ソードアート・オンライン ーEverlasting oathー
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Three episode 正義感
第1層を攻略してから1年くらい経っていた。
第1層をクリアしたおかげなのか町のみんなに生気が戻り、攻略した3日後に2層もクリアされた。
現在、俺とユウキは最前線のミル・ローゼという街にいた。
因みに、俺のレベルは82でゲーム内トップだ。ユウキのレベルは74で頼れる相棒だ。
「金も溜まってきたぽいし、そろそろ家欲しいよな〜!俺達の攻略部屋みたいな感じで!」
「うん!かっこいいかも!」
俺とユウキは最前線で戦っているからか、コルを大量に持っている。
だからそろそろ宿屋とかじゃなくて家欲しいなーとか思っちゃうんだよ
「ねぇ!見て見て!ユウヤ!あのバクダン飴っておいしいのかな?」
ユウキが指差すとそこには爆弾の様なものが刺さった飴、バクダン飴があった。
あれ間違いなく爆弾じゃね?棒に爆弾刺さってるだけじゃね?つーか俺には武器にしか見えねーぞ
「あー…多分マズイぞあれ、色々な意味で」
「そうかなー…」
あんなもんユウキに食わせたらユウキがこの世界から消えるかもしれない…
そんなことを思っていると目に1人の男が映った。
黒のコートに盾無しの片手剣の男だった。
俺の本能はこいつに話しかけたら運命的な出会いをすると思い俺はそいつに声をかけた。
「ユウヤ…?…それにユウキも…?」
「キリトじゃねぇか!なんでこんなとこにいるんだ!」
そいつは1層以来会ってなかったキリトだった。
運命的な出会いだった。
でも…なんでこいつが…?
「何でお前が最前線にいるんだ?」
「俺は今ソロで攻略組に入っているんだ。お前らもなんで?」
「俺達も攻略組だけど…」
俺とユウキもレベルが高いので攻略組に入っていた。
だが今までずっと一緒に戦っていたキリトに気づかないのも無理ない。
攻略組にはギルド最強の血盟騎士団、ギルド青龍連合、アインクラッド解放軍、風林火山、パーティで来る者やソロもたくさんいた。
だがアインクラッド解放軍は25層攻略以来、最前線には出て来てはいなかった。
「ずっと一緒に戦ってたなんて気づかなかったよ!」
「俺もだよユウヤ」
一つ、ここで疑問があった。
何でキリトがソロでいるのかという事だ。
俺はユウキがいるから想定外の事でも多少はその場を切り抜けられる。
だがソロだと想定外の事に対応できず、ダメージを負ってしまいこの世界で消滅する可能性が高くなってしまう。
βテスターのキリトがその程度の事が分からない筈がない…
「キリト、お前なんでソロなんだ?ソロだと想定外の事に対応できないでやられてしまうぞ?元βテスターのお前が分からない筈がないだろ」
「…」
キリトは暗い表情になり俯いてしまった。
何かあったらしいな…
「…話したくないなら言わなくてもいいが、もし辛くなったらいつでも言いにこいよ?」
「ありがとな…」
俺達はそのまま次の攻略の為に転移門の近くにきていた。
何故か周りが騒がしく、1人の男が泣きながら一人一人のプレイヤーに何かを言っていた。
「誰か!誰か!仲間の…仲間の仇をうってくれ…!」
仇…?誰かが殺されたのか…?プレイヤーに…?
許せねぇ…!
