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異世界系暗殺者

作者:沙羅双樹
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プロの時間(2016/05/16 一部修正)

 
前書き
当作品で初のビッチ先生活躍回な気がします。

ただ、総文字数がルビを合わせて2000字足らず。(笑)

やっぱり、主人公が関与しないと文字数が稼げません。(笑) 

 



【視点:樹】



隠密潜入に適した通用口のすぐ側にある崖を難なく登る非感染組―――別称、出撃組。ぶっちゃけ、その出撃組で1人だけ足手纏いがいた。それは―――


「ビッチ先生、何でついて来てんだ?」
「修学旅行の時と同じで留守番や除け者が嫌なんじゃない?」


烏間先生の背中に張り付く形で崖を登っているビッチ先生だった。ってか、ビッチ先生も一応A・T使って壁登り(ウォールライド)くらいできるだろうに。何で普通のハイヒール履いて来てんだよ。

まぁ、何はともあれ、出撃組の全員が無事に崖を登り終えると、もう目と鼻の先に通用口はあった。通用口の近くには監視カメラが設置されているが、俺達がそれを気にする必要はない。

何故なら、その監視カメラを始めとしたホテルの管理システムの一部は、既に律によって掌握されているからだ。全ての管理システムが掌握できないのは、多系統に分けられているからだそうだが、それでも隠密潜入するには十二分にシステムを掌握しているといえる。

さて、これから本格的な隠密潜入ミッションが始まる訳だが、その前に行うことがある。侵入ルートの最終確認だ。モバ律によって全員のスマフォに内部マップが表示される。

ホテルの構造はテレビ局と同じ、階段がバラバラに配置されたテロリストに占拠され難い複雑な設計となっていた。

烏間先生からこの普久間殿上ホテルの利用客の殆どが国内外のマフィア勢力や、それらと繋がる財界人と聞かされてはいたけど、こんな構造してるホテルならその手の宿泊客が愛用するのも納得だわ。

そして、ホテルの内部構造と侵入経路を確認した俺達は、改めて隠密潜入ミッションを開始した。元々、殺センセー暗殺の為、サイレント仕様となっているA・Tに暗殺訓練で得た無音歩法を加え、俺達はホテルの廊下を進む。

すると、侵入早々に最大の難所と出くわした。上の階に行く為には絶対に通らなければならないロビー。そこには最低でも13人の警備員が立っていたんだ。

流石、真っ当なことをしていないホテルだけあって、警備の数は尋常ではない。こんな警備の中、出撃メンバー全員を通過させるのは不可能。

誰にも気づかれず通過可能なメンバーは俺以外だと、ノーマルA・Tとはスペックが段違いな正規実用型疑似玉璽(プロダクション・サブレガリア)持ちの有希子、カルマ、悠馬、片岡。そして、烏間先生。

あとノーマルA・T組だと、スピード型である炎系暴風族(ライダー)の渚、正義、矢田が行けそうだから、合計で8人くらいか?

すぐ隣に居る烏間先生に視線を向けると、烏間先生も少数精鋭で行くべきか悩んでいる様だ。こうしている間も時間は刻々と過ぎていく。

何か打開案は無いかと、俺が思考をフル回転させていると、近くのワゴンカートに載っていたシャンパングラスを手にしたビッチ先生が余裕の顔で口を開いた。


「あんた達、何悩んでるのよ。普通に通ればいいじゃない。普通に」


ビッチ先生はそういうや否や、ちょっと酒に酔った女性客の様に自然な感じで体をふらつかせながら、ホール内にあるピアノに向かって行った。

成程。ホールにピアノがあるってことは、それを弾く者も当然いる。酒に酔ったピアニストに扮して、警備員の意識を自分に集める気か!

ビッチ先生は手始めにピアノの近くに居る警備員を集め、演奏を始める。その腕前は正にプロ。ピアニストとしても食って行けるだろうと思えるほどだった。

しかも、全身を使った艶やかなパフォーマンスは、男だけで構成されているロビーの警備員の視線を釘付けにするには十分だ。

遠く離れている警備員も、ビッチ先生が声を掛ければピアノの周辺に集まっていく。さながら絡新婦(じょろうぐも)といった所か。

こうして警備員達の視線がビッチ先生に釘付けとなっている内に、俺達は難なくすぐ近くにあった非常階段から2階、3階へと移動することに成功した。

移動の過程で出撃メンバーのほぼ全員が、ビッチ先生の思わぬ才能に驚いていたが、烏間先生だけが優れた殺し屋は万に通じると語っていた。

特にビッチ先生は潜入暗殺のプロ中のプロ。ハニートラップに関しては世界でも1、2を争う達人であるという説明を受け、俺達の中でのビッチ先生の評価が変わった。

ビッチ先生。足手纏いとか思って悪かったな。あんた、俺達にとっても尊敬すべき暗殺者で、最高の教師だよ。


 
 

 
後書き
次から敵キャラの登場なんですが、試作型疑似玉璽(サブレガリア)と敵キャラの組み合わせで少し悩んでいます。

登場する試作型疑似玉璽(サブレガリア)は炎、牙、轟、石なんですが、どういった組み合わせでいきましょうか?

鷹岡=石or炎
銃使い・ガストロ=炎or石
握力魔人・グリップ=牙
毒使い・スモッグ=轟

と考えていますが、皆さんのご意見もいただけると幸いです。
(ちなみに鷹岡を石か炎で迷っているのは、イッキに燃やされた屈辱からイッキを燃やそうとするか、それとも動けなくしてボコるかのどちらかを選択しそうだからです)

敵勢力の疑似玉璽(サブレガリア)組み合わせのご意見受付は、本日23時までとさせていただきます。是非ともご意見をください。 
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