FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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深淵の領域
前書き
昨日、後輩たちが無事に初戦を突破しました。
自分たちの代では一回戦で優勝候補に僅差で負けましたが、それ以降二年連続の初戦突破です。
かなり羨ましいです・・・本日はシード校との対戦ですが、昨年できなかったシード撃破を狙ってほしいです。
私は自分の大会で行けませんが・・・去年も行けなかったんだよな・・・一緒にプレイした学年なのに・・・
その頃、ハッピーたちはというと・・・第三者side
「一体どこに動力源があるんだよぉ」
「これだけ大きな船だから、きっとすごい大きな魔水晶で動いてるはずよ」
「だよね~?それにすごく厳重に警備されてるはずだよ~」
ナツに頼まれた悪魔の心臓の戦艦の動力源を探し回っていた。のはいいのだが・・・
「てかなんでこんな通路通ってんだ?」
一番後ろでハッピーたちについていっているリリーがそう質問する。
実はハッピーたちが現在通っているのは、なぜか通気孔なのである。
「そういえばそうだよね~?」
「そんなの知らないわよ。ハッピーに聞いて」
セシリーとシャルルもハッピーの後をついてきているだけらしく、なぜこんな通路を通っているかわからないようだ。
そして、ハッピーの答えはというと・・・
「なんとなく」
「なんとなくかい!!」
特に考えはなかった模様、リリーはそれに対し突っ込みを入れる。
「でもよくこんなところ見つけたね~」
「おかげで、誰にも見つからずに動力源をさがせるわ」
セシリーとシャルルの言うとおり、この通気孔はかなり狭い通路のため、人が通ることができない。つまり
警戒されることなく進むことができるのだった。
しばらく、四人は進んでいると、
「あ!!」
ハッピーが何かを発見し、立ち止まる。
「ひゃっ!」
「いたっ!」
「どわっ!」
すると、ハッピーが突然止まったため、後ろをついてきていたセシリー、シャルル、リリーがそれぞれ前の者のお尻にぶつかる。
「ちょっと!!急に止まるんじゃないわよ!!」
「お鼻が・・・」
シャルルがハッピーに対して怒鳴り、セシリーは鼻を押さえて痛そうにしている。
「リリー」
「なんだ?」
ハッピーが突然、リリーに話しかける。ハッピーは首をひねり、リリーの方を見るが、その顔は何やら怒っているように見える。
「当たったね?」
「は?」
リリーは何を言っているのかわからない。
「セシリーがオイラのお尻に当たったってことは、リリーはシャルルの」
「仕方ないだろ!!突然止まったお前が悪い!!」
リリーはハッピーの理不尽な物言いに文句を言う。
ちなみに、歩いていた順番はハッピー、セシリー、シャルル、リリーという順番になっている。
「シャルルのお尻に“ポフッ”て当たったね?」
しかし、ハッピーはリリーの言い分など聞く耳持たずにますますヒートアップしている。
「リリー!!どうなんだね!!」
「お前!!今ここでそこについて文句を言うのか!?そんなこと言ってる場合か!!」
「オイラにとったら大事なことなんだ!!帰ったら決闘だ!!」
なぜかハッピーはすごい燃えている。それにシャルルとセシリーが仲裁に入る。
「やめなさーい!!」
「そうだよハッピー!!シャルルのお尻はあとで触らせてあげるから~!!」
「あんたは黙ってなさい!!」
「はい・・・」
シャルルに怒られセシリーが萎縮する。シャルルはそんなセシリーを気にせず、ハッピーに話しかける。
「それよりもハッピー、さっき何に驚いてたの?」
「あ!!そうだった!!」
ハッピーはそう言われ、話を元に戻す。ハッピーの視線は、鉄枠の中にある一室に注がれていた。
「こ・・・これ、なんだろう・・・」
「ん~?」
セシリーもそれを覗くと、驚愕の表情へと変化する。リリーとシャルルもそれを見て、同じような表情へと変わった。
「生きてる・・・?」
ハッピーは自分の見たものを、そう表現するしかできなかった。
シリルside
「そんな・・・」
「ウソでしょ・・・」
ウェンディと俺はハデスを見て恐怖を感じている。なんでこんなになってるのに起き上がれるんだよ?