「ユウヤ…ちょっといいか?」
「俺もお前と同じ気持ちだぞ」
キリトも許せなかったのか険しい顔で拳に力を入れていた。
「ちょっとユウキ…あの男の所にいってくる。」
「ボクも一緒についていくよ!」
俺達は泣き叫んでる男の目の前に来た。
本気で悲しんでいる…ゲーム如きでなんで…こんな悲しむ人がでないと駄目なんだ…
「一体どうしたんだ?」
「俺は…シルバーフラグスというギルドのリーダーだ…この前ロザリアとかいう女が試しにギルドに入りたいと言って…俺達は心良く受け入れた…クエストをしていたらロザリアがトレジャーボックスを見つけたと言って俺達はロザリアについて行ったんだ…そしたら…そしたら!大人数のオレンジ色のアイコンのプレイヤーが襲って来たんだ…!俺は運良く逃げ切れたんだが…仲間達は…皆…殺された…あの女が…!皆を殺したんだ…!俺が…もう少し強かったら皆を守れたんだ…!」
シルバーフラグスというギルドのリーダーはそう言って泣き崩れてしまった。
「……………………」
「アンタら…仇取ってくれ…!あいつらを殺すんじゃなく…監獄エリアに送り込んでやってくれ!…頼む…」
シルバーフラグスのリーダーは殺すのではなく監獄エリアに送ってくれと言った。
この男なりの優しさなのだろう。
「わかった。その依頼引き受けるよ」
そう言うと男は俺に回廊結晶《黒鉄宮監獄エリア》を渡して来た。
「ありがとう…本当にありがとう…!あいつらはまだ35層にいる筈だ…ギルドの名前はタイタンズハンド…宜しく頼む…」
男はそう言うとホームタウンへと帰っていった。
さてと…
「俺は取りあえず35層のルーズセイフに行くが…くるか?」
「ボクはユウヤについて行くよ!」
「勿論、俺もそのつもりだ」
2人の了承を得ると俺達は転移門の前に立った。
「「「転移!ルーズセイフ!」」」
そう言うと俺達は第35層のルーズセイフという街についた。
俺達はそこで情報収集をすることにした。
数時間後…
「情報が全くないな…この街にはいないようだな …」
数時間情報収集をしているがほとんどの人がロザリアという女は知らないと答える。
しょうがないので次の街に向かうことにした。
「ここにはいないみたいだから次の街へいこうぜ」
「次の街は…ミーシャという街だな。行くには迷いの森を通らないと行けないな…」
「迷いの森ってことは迷子になっちゃうのかなぁ〜?」
次の街へ行くには迷いの森というダンジョンを通って行かなければならない。
その森に入って行ったら最後抜け出せなくなると言われているダンジョンだ。
だがこのダンジョンは雑貨屋にある迷いの森の地図をもっていればすぐに突破できる。
けれどもこの地図には欠点がある。この地図は使うと無くなってしまう為、いちいち雑貨屋で地図を買わなければいけない。
迷ったら抜け出せない…そんなダンジョンあったらボス戦じゃなくて迷いの森で詰むんじゃね?
初めてユウキと一緒に迷いの森に入った時は地図買うの忘れて発狂したんだっけな…
運良くユウキが持ってて良かったな…
「よし!迷いの森に向かうか!」
俺達は迷いの森に向かった。
???side
「そういう貴方こそ!ろくに前衛に出ないくせにヒールクリスタルが必要なんですか!」
「当たり前じゃないの〜あんたはその使い魔が回復してくれるけど私はあんたみたいなお子様アイドルとは違って男達が回復してくれるわけじゃないもの」
「くっ…わかりました。アイテムは入りません!貴方とも絶対に組まない!私をパーティに入れたいって人は山程いるんですからね!」
私はその場を後にして使い魔と一緒に森を抜けようとした。
あれ?ここさっき来たような…気のせいだよね!
私はひたすら歩き続けた。
数十分歩き続けたがやはり抜けれない。それどころか同じ道を何度も通っている気がする
そんな筈ない…大丈夫…大丈夫…
そう思っていたら猿の様なモンスターがリスポーンした。
数は…5体…!?私のレベルは44…モンスターのレベルは35〜36程度…倒せるかもしれないけど…回復アイテムがほとんどない…
猿モンスター達が襲ってきた。
「グウアアア!!」
「くっ…!」
間一髪、猿モンスターの持っている棍棒をよけた。
すぐに反撃しようと思ったが2体目がすぐに棍棒を振り下ろしにきた。
キュィィイイン
「こんの!」
「ガァァアアア!!」
棍棒をソードスキルで跳ね返したがすぐに3体目が棍棒で殴りかかってきた。
ソードスキルを使ったからか硬直時間ができてしまい棍棒が体に直撃した。
「うっ!」
バァアン!
