ハイスクール・DM
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24話
人を好きになるのに理由は要らないと言うが、何事にも切欠がある。
四季にとって詩乃との出会いは彼にとっての“救い”でもあった。
アウトレイジの力への覚醒とそれに伴う人と言う器からの逸脱。……両親からも拒絶された経験はクロスやキングと出会う前の四季の心に暗い影を落していた。
そんな中で四季は詩乃と出会い……彼女によって救われた。
無法なる破壊者では無く無法の英雄の道を四季が選べたのは、詩乃と言う少女の存在が有るがゆえだろう。
それが四季にとっての始まりである。
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「あ、貴方達、知り合いだったの?」
和気藹々と仲良く会話している四季達とライザーに対して引き攣った表情で問いかけるリアス。
どうにかしてライザーとのレーディングゲームには四季達を助っ人として手を貸してもらえないかとも思っていたが、様子を見る限りでは無理と言う言葉が浮かんでくる構図だ。……彼女自身自分の眷属達の事は信じているが、それでも経験の差は大きい。
……何より、フェニックスの異端児とされているその力は、既に本人がその気になれば力だけで当主の座を奪う事も可能だと言われているが、本人は当主の座には興味ないらしく、その手の問題は起こっていない。好みの女性を眷属に集めてハーレムを築いてレーディングゲームを楽しみながら日々をのんびりと過ごしている放蕩者と言うのが周囲の評価だが……本人がやる気になれば魔王の座さえも手にするのも難しくないと思えるのは、気のせいでは無いだろう、ライザー・デス・フェニックス。
両家や兄の方にも助っ人の参加を認めさせる理由はある。二人目の僧侶の存在や、未使用の騎士と戦車の駒の事を理由にすれば説得の芽がある。だが、肝心の助っ人の手を借りられなければそれも意味は無い。
「まあな」
「ま、舎弟ってとこだな」
そう言って笑い出すキングとクロスの二人。何処で知り合って、どうして舎弟になったのか気になる所だが、今はどうやって四季達に助っ人を頼むかがリアス達にとっては問題だった。
(っ!? そうよ、これなら……)
その時、自分が……本人にとってはどちらも嫌な思いしかないが、リアス・グレモリー個人を見ずにサーゼクスの妹と言う理由で嫌われている事実。嫌っている相手が友人の身内になるのは彼らとしても認められないことだろうと考えるが……
「しかし、リアス・グレモリーがお前の婚約者だったなんてな」
「お前も最近ずっと思っていた相手と恋人になれたと聞いたぞ、良かったな」
「ああ、サンキュー」
詩乃と恋人となれた四季を祝福するライザーに四季は礼を言う。
「お前とグレモリー家が親戚になるって言うなら、オレ達も少しは対応を変えないとな」
「まっ、いい切欠だな。サーゼクス・ルシファーに対する恨みは殆ど間接的な者だったしな」
「詩乃の事は兎も角……直接何かされた訳じゃないんだ、いい機会だろうな。面白くない喧嘩は早く終わらせるに限る」
(ちょ、ちょっと待って!!!)
