転生とらぶる
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マブラヴ
1020話
重慶基地のBETA襲撃から数時間が過ぎ、現在俺の視線の向こうでは大勢の兵士達が戦術機やガン・ルゥ、あるいは重機を使ってBETAの死骸をコンテナへと詰め込んでいく。
働いている兵士達の顔に笑みが浮かんでいるのは。やはりBETAの襲撃を1人の死者も出さずに乗り切った為だろう。
勿論負傷者はいるが、それでもやはり死者がいないというのは大きい。
更にはBETAの死骸はコンテナに詰められ、オーストラリアに用意された港経由でホワイトスターに運び込まれ、資源へと姿を変える。
国の為というのもあるが、当然これだけの功績を残せば自分達に返ってくるリターンもでかい……といったところか。
その証拠に、今日の重慶基地の食事は他の世界から輸入された天然物の食事が配給されると先程放送で言っていた。
やはり食事というのは、兵士にとって最大の楽しみの1つなのだろう。
更に国連軍に頼らず、自分達の力だけでBETAを殲滅したというのは間違いなく強力な自信となる筈だ。
……その強力な自信が度を過ぎて慢心にならなければいいけどな。
確かに現在このマブラヴ世界ではBETAと人間だと人間の方に天秤が傾いている。それは事実だ。
だが、それはあくまでもシャドウミラーというイレギュラーな存在があってこそなのも事実。つまり、もし俺達に何かがあった場合、再びこの世界は危機に陥るかもしれない訳だ。
勿論既に俺達からの援助でかなり人間勢力の力は上がっている。ガン・ルゥのライセンス生産や、親しい国に譲渡したMSの解析による技術力の上昇。リニアガン・タンクは技術力の問題で作り出す事はできないが、それにしてもいずれ時間が経てば解決してくれるだろう。
……その辺を考えると、技術力では問題ない。だが、逆にその技術力が原因で人類同士で戦うという可能性も否定は出来ない。
特にソ連辺りはその辺で蠢く可能性が高いだろうし……何より俺達という存在がいなくなれば、再び恭順派や難民解放戦線のようなテロリスト共が活発に動くだろう。
「アクセルさん? 難しい顔をしてどうしました?」
そんな声に振り向くと、そこには恭子の姿があった。少し離れた場所には護衛の斯衛の如月の姿もある。
2人共が戦術機のパイロットスーツを着ているが、その上から更にジャケットを着ている為に、身体のラインは隠されている。
……本当に、誰がこんな趣味的なパイロットスーツを作ったんだろうな。是非一度会ってみたいものだ。
マリューはともかく、レモン辺りとは意外と話があいそうだし。
「いや、よくこの戦力で連隊規模のBETAを相手に勝てたと思ってな。それも、被害らしい被害は殆ど出さないままで」
「……一応被害は出たんですけどね。戦術機が数機小破してますし、その際に衛士……パイロットは怪我をしてますから」
残念そうな表情を浮かべる恭子だが、それでも悲壮感がないのは、やはり死者0という結果からだろう。
だが、そこに言葉を挟んできたのは如月だ。
「ですが、色々と問題点も見えてきました。特に今回は出撃が急だったせいもありますが、その為に補給が滞ってしまいましたしね。そのせいで恭子様がBETAに突っ込んで行くといった真似を……」
微かに唇を噛む如月。
思っていたよりも恭子に対して忠誠心が強いらしい。
「如月、気にしなくてもいいわ。あの時はあの手段が最善だった。それは貴方も分かっているでしょう? 状況判断力は高いのだから」
「それは……」
言葉に詰まる如月を見れば、恭子の言葉が事実であると言うのは間違いのない事実だったのだろう。
シャドウミラーであれば、まず真っ先に代表である俺が敵陣に向かって突っ込んでいくのは、既にセオリー通りと言ってもいい。
もっとも、俺と恭子では色々な面で違う。それこそ乗っている機体の性能から、仲間の実力、そして何よりも一生命体としての存在の格そのものが違うのだ。
レモン達が安心して俺を突出させるのは、やはり俺が混沌精霊……即ち、物理的な攻撃は無効だと知っているというのも大きいだろう。
もし何らかの要因でニーズヘッグが動けなくなったり、あるいは考えられない事だが大破したりしても、俺自身は全くの無傷で生還できる。