体を棍棒で殴られたダメージと地面に力で打ちつけられたダメージでヒットポイントが半分まで減った。
少女の近くに使い魔が来て回復系のブレスをしてもらい、少女もアイテムストレージから回復アイテムを取り出し回復をした。
キィィイイン
「はぁああ!!」
少女の剣は赤色に光り、少女は短剣ソードスキル、《アーマー・ピアス》を放った。
命中率重視のソードスキルだった為、猿モンスターの弱点に当たり、クリティカルボーナスのダメージが入り一撃で倒した。
あと…4体もいる…
「グァアアアアア!」
「…!」
猿モンスターが再び襲ってくる。猿モンスターは棍棒を振り下ろしたがギリギリで気づき回避することができた。
猿モンスターは棍棒を力強く振りすぎた為か、地面に棍棒が埋まってしまった。
その隙を少女は見逃さなかった。
キィィイイン!
「やああああ!!」
少女は棍棒が抜けなくて動けない猿モンスターに向かって《アーマー・ピアス》の上位技《トライ・ピアス》を放った。
元々命中率の高い一撃が三連撃になったおかげか一撃目と二撃目は相手のヒットポイントを徐々に減らし、三撃目は弱点に当たり、猿モンスターを撃破した。
残り3体…!
仲間を二体倒されて怒ったのか三体同時に襲いかかってきた。
「「「グァアアアアア!」」」
「くっ…」
ブゥン!ブゥン!ブゥン!
勢いよく、力強く猿モンスター達は次々に攻撃してくる。
攻撃する隙がない…!避けても三体目の攻撃で必ず掠ってヒットポイントが減ってく…!
HPを見るともう半分になっていた。
「ピィィ!」
使い魔が回復系のブレスをしてくれるが回復系のアイテム程の回復量ではないので少女もアイテムストレージから回復アイテムを出そうとした。
「…!回復アイテムが!」
回復アイテムが底を尽きていたのだ。
無理もない先程までパーティを組んで前衛で戦って回復アイテムを使っていたのだから。
「グァアアアアア!」
ブゥゥン!
「うっ!!」
猿モンスターが横薙ぎしてきた棍棒が少女に直撃した。
体が宙に浮いたと思ったら吹き飛んだ先のに大木があり打ちつけられた。
このままじゃ…死んじゃう…!
戦おうとしたが棍棒を食らった時に短剣を手放してしまったらしく手元には何もなかった。
怖い…怖い…怖いよ…
絶望した目で猿モンスターを見たまま少女は動けなかった。
猿モンスターはゆっくりと棍棒を振り上げ、そのまま勢いよく振り下ろされた。
もう…駄目…
「ピィィイ!!」
もう駄目だと思った瞬間、使い魔が少女の前に飛び込んできた。
グシャア!
嫌な音がした。目の前で使い魔が少女の盾となって棍棒を受けたのだ。
使い魔はそのまま地面に叩きつけられた。
「ピィィ…ピィ…」
使い魔のヒットポイントはそんなに高くない。
だが使い魔用のアイテムを与えればステータスがある。けれども少女の使い魔のステータスはそんなに高くなく、棍棒の一撃を受けてヒットポイントが0になってしまった。
「ピナ…!ピナ!」
少女はピナという小さい竜の使い魔を抱きかかえたが、ピナの体が光輝き綺麗な結晶の光となって消滅した
地面にユラユラと1枚の羽根が落ちた。
「あっ…」
少女は唖然としていた。
だが猿モンスターは悲しむ時間をくれなかった。
猿モンスターは棍棒を再び振り上げた。
「うぅ…」
少女はじっと猿モンスターを見ることしかできなかった。
???sideout
非常事態が起きていた。
それは何かと言うと…
「迷ったぁぁぁあああああ!!!
そう迷いの森で迷っていたのだ。
しかも地図を買うのを忘れていた。
どうしよう!ここから一生出れなくなったらどうしよう!
デスゲームでもこんなとこでゲーム詰むとか絶対に嫌だよ!?それならバクダン飴で死にたいよ!?