ハデスはそのまま、ゆっくりと立ち上がる。
「私がここまでやられたのは何十年ぶりかのぉ?」
ボロボロだったハデスの服が、元に戻り、最初に羽織っていたマントがハデスの体に被さる。
「!?」
「ウソだろ!?」
「こんなことが・・・」
ウェンディ、グレイさん、俺がそのハデスを見てそう言う。
「このまま片付けてやるのは容易いことだが、楽しませてもらった礼をせねばな」
ハデスは自らの右目にしている眼帯に手をかける。
「あの攻撃が効かなかっただと?」
エルザさんは震えながらそう言った。ハデスは眼帯をはずすと、
「悪魔の目、開眼」
閉じていた右目を少しずつ開いていく。その目は真っ赤になっており、いままで見てきたどんな目とも違っていた。
「うぬらには特別に見せてしんぜよう。魔道の深淵を」
ハデスの周りにはどす黒い魔力が漂っていた。
「ここからはうぬらの想像を遥かに越える領域」
「バカな!!」
「こんなの・・・ありえない・・・」
「こんな魔力は感じたことがない」
「まだ増殖していく!!」
グレイさんたちが口々にそう言う。こんな魔力がまだ残っているなんて・・・
「終わりだ。妖精の尻尾」
「くそっ・・・」
俺は立ち上がろうとするが、すぐにめまいがして膝をつく。
「うぐ・・・」
「ナツ!!」
「動く力さえ・・・残ってねぇ・・・」
俺と同じようにナツさんも体力の限界のようだ。どうする?どうすればいいんだ・・・
第三者side
「これって・・・」
「動力源って感じじゃなさそうね」
「一体なんなのかな?」
ハッピーたちは先程見つけた謎の物体の部屋へと降りていた。
「グリモアハート、悪魔の心臓・・・まさかな・・・」
リリーはそれを見て、何か感じ取っているようだが、確証を持てないでいた。すると、外から声が聞こえてくる。
『中で声がしたぞ!!』
『バカな!!どうやってこの部屋に!?』
「!!」
「やばい~!!」
「見つかったわよ!!」
外からした声は悪魔の心臓の戦闘員たちのものであった。
「敵は俺が食い止める。お前たちは、これを停止させるんだ!!」
リリーは戦闘員を抑えるために扉に向かって走り出す。
「停止!?」
「やりましょ!!」
「おっけ~!!」
ハッピーたちは困惑しながらもこれの停止を行うことにした。
リリーは扉から外へと出て、敵の前に立つ。
「なんだこのちっこいネコは?」
「踏み潰しちまえ」
余裕な態度の悪魔の心臓の戦闘員。
「喰らえ!!」
すると、リリーは敵に向かって何かを投げる。
「「「「「「「「「「うわああああ!!」」」」」」」」」」
その投げた物は次々に敵に命中する。実はこれは、リリーがハッピーたちと共にこの戦艦の動力源を探していた時に誤って壊して閉まったドアノブだったりする。
「このやろう!!やりやがったな!!」
悪魔の心臓の戦闘員たちはリリーを睨み付ける。しかし、リリーが戦闘モードに体を変化させると全員が驚愕した。
「うおおおおおっ!!」
リリーは目の前の敵を殴り飛ばす。
「なんだこいつは!?」
「怯むな!!」
「つぇあーー!!」
一人がリリーに斬りかかろうとしたが、リリーはそれを片手で止める。
「借りるぞ」
「わっ!!俺の剣!!」
その受け止めた剣をリリーは敵から奪い取り、凪ぎ払うように斬りかかる。
すると、その剣にある変化が起きた。
「停止って言ってもどうやって!?」
「色々いじってみるしかなさそうね」
「どれをどうすればいいの~!?」
ハッピーたちはリリーが敵を食い止めている間に謎の物体を停止させるべく奮闘していた。
「大きさが変化する剣か。我が剣のようだな」
そう、リリーの手に入れた刀はリリーの屈強な肉体に合わせた大きさへと変化したのだった。
「死守しろーー!!」
「この部屋だけは死守するんだー!!」
敵の戦闘員たちはリリーに臆することなく次々と立ち向かってくる。
「気に入った、こいつを俺の武器にする!ギヒッ」
しかし、リリーは念願の武器を手に入れたことで笑みを浮かべ、迫り来る敵を凪ぎ払っていく。
「ああ・・・ムジカの剣・・・高かったんだぞ・・・あれ」
一方、リリーに剣を奪われてしまった敵はさめざめと泣いていた。
シリルside
「魔道の深淵・・・」
「な・・・なんという魔力だ・・・」
「こんな馬鹿げた魔力・・・感じたことがない・・・」
「あう・・・あうう・・・」
俺たちはハデスの圧倒的すぎる魔力に震えていた。
「ナツ!!しっかりして!!お願い!!」
「げほ・・・体が・・・」
ルーシィさんがナツさんを揺するがナツさんは苦しそうにうずくまったままだ。
「魔の道を進むとは、深き闇の底へと沈むこと。その先に見つけたるや深淵に輝く“一なる魔法”」
ハデスはそう言うとさらに魔力を高めていく。
「あと少し・・・あと少しで一なる魔法に辿り着く。だがそのあと少しが深い!」
ハデスはまるで、悔しさを露にするように腕に力を入れていく。
「その深さを埋めるものこそ、大魔法世界! ゼレフのいる世界!!今宵、ゼレフの覚醒と共に世界は変わる。そして、私はいよいよ手に入れるのだ!一なる魔法を!!」
「一なる魔法?」
(やっぱりこの話、どこかで聞いたこと・・・ママ?)