……まぁ、ニーズヘッグはシャドウミラーの機密がこれでもかとばかりに詰まっている。それこそ、システムXN、バリオン創出ヘイロウ、重力関係の技術、トロニウム、グレートグランドマスターキー、T-LINKフレーム、フォールド通信システム、ヒュドラ……他にも細かいのを挙げていけば切りがない程に。
こうして考えると、やっぱりニーズヘッグは機密が多すぎるんだよな。
他にも基本的に新技術はニーズヘッグで試してデータを収集してから、それを他の機体にフィードバックするみたいな感じだし。
その辺を考えると、確かにニーズヘッグを失っても俺は無事だろうが、レモンやマリュー辺りからの攻撃……いや、口撃を考えれば、とても無事だとは言えない結果になるだろう。
勿論俺としても、そう簡単にニーズヘッグをどうこうするつもりはないんだが。
何だかんだと長い間使い続けている愛機だ。どうしても感情移入をしてしまうのはしょうがない。
T-LINKフレーム採用機として、あそこまで俺と一体化しているかのように操縦出来る機体というのは貴重だ。
まぁ、元々が俺の反応速度についてこられなくなったグロウセイヴァーの代わりに新規設計した機体なんだから、当然だが。
「アクセルさんも映像モニタで見てましたよね? 如月の動きを」
恭子の言葉に、映像モニタ越しに見た光景を思い出す。
要塞級に向かって突撃する2機のTYPE-82。右の足の数本を恭子の機体が切断すると、それに続くかのように如月の機体もまた左の足を斬り飛ばしていた。
日本の……しかも五摂家や近衛の出身だけあって、重斬刀の扱いに関しては見事と言える。
正直、重斬刀を開発したザフトのパイロットよりも技量は上だろう。まぁ、重斬刀に関しては、という但し書きが付くが。
「そうだな。お前達に分かりやすく言えば、重斬刀の扱いに関してはかなりのものがあると思うぞ」
「そんな……ですが、それは戦術機のOSがシャドウミラーとの接触のおかげで高まったからこそ……」
「何言ってるのよ。確かにアクセルさん達から得た技術もあるけど、実際にそれを使いこなしているのは如月でしょ? あまり謙遜するものじゃないわ」
「……恭子様……」
恭子の言葉に、如月が目を潤ませる。
仕えている相手が自分の技量を認めてくれたのが素直に嬉しいのだろう。
だが、すぐに我に返ったかのようにコホン、と小さく咳をしてから意味ありげに俺の方へと視線を向け、続けて恭子の方に視線を向け、口を開く。
「そう言えば、恭子様も今回の戦いでは随分と張り切っているように見えましたが……それはやはり誰か自分の活躍を、そして格好いいところを見て貰いたい人がいたからなんでしょうか? ……例えば」
再びチラリと俺の方へと視線を向ける如月。
ここまで来れば、恭子にも如月が何を言っているのか分かったのだろう。頬を赤く染めながら叫ぶ。
「如月! 貴方一体何を言っているの!?」
「そうですね。ですが恭子様は崇宰家の次期当主。嫁に行くというのは……」
「候補よ、候補。別にまだ私に正式に決まった訳じゃないわよ。……じゃなくて! 嫁って何なのよ!」
「出来れば婿を貰うのが……」
「む、む、婿!?」
赤く染まっている恭子だったが、如月はそれに気が付きながらも、全く気が付いていない振りをして言葉を続ける。
「それはそうでしょう。恭子様は五摂家の次期当主……候補なのですから、嫁を取る訳にもいかないでしょう?」
「それはそうでしょうけど……でも、だからといってここでそんな話をしなくても」
「あら、誰か他の人に聞かれて困る事でも?」
もう完全にからかわれているな。このままだとちょっと可哀相だし、助け船を出してやるか。
「で、今日は豪華な食事を食べられるって話だったが、お前達はどうするんだ? 俺はそろそろ帰ろうと思ってるんだが」
その言葉に、ピクリと反応したのは恭子……ではなく、如月。
恭子の方を一瞬見ながら口を開く。
「その、もう戻られるのですか? 折角なのですから、アクセル代表も一緒に食べていかれては?」
「今回の戦いに参加していない俺がいても、色々とこの基地の者としては困るだろう。それこそ、上の奴等がな」
図星だったのか、如月は言葉に詰まる。
表情には出ないが、なかなかに正直な性格をしているよな。
「……そうですか。残念ですが、しょうがないですね。出来ればご一緒したかったのですが」
恭子の方も、そう言って納得する。
実際、祝勝会的なやり取りをしている時に俺がいれば色々と面倒臭い出来事になりかねない。