「おい…どうせ地図がなくて困ってるんだろ…こんな事もあろうかと雑貨屋で地図買っといたぞ」
「愛してるキリトさん!」
マジで良かった!俺達ここで一緒に化石になるのかと思ったよ!
「ユウヤ!何か聞こえない?」
ユウキが俺にそう言ってきたので俺とキリトは耳を澄ませた。
ピィィ…ピィ…
ピナ…!ピナ!
「奥に誰かいるぞ!」
俺は二人に伝えて全力で走った。早く行かないといけない気がした。
声のする方に行くと1人の女の子がペタンと座り込んでいた。
近くに猿モンスターが三体いて、その内の一体が少女に向かって持っている棍棒を振り下ろそうとした。
「ユウキ!キリト!他の二体を頼む」
「うん!任せて!」
「わかった!」
俺は棍棒を振り上げている猿モンスターに向かって槍を持って突っ込んだ。
キュィィイイン!
「くたばれぇええ!」
俺はソードスキル、《ソニックチャージ》を発動した。
発動した瞬間、凄いスピードで猿モンスターを貫いた。
パリィイン…
猿モンスターは結晶体となり消滅した。
「こっちはもう終わったよ!」
「こっちもだ」
ユウキとキリトの方も片付いたらしく俺の方にきた。
少女の方を見ると羽根の様なものを手に持っていた。
そういえばさっき猿モンスターとは違う鳴き声が聞こえたな…この子はビーストテイマーなのか?
「ピナ…私を一人にしないで…」
「それは…?」
「ピナです…私のお友達です…」
やはりか…でも生き返る見込みがあるかもしれない…!
「その羽根、アイテム名は設定されてないか?」
少女が右手でウィンドウを開きアイテムストレージを見ると
一つのアイテムが増えていた。
それは少女の支えであり友達であった。
《ピナの心》
それを見た少女はまた泣き出してしまった。
「泣かないで!アイテム名が設定されているならまだ生き返る見込みがある!」
「ユウヤの言うとおりだよ。47層に思い出の丘というエリアがある。その奥には花が咲くらしく、それが使い魔蘇生用のアイテムなんだ」
「本当ですか…!」
少女は明るい表情になったと思ったらまた暗い表情になった。多分レベルが足りていないのだろう。
ロザリアを先に見つけたいがこの子も見捨てれないな…
「47層…」
「実費だけ貰えれば俺が行ってやってもいいんだが…使い魔の主人がいないと蘇生アイテムが出現しないらしいんだ…」
「いえ、情報だけでも十分です…毎日レベル上げをしてたらいつかは…!」
少女が言い終えるとキリトは重々しく口を開いた。
「蘇生できるのは使い魔が消滅してから三日間だ…」
「そんな…」
「大丈夫だ。心配すんなって。キリト、ユウキ」
「わかってる」
「わかったよー!」
俺達はトレードアイコンを押し、少女のアイテムストレージに装備をホイホイと投げ入れていった。
こんくらいあれば行けんだろ…
「この装備なら4、5レベルは底上げできる。それと俺達がついていけば確実に蘇生アイテムを入手できる」
「なんで…こんなに優しくしてくれるんですか…?」
少女が俺に尋ねた。
疑う気持ちも良く分かる。ネットゲームで騙し合い、嘘はよくある事だ。
だが一つ、俺には言えることがある。
---------困ってる奴を助けるのに理由はいらない---------
「困ってる奴がいるなら俺は助ける。どんな危険があってもだ」
俺は言葉に心を込めて少女に言い放った。
すると少女は笑顔になってクスっと笑った。
俺はその少女に笑顔を返した。
「俺はユウヤ。君、名前は?」
「シリカって言います」
「ボクはユウキだよ!」
「俺はキリトだ」
自己紹介が終えると俺達はキリトが持ってきてくれた地図を使って迷いの森から抜け出した。
割とすぐに抜けれたので驚いた。
これ地図いらなくね?