エルザさんはハデスの話を聞いてそう言い、ルーシィさんは何かを考えていた。
「うぬらは行けぬ!大魔法世界には!!うぬらは足りぬ!深淵へと進む覚悟が!!」
ハデスは何やら見たことのない構えをする。
「なんだあの構えは?」
グレイさんも同じことを思ったらしく、そう呟く。
「ゼレフ書第4章12説より、裏魔法天罰!!」
ハデスがそう言うと、あちこちに飛び散っていた瓦礫から異様な形の黒い化け物が姿を現す。
「が・・・瓦礫から化け物を作ってるのか!?」
「ひっ・・・」
グレイさんとウェンディはその化け物を見て驚愕している。
「深淵の魔力を持ってすれば、土塊から悪魔をも生成できる。悪魔の踊り子にして天の裁判官、これぞ裏魔法!!」
ハデスが説明する間にも悪魔は次から次へと作られている。
(一体一体が・・・なんて絶望的な魔力の塊・・・あ・・・ありえん・・・)
エルザさんは悪魔の魔力を感じとり青ざめ、
(うぅぅぅ・・・)
ルーシィさんはナツさんに顔をうずめながら震え、
(怖い・・・怖い・・・怖い・・・)
ウェンディは倒れたままの俺の片手を強くにぎり目を瞑り、
(こんなの・・・どうしろって言うんだよ・・・)
俺はどうすればいいのかわからず絶望感に苛まれる。
(私が・・・恐怖で震えている・・・?)
(何ビビってんだ俺は!?ちくしょう・・・)
(怖くて・・・もうダメ・・・誰かあたしたちに勇気を・・・)
俺たちはその場から動き出すことができず、ただ震えて金縛りになっていた。すると、ナツさんが自分の体を抱き抱えているルーシィさんの手を握る。
「ナツ?」
「なんだ、こんな近くに仲間がいるじゃねぇか」
ナツさんは何かを語り始める。
「『恐怖は悪ではない。それは己の弱さを知るということだ。弱さを知れば、人は強くも優しくもなれる』」
俺たちはナツさんの方を振り返る。
「俺たちは、自分の弱さを知ったんだ。だったら次はどうする?」
ナツさんはボロボロの体にムチを打ち、ゆっくりと立ち上がる。
「強くなれ!立ち向かうんだ!!」
俺たちはナツさんの言葉を聞くと、自然と体の震えが収まっていた。
「一人じゃ怖くてどうしようもねぇかもしれねぇけど、俺たちは、こんなに近くにいる。すぐ近くに仲間がいるんだ!!今は恐れることはねぇ!!俺たちは、一人じゃねぇんだ!!」
ナツさんは俺たちを勇気づけようと大声で叫ぶ。
「見上げた虚栄心。だがそれもここまで!」
ハデスはそう言うが、俺たちはもうさっきまでと違う!!
(仲間がいれば・・・)
(恐怖はない!)
(そうだね、ナツ)
(たとえ魔力がもうなくても!)
(俺たちは絶対に諦めない!!)
((((((それが、妖精の尻尾!!))))))
俺たち6人は立ち上がり、悪魔たちを見据える。悪魔たちは俺たちの方へと一歩、また一歩と迫ってくる。
「行くぞーー!!」
「「「「「オオオオオオオッ!!」」」」」
俺たちはナツさんの掛け声と共に全速力で敵に突っ込む。
「残らぬ魔力で何ができるものか。踊れ!!土塊の悪魔!!」
ハデスの声と同時に悪魔たちが体からレーザーのような物を俺たちには発射する。
しかし、俺たちはそれに臆することなくただひたすらに走る。
ドンッ
その攻撃がナツさんの足を捕らえ、ナツさんは前のめりに倒れそうになる。
「ナツ!!」
だが、それをルーシィさんが掴み、ナツさんの体勢を無理矢理直す。代わりに、ルーシィさんがバランスを崩し、その場に倒れた。
ガシッ
今度はそのナツさんの手を、俺とウェンディが掴み、
「「行っけぇーーー!!!!」」
俺とウェンディがナツさんを前方へと投げ飛ばす。俺とウェンディはそれによりバランスを失い、転がるように倒れた。
「「ナツ!!」」
投じられたナツさんは、前を走るエルザさんとグレイさんまで飛んでいく。
二人は両足を高く上げ、ナツさんはそれに片足ずつを置く。
「「行けぇぇぇ!!」」
その置かれた足をエルザさんとグレイさんが勢いよく蹴り出す。
全員の力と想いを乗せたナツさんが、ハデスに向かって一直線に飛び込む。
「全てを闇の底へ!!日が沈む時だ!!妖精の尻尾!!」
ドゴォォン
ハデスの裏魔法とナツさんがぶつかり、戦艦は大爆発を起こした。
後書き
いかがだったでしょうか?
最後のナツを投げるのは実はギリギリまでどうしようか迷っていました。
シリルが最後にナツを援護するか、最初に援護するか・・・
でも、どうせならウェンディと一緒に投げた方が作者的にはいいなぁと思いましたので、少しルーシィの扱いが雑ですけどこのようにさせていただきました。
次回もよろしくお願いします。
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