特にこの重慶基地の人々は日本の軍人であり、シャドウミラーとの付き合いも長いし、この重慶ハイヴを攻略する為のオペレーション・ルシファーにも参加しているのだ。
そうであれば、当然シャドウミラーがどれ程の力を持っているのかも分かる筈であり、今回の防衛戦に俺がいたにも関わらず協力しなかったと知れば、中には不満を持つ者も多い。
特に俺の顔はシャドウミラーの代表としてエザリア率いる政治班と同様に広く知られている。
ここで俺が祝勝会に参加すれば、不満に思った兵士が突っかかってきて……最悪国際問題となる事すらも有り得る。
それを考えると、やっぱり俺は祝勝会に参加しない方がいいだろう。
そして、何よりも祝勝会で出る料理はこの世界では天然物と言われているが、その実は缶詰めとかのレトルト料理が中心だ。軍隊だけにネギま世界やSEED世界、ギアス世界、マクロス世界の軍隊食……いわゆるミリ飯の類が出るかもしれないが、その辺に関しては正直微妙と言ってもいい。
少なくても俺としてはマリューや千鶴が作ってくれた料理を食べたいし、何よりも基本的には朝食と夕食はホワイトスターで全員揃って食事をするというのが暗黙の了解となっている。
時々超包子の料理になる時もあるのだが。
ともあれ、出来合のレトルト食品と愛情の籠もった本物の料理。そのどちらが食べたいかと聞かれれば、答えは決まっていた。
「悪いな。……ただ、そうだな。今回の詫びって訳じゃないけど、今度恭子と崇継をホワイトスターに招待するよ」
俺の口から出たその言葉は、余程に恭子の度肝を抜いたのだろう。いや、その恭子をからかっていた如月ですらも大きく目を見開いている。
まぁ、無理もないだろう。このマブラヴ世界の住人でホワイトスターに来た者は今まで一人も存在しないのだから。
マブラヴ世界に俺が来てから一年以上が過ぎているというのに、未だに自分達の危機を救ってくれた国の本国へと行った事がない。それは、色々な意味で不味いだろうと少し前からエザリアからも言われていた。
勿論、このマブラヴ世界で俺達シャドウミラーが一番友好的な存在と認識しているのはオーストラリアだ。それを思えば、恭子達を招待する前にオーストラリアからも何人か招く必要はあるだろう。
「い、いいのですか? その、勿論私としては嬉しいのですが」
「ああ。ホワイトスターがどんな場所なのかを見て、体験して貰うのには丁度いい時期だろ」
「……ありがとうございます」
恭子が頭を下げているのに小さく首を振る。
「今も言ったが、元々タイミングを見て呼ぶつもりではあったんだ。ただ、連れていく人数は相当数制限させて貰う事になると思う。その辺の詳しい話し合いはエザリアとやって貰うだろうが、恐らく護衛に関しても1人程度が精一杯ってところだろうな」
この辺に関してはしょうがない。出来ればもう少し護衛の人数を多くしてもいいとは思っているんだが、どうしても人数が多くなれば目が届かなくなる。
勿論各種防犯カメラの類や、量産型Wによる監視の目はあるが、一応最初という事でその辺に関しては勘弁して貰おう。
「ですが、それでは……恭子様にしても、崇継様にしても大事なお体です。もう少し護衛を増やす訳にはいきませんか?」
「護衛に関してはこっちでも用意するから、あまり心配するな」
「……如月、その辺にしなさい」
「恭子様!」
「如月、私はその辺にしろと言ったのよ?」
「……申し訳ありませんでした」
その言葉を発した恭子は、先程まで如月にからかわれていたのと同一人物だとは思えぬ程に凜とした表情を浮かべていた。
この辺はさすがに五摂家の生まれと言うべきなんだろう。
「ま、護衛に関しては本当に心配するな。恭子にしろ、崇継にしろ、俺が案内をする以上は絶対の安全を約束するよ。それに逆に考えれば護衛は1人連れていく事が出来るんだ。その分腕利きの護衛を選べばいいだけだろう?」
そう告げると、如月は渋々とだが頷くのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:42
PP:350
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
???
???
撃墜数:1179
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