第47層 ミーシェ
俺達は迷いの森を抜けた先のミーシェという街に着いた。
外はすっかり暗くなってしまっていた。
俺達は宿屋を借りる為に宿屋に向かっていた。
「シリカちゃんだ!」
「本当だシリカちゃんが帰ってきた!」
二人の男がシリカに寄ってきた。
シリカってそんなに人気なのか。
「今度俺のパーティに来るって言ってたよね!」
「俺の方にも!」
シリカは困った表情で俺の方を見てきた。
俺は顔を斜め上にあげ…
ガシッ
シリカが俺の腕に抱きついてきた。
ちょっとまちなさーい!
「すいません!この人達とパーティを組むことになっているので!」
「ああん?」
ほらみろよ!怒っちゃってるじゃん!こいつらめんどくさいよ!
ユウキも何故か怒っている…?
「ちょっとアンタ、抜け駆けはやめてくれないか?俺達はずっと前からシリカちゃんに声をかけていたんだ」
シリカも困ってるしな…しょうがない…
「じゃあ奪ってみろよ。殺す気でよ?まさかお前らマスコット感覚でシリカを勧誘してるわけじゃないだろうな?
そう言うと二人組は黙ってしまった。
これで解決かな?
俺達は宿屋に向かって歩き出した。
ユウヤの腕に抱きついている事に気付き、シリカはすぐに手を離した。
「ありがとうございます…」
「むぅ…」
ガシッ!
「なんだなんだ?」
何故だか今度はユウキが腕に抱きついてきた。
「どうした?」
俺はユウキの頭をポンポンと叩きながら聞いた。
だけどユウキはずっと無言だった。
なんか悪い事しちゃったのかなぁ?
そう思いながら俺はユウキを腕に抱きつかせたまま宿屋に向かっていると。
「あら〜?シリカじゃない〜?」
俺達の前に赤髪の女が出てきた
そしてそいつは憎たらしい口調で話し始めた。
「迷いの森から抜け出せたんだ〜?あれ〜?あの鳥は〜?」
「ピナは死にました…だけど絶対に生き返らせます!」
「ふ〜ん?じゃあ思い出の丘にいくんだ?でもアンタのレベルで取りにいけるの?」
「行けるさ」
俺はシリカの前に立って女に向かって答えた。
「あそこは特に難易度が高いわけじゃないからシリカでもクリアできるさ」
女はつまんなさそうな顔をし、俺達に向かって喋り出した。
「ふーん、あんたらもその子に垂らしこまれたのかしら?」
「いこう皆」
俺は女を無視し宿屋に向かった。
宿を借りると俺はキリトに話かけた。
「キリト、明日の事をシリカに教えといてくれ」
「わかった」
そう言って俺は自分の部屋のベッドに腰掛けた。
そういやユウキの様子が変だったな…様子見にいくか…
俺はユウキの部屋に向かった。
コンコン
「ユウキ〜入るぞー?」
俺はノックをしユウキの部屋に入った。
ユウキside
何でだろう…モヤモヤする…
シリカって子がユウヤの腕に抱きついた時からモヤモヤしてる…
むぅ…………
「ユウヤ……」
コンコン
ノックだ。誰だろう?
「ユウキ〜入るぞー?」
ユウヤの声だった
何故だかとても嬉しくなる。それと同時に少し切なくなった。
「ユウキ?今日は様子がおかしかったけど大丈夫か?」
ユウヤ心配してくれてるんだ…優しいな…
「ううん、大丈夫だよ」
「そうか?ならいいけど…無理はあんまりするなよ?」
「うん、ありがとう」
「そいじゃ俺は部屋に戻るよ」
ユウヤが部屋を出て行こうとする
ユウヤが行っちゃう…もっと一緒にいたい…ユウヤと一緒にいたい…
そう思っているといつの間にか自分の手がユウヤの服を引っ張っていた
「行かないで…」
ユウヤは驚いた顔をしていた。むしろ心配していた。
ユウキは無意識の内に自然と感情を言葉にしていた為、ユウキが感情を無意識に言葉にしていることに気付いた時はかなり焦っていた
行きなりこんな無茶なこと言っちゃった…
だがユウヤは優しくユウキに言った
「わかったよ」
その言葉を聞けてボクは嬉しかった。ユウヤがどこか遠くに行く気がして…
ギュ…
ボクは気がついたらユウヤに抱きついていた
とてもユウヤに甘えたくなって本能のまま動いていた
「ユウキ…?」
「…」
抱きついているとボクの中のモヤモヤが晴れていた
ユウヤといると安心する…
心が暖かくなる…
ユウヤの側にずっといたい…
ボクはある一つの感情に気付いた
ああ…そうか…
「ボク…ユウヤに恋してたんだ…」
ユウヤには聞こえないようにボソっと呟いた
ユウヤは抱きついているボクに無言で頭を撫でてくれている
ずっと…ずっとユウヤといたい…
この気持ちを伝えればユウヤといれるのかもしれない…
けど、もしユウヤに拒絶されたらどうしよう…
ボクは顔を上げてユウヤを見た
するとユウヤはボクに笑顔を向けてきた
その笑顔を見るとボクは安心した
ううん、今はまだこのままでいいよね?
