危険物を見せるとユウキは顔を真っ赤にしてしまった。
その危険物とは《猫耳カチューシャ》だ。
実はユウキには内緒でこんな時もあろうかと購入していたのだ。
この猫耳カチューシャはユウキがつけるとあらゆる男性プレイヤーを脳殺することが可能だ。
状態異常に表すと幻覚と麻痺と言った所だろう。

なんだかんだであの時のユウキは可愛いかったからな
ここでしかと目に焼き付けないとな!!
さぁユウキよ…つけたまえ!!!


「ユウヤぁ…恥ずかしいよ…」


「猫耳のユウキは結構可愛いかったんだけどな…シクシク…」


「うぅ…分かったよ…」


ユウキはそう言うと《猫耳カチューシャ》を頭につけた。
これで男性プレイヤー専用脳殺ユウキの誕生だ。

やべ…可愛い…

ユウキは恥ずかし差のあまりに涙目になりながらソワソワしていた。
その仕草が可愛く、俺は見入ってしまった。
そして俺はユウキを思い切り抱き締めた。


「可愛い過ぎんだろお前!!」


「にゃぁ…」


ユウキは顔を真っ赤にしながら俺の腕の中にすっぽりと収まってしまった。
俺はユウキが可愛い過ぎて手放す事が出来なかった。

マジで可愛いぞおい!?なんだこいつ猫耳かこら!!あ…猫耳でした。
取り敢えず手放したくねぇ!こう言うのを俺の嫁っていうのか!?あ…もう夫婦でした。
しかも家庭的!最高の嫁だろ!!猫耳最高!!
叔父に結婚したって連絡しないと!!あ…現実に戻れないんだった。


「ユウキ可愛い…」


「むにゅぅ……ユウヤそろそろお昼ご飯の時間だよ…」


誰だァァァアアアア!!!俺とユウキの邪魔をするやつはアアア!!あ…お昼ご飯ですか…
幸せな時間ともお別れか…じゃあな…猫耳…

俺はそう思いながら涙を拭うフリをした。
いや、多分本当に涙出てた。うん。


「あぁ…ユウキ…今日の飯は何にするんだ…」


「えと…んと……こういう時に言えばいいんだよね…今日のご飯はおにぎりにする?サンドイッチに……する?それとも……ボ……ボボ……ボクにする……?」


ユウキは顔を真っ赤にしながら上目遣いで俺を見てきた。
ユウキは確実に俺を殺しにかかったようだ。

ユウキィィイイ!!やめろおおお!!!俺の鉄壁の壁が砕けるぞ!?
クソ!だが俺はこの程度じゃ鉄壁にヒビしか入らぬわ!!

だがユウキは壁を確実に壊しにかかった。


「むぅ……無視するなら……こうだ!」


ユウキは俺の耳に顔を近づけてきた。
そして…


はむはむ…はむ…はむはむはむ…



甘噛みしてきた。

その姿は他人からみたらハチミツより甘い光景だろう。
だがユウヤにはそんな事を考える余裕がなかった。

ヤバイヤバイヤバイヤバイ!!!
それはあかんって!!俺の鉄壁の壁が発泡スチロールの壁に変換されている!!

俺は脳内を回転させ、この場を乗り切る為の策を練ることにした。

俺の耐久値は残り約3分で消滅するだろう。
その前になんとかしないと…!
取り敢えず選択肢を…!
周りには何がある…!?

俺は周りを見渡すとユウキの作ったおにぎりが目に留まった。
そして選択肢にユウキのおにぎりが増えた。



ユウキのおにぎり



俺は更に目で周りを見渡した。
すると次はモップの様な物に目が留まった。
俺の中にモップの様な物が追加された。



ユウキのおにぎり
モップの様な物



そろそろ時間切れになりそうだ…!早く見つけないと…!
俺はもう一度、周りを目で見渡した。
俺の目に留まったのは猫耳とユウキだった。
俺の選択肢に残ったのは…



ユウキのおにぎり
モップの様な物
猫耳
ユウキ



さて、脳内の整理にはい……る必要ないだろ!!
この状況でユウキのおにぎりを食べたら間違いなく幸せ過ぎて壁が壊れる…!
一番おかしいのがモップの様な物ってなんだよ!!この状況じゃ使える用品でもなんでもないよ!?黙って一人で掃除してこいや!!
そして次!猫耳とユウキって確実に壁を粉々にしようとしてるよね!?
何で選択肢に自殺が入ってるの!?


「ひゅうはぁ…はむはむ…」


「ユウキ…俺は決めたよ……」


さようなら、俺の鉄壁の壁…


「ユウキ、お前だ」


「ふぇ!?でもボク冗談で言っただけだよ…」


「ユウキ愛してる!!!!!」


「ユウヤどうしたのーーーー!?」






ああ…幸せな日々だ…

俺はそう思いながら自分自身の幸せの形を心に刻み、ユウキを抱き締めた。







 
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