なんか……リアスとライザーが結婚したら悪魔側と無法龍が和解できる芽まで出ている始末。……はっきり言って結婚を嫌がっている自分が一方的に悪者にしか見えない。
そもそも、四季にとってサーゼクスを嫌う理由は間接的なものだ。詩乃が関係さえしてなければそれほど引き摺るほどの事では無い。
化け物揃いといわれているサーゼクスの眷属達だが、無限の龍神に順ずる世界三位のカツキングとそのカツキングと互角に戦えるクロスファイアを筆頭にアウトレイジのメンバーも十分に化け物揃いだ。戦い方によっては勝ち目だって有る。
「ちょっと待てよ!」
そんな中で一誠が叫び声を上げる。四季とライザーの二人に敵意を向けているが……
「そっちもか?」
「何が有ったんだ?」
敵意むき出しの一誠を疑問に思って四季がライザーへと問いかけると、先日……レーディングゲームの開催が決まった時の経緯を説明された。
「無謀な話だろ、数の上で三倍の戦力って」
しかも、朱乃は敵側の女王と戦った場合他のライザー眷属との戦いには参戦できず、アーシアは戦力として数えられない。実際に他の眷族と戦うのは木場と小猫と一誠の三人なので最低でも一人で四人は倒す必要が有る……。
「しかも、一誠はライザーの所の兵士に一撃って……八個の兵士の駒が泣くだろ?」
「赤龍帝の籠手と言う大層な神器を持っていても、倍加してもこいつの力じゃたかが知れてるぞ」
哀れみの篭った視線を四季とライザーの二人から同時に向けられると更に憤慨する一誠だが、
「ああ、それと大事な事を忘れるところだった。リアス、10日の準備期間の他にハンデをつける事になった」
「ハンデ、ですって?」
そう言ってライザーから渡されるのは四つの『フェニックスの涙』と呼ばれる回復アイテム。
「そっちはフェニックスの涙を特別に四つ渡されて、こっちは使用しない事になった。ああ、助っ人も一人くらいなら頼んでもいいぞ」
完全に舐められている。そう思わずにはいられないがリアスとしては怒りに任せて口から出そうになる『ハンデなどいらない』と言う言葉を飲み込む。……助っ人に至っては唯一の心当たりがどう考えても非協力的なのだから。
ふと、互いに笑みを浮かべると四季とライザーの間で真紅と紫の炎が相殺しあう。
「前よりも強くなったな、四季」
「お前もな、ライザー」
互いに心底楽しそうな好戦的な笑みを浮かべる。……詩乃と居る時はどんな時でも心底楽しいと言う四季だが、その次に楽しいのが……純粋に全力で戦える相手と戦う事だ。アウトレイジとしての本能が刺激され、全力を尽くして戦い合うのは楽しい。
全力で戦える相手の一人がライザーである以上、互いに以前よりもどれだけ強くなったが存分に確かめ合いたくもなる。
「部屋の中で炎を柄たら危ないでしょう」
隣に居る詩乃のチョップで正気に戻る四季だった。
「い、いや、ちゃんと相殺できるように……」
「四季なら他に防ぎ様は有るじゃない」
「はい、すみません、詩乃さま」
即座に全面降伏する四季。……何処まで強くなっても、詩乃と争うと言う選択しすらない四季である。
「ハハハ、それならさっきのはオレも悪かったな。それにしても、本当に仲が良いな」
そんな二人の仲の良い様子に笑いながらライザーは先ほどの事を謝罪する。
「当然だろ」
それに堂々と同意する四季と恥ずかしそうに俯く詩乃。
「ああ、良かったら観戦に来ないか? 席は用意しておこう、妹もお前に会いたがっていたからな」
「妹?」
「そう言えばあの時以来会ってなかったな」
ライザーの言う妹は彼と同じくフェニックス家のもう一人の異端児にして彼の僧侶の一人、『レイヴィル・フェニックス』である。……同じく異端児と呼ばれるその姿は、レーディングゲームで一転突破を狙って唯一戦っていなかった彼女を狙った相手の全戦力を一瞬で全滅させた事から、ライザーと並ぶ彼の眷属のもう一人の王として恐れられている。
紅茶を優雅に楽しみながら片手を翻しただけで敵を全滅させた姿、光と聖を内包した死と闇の炎である兄とは対局の炎を操る……悪魔の中でも異端の彼女を誰もが恐れている。
……ぶっちゃけると、彼女の魂にもライザーと同じく『龍炎凰 エターナル・フェニックス』を内包している。
クリーチャー世界最強の炎と闇のフェニックスを宿した兄と妹、それが四季の友人になったライザー達二人である。
後書き
折角だから出してみました、エターナルフェニックス。兄がデスで妹がエターナルって、何この最強の兄妹。
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