その内、ゆっくりとボクの気持ちを伝えていこう
力が急に抜け、ボクは大好きな人の腕の中で眠った
ユウキsideout
「ユウキ〜?」寝ちまったか…」
デスゲームに今まで耐えてきたんだから不安定になることだってあるよな…
…今日だけだぞ
俺は寝たユウキと一緒にベッドに横になり、ユウキを優しく抱きしめた
安心しろよ、俺がお前を絶対守ってやるから
心の中でユウキにそういい、俺は眠りについた
ユ…ウ…ユウ…ユウヤ…
「ユウヤぁ…」
俺は目を覚ました
目の前にはユウキがいて顔を真っ赤にしている
どうしたんだ?
「どうしたんだ?」
「そろそろ起きよ…?」
どうやらユウキは俺に抱きしめられていて体を起こせなかったらしい
あー、昨日このまま寝てしまったのか…
「とと、悪い悪い」
俺はすぐにユウキから離れようとした
行かないで…
昨日のユウキの言葉が突然頭の中を横切った
もう大丈夫だよな?
俺はユウキの頭を撫でて起き上がった
時刻はもう9:48だった
「もうキリト達も起きてるだろうし下に行くか」
「うん!」
ユウキは元気いっぱいに返事をした
どうやら心配はいらなさそうだ
俺達は身支度を済ませると一階のホールに向かった
「おっす、おっはよーう」
俺がそう言うとシリカとキリトもおはようと言ってきた
皆はもう準備ができてるらしくいつでもいけるらしい
「よし!早速行こうか!」
俺は皆にそういい転移門に移動した
「「「「転移フローリア!」」」」
俺達はフローリアにつくと周りを見渡した
この層はエリアの全てに花が咲いていてデートスポットにも使われている
お前ら…アインクラッドを攻略しようぜ…
そう思っているとシリカとキリトは何やら二人で話していた
ユウキは花の近くにいって花を見ていた
「見てよユウヤ、この花とっても綺麗だよ!」
「そうだな」
俺はユウキの頭にポンっと手を置くとシリカ達に向けてそろそろ行くぞと言った
俺達は思い出の丘のエリアにいた。
「キリト…」
「俺も気付いてる…」
俺は一つ気にしていた
俺とキリトの索敵スキルに11人くらい引っかかっているのだ
まるで自分達をつけているかのように
だが索敵スキルに引っかかっていた11人は思い出の丘の入り口で止まったのだ
「今はなんともないみたいだけど、注意はしといた方がいいかもな」
「そうだな」
つけてきているとなるとプレイヤーキルの可能性がある
俺とキリトは注意しながら二人を連れて思い出の丘の奥に向かった
「そういえば、ユウヤさ…」
シリカが俺に話そうとした瞬間消えた
上を見るとシリカが植物系モンスターに宙吊りにされていた
スカートがめくれてパンツが見えそうになっていた
「いやあああああ!ユウヤさんキリトさん助けて!見ないで助けてーーー!!」
「「それは…無理だな…」」
シリカのパンツがもう少しで見えそうになった瞬間
「ユウヤ!見ちゃだめえええええええ!」
ザシュッ!!
「ぎゃああああああああ!!」
ユウキの目潰しが俺を襲った。
目ガァアアアアアアア!!俺の可愛らしい目がァアア!
俺は一人で悶えていた
シリカはまだ宙吊りされているらしく必死にスカートがめくれないようにしていた
「こんの!いい加減にして!」
シリカは植物系モンスターのツタの様なものを切断すると短剣ソードスキルの《アーマー・ピアス》をお見舞いした
キュィイイン
「やああああああ!!」
弱点にヒットしたらしく植物系モンスターは一撃で消滅した
「見ました…?」
「見れなかった」
「見てない」
俺は目を粉砕されていたため何が起きているのか全く分からなかった
俺の目が復活するとシリカは顔を真っ赤にしていた。
もう少しでラッキースケベを拝めるとこだったがユウヤはなす術がなかった
俺達はその後も思い出の丘の奥に向かった
「お、見てみろよ」
俺達は思い出の丘の奥に辿りついて奥には台の様なものがあった
シリカが近づくとその台に花が咲き始めた
「わぁ…綺麗…」
「それが蘇生アイテムみたいだな。どうせ蘇生すんなら街いって安全確保した方がピナも喜ぶだろ」
「はい!ありがとうございます!」
シリカは花を取るとアイテム名が表示された
《プネウマの花》
シリカはそれを自分のアイテムストレージに入れた
俺達は無事に花をとって街へ戻ろうとしていた
しかし、問題がまだあった
「キリト、入り口に11人、まだいるよな?」
「間違いなくいる。多分俺達を待っていたのだろう」
「片付けた方が良さそうだな」
そう言うと俺は後ろの二人に止まれと伝えた
そのまま俺とキリトは入り口に向かって喋った
「「そこにいる奴、出てこいよ」」
俺とキリトがそう言うと一人の赤い髪をした女が出てきた
そいつは昨日の夜、街で話しかけてきたやつだった
「ロザリアさん…?」
シリカがそういった
ロザリア…?こいつが…?
俺は拳に力を入れた
今すぐに目の前にいる女を殺したいと思った
「あら〜シリカ?その様子だとプネウマの花をゲットできたらしいわね?おめでとう〜…じゃあその花を渡して貰おうか」
「何言ってんだお前」
「花をよこしなっていってるんだけど〜?」
キリトが突然口を開いた。
「それは無理だなロザリアさん。いや、オレンジギルド…タイタンズハンドリーダーさん?」
「でもロザリアさんはグリーン…」
「簡単な事だよシリカ。自分は他のギルドに入ってオレンジプレイヤーの仲間のとこに連れていき殺す役目は全部オレンジプレイヤーがやればいいんだよ。ボクとユウヤもそういう奴らは何度も見てきた」
「そんな…」
「そこまで分かっていて花を取りにいくなんて馬鹿なの〜?まぁ、今回のギルドに入ったら一番面白そうなカモのアンタがパーティを抜けてガッカリしたわ〜。でも聞くとプネウマの花をとりに行くっていうじゃない?最後の最後まで本当に面白い奴よねアンタ」
俺は槍を手にした
武器の名前は《リバースリッパー》
「キリト、ここは俺にやらせてくれ」
「…わかった」
俺は《リバースリッパー》を持ちロザリアの前に立った
「アンタ一人で戦う気〜?この人数に」
ロザリアがそう言うと指を鳴らした
すると周りから10人の男達が出てきた
レベルは42くらいか…
「ユウヤさん!数が多すぎます!ここは一旦引いて!」
「大丈夫だよシリカ。ユウヤはとっても強いんだよ?」
「この前ステータスを見してもらったが…化け物だなありゃ」
「でも…ユウキさん、キリトさん…」
シリカがそう言うと一人の男が反応した
「ユウヤ…ユウキ…キリト…!ロザリアさんこいつら攻略組だ! しかもレベルがトップランカーのユウヤだ!」
「攻略組…?」
「攻略組がこんなところにいるわけないじゃない!いいからお前らその男の身ぐるみをはいでやりな!」
キュィイイン
キュィイイン
キュィイイン
「「「「「「「うおおおおおおおおおおおおお!!」」」」」」
「ユウヤさん!」
男の達はユウヤに次々と斬りかかりソードスキルを当てていく
ユウヤは何故か抵抗をしない
やはりこの数には勝てないのだろうか…
「助けなきゃ………?」
おかしい
何がおかしいかと言うとユウヤは数分間斬りつけられているのに全く倒れる気配がない
「どういうこと…?」
ユウヤのHPバーを見ると確かに減っている。
だが数秒経つとHPが完全に回復するのだ
「「「「ハァ…ハァ…」」」」
「アンタら!何やってんだい早く殺しな!」
俺は笑った。
目の前の奴らが弱すぎて、愚かすぎて
「10秒辺り400ってとこか…それがお前らが俺に与えるダメージの総量だ」
「くっ…」
「俺のレベルは82、HPは12800、それにこの武器《リバースリッパー》の武器効果バトルヒーリングで10秒経つと800回復する。何年経ってもお前らじゃ俺を倒せない」
「そんなのありかよ…「ありなんだよ」」
「この世界はゲームだ。強さは全てレベルで決まる。それがこのMMORPGの理不尽さなんだよ」
そういうと俺はシルバーフラグスのリーダーから受け取った回廊結晶《黒鉄宮監獄エリア》を取り出した
「こいつでアンタら全員監獄エリアに向かってもらう!シルバーフラグスに、今までアンタらが殺して死んでいった人達に償うんだな」
「シルバーフラグス…!リーダーを逃したと思ったら生きてダンジョンから抜け出したのかい…!…ふん、アンタらグリーンが私を傷つけたらどうなるか…」
キュィイイン!!
俺はソードスキル、《ソニックチャージ》をロザリアの頬にギリギリ当たらない様に放った
「……!」
「俺は元々アンタを殺す気だった。一日や二日オレンジになる覚悟くらいあるぞ…!」
そう言うとロザリアは観念したのか、その場にペタンと座り込んだ
俺が転移結晶を使うと男達は監獄エリアへと入っていった
ロザリアは立てなかったらしいので俺が無理矢理投げ入れた
第35層 ミーシャ
「ユウヤさっき凄くかっこ良かったよ!
「そうか〜?」
そういいながら俺はユウキの頭を撫でた
ハァ…落ち着くぜ…もう宿屋に着くな、ピナを復活させたらシルバーフラグスのリーダーに報告しに行かないとな〜…
俺達は宿屋の中に入り、一つの部屋に皆集まった
「シリカ、蘇生アイテムをピナの心に使ってみな」
「はい!」
そう言うとシリカは一枚の羽根に先程取りにいったプネウマの花に含まれた水滴を羽根に当てた
すると羽根は一匹の綺麗な水色の小さな竜となった
「ピナ!」
「ピィィ!」
「「物凄く可愛い!!」」
「おい」
俺とユウキはピナにすぐ抱きついた
ピナはすぐに俺達に懐いた
ヤベェ!可愛い!翼柔らかい!さらさらしてる!なんの柔軟剤使ってんの!?
そんな事を思っているとシリカが話し始めた
「攻略組だから…やっぱり行っちゃうんですか…?」
「そうだな…ずっと攻略会議に顔だしてないしな…」
「大丈夫だよ、ボク達は友達だからいつでも会えるよ」
「なら、フレンド登録しとけばいいんじゃないか?」
キリトがそう言うと俺達とシリカはすぐにフレンドになった
「それじゃ俺達はいくよ!元気でな!」
「はい!皆さんもお元気で!」
そう言って俺達は最前線に戻っていった。
「ピナ…」
「ピィィ?」
「いっぱいお話してあげるからね…私の一日だけのお兄ちゃんとお姉ちゃんと…」
--------私を助けてくれた大好きなユウヤ君のこと--------
後書き
「俺も使い魔欲しいなぁ……」
「使い魔じゃなくてもユウヤにはボクがいるじゃん……」
「ん?」
「何でもないっ!」
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