ハイスクールD×D 新訳 更新停止
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第4章
停止教室のヴァンパイア
第93話 行動、開始です!
前書き
……イッセーはどんだけインフレ化するんだ…?
あと、リゼヴィムが一気にディオドラやシャルバ並に小物になったな。
カテレア・レヴィアタンと呼ばれた女の攻撃で俺達は爆発に包まれたが、三大勢力のトップ達が張った結界によって無傷で済んだ。
「三大勢力のトップが共同で防御結界?フフ、なんと見苦しい!」
いきなり、問答無用で攻撃してきておいて、随分な言い草だな。
しかし、先代レヴィアタンの血を引く、か…。
そう言う一族がいたのなら、なんで、今の魔王制度があるんだ?
まして、悪魔は血統を重要視する種族だ。
そんな種族が自分達の王の血筋を蔑ろにしたって言うのか?
『まあ、厄介払いされたのは確かだな』
(厄介払い?)
ドレイクが先代魔王の末裔が旧魔王と呼ばれる様になった事の顛末を語った。
どうやら、先代魔王の血を引く者達はコカビエル同様に種族の存続が危ういにも関わらず、徹底抗戦を主張、種族の存続を優先する現魔王と対立、結果、権力争いに敗れて冥界の隅に追いやられたみたいだ。
「どう言うつもりだ、カテレア?」
「この会談の正に逆の考えに至っただけです。神と魔王が居ないのならば、この世界を変革すべきだと」
「カテレアちゃん、止めて!どうしてこんな…」
「……セラフォルー、私からレヴィアタンの座を奪っておいてよくも抜け抜けと!」
「わ、私は…」
「安心なさい、今日この場で貴女を殺して、私が魔王レヴィアタンを名乗ります!」
「やれやれ、悪魔共のとんだクーデターに巻き込まれたのかと思ったが…」
「貴女の狙いはこの世界そのものと言う訳ですね?」
「ええ、ミカエル。神と魔王の死を取り繕うだけの世界、この腐敗した世界を私達の手で再構築し、変革するのです!」
カテレア・レヴィアタンの宣言に、トップ陣は揃って表情を陰らせた。
「クッフッ、フハハハハ…♪」
……約一名を除いて。
「……アザゼル、何がおかしいのです?」
アザゼルだけが心底おかしそうに笑っていた。
「アッハハハ♪腐敗?変革?陳腐だなぁ、おい?そう言う台詞は一番最初に死ぬ敵役の台詞だぞ?」
「私を愚弄するか!」
アザゼルの態度に激怒するカテレア・レヴィアタンだが、アザゼルはどこ吹く風と言った様子だった。
「良いな、サーゼクス、ミカエル?」
アザゼルは薄暗いオーラを放ちながら前に出る。
「カテレア、下るつもりはないのだな?」
「ええ、サーゼクス。貴方は良き魔王でしたが、残念ながら最高の魔王ではなかった!」
「そうか。……残念だ」
カテレア・レヴィアタンの答えにサーゼクス・ルシファーが瞑目すると同時にアザゼルとカテレア・レヴィアタンは上空へと飛翔する。
「旧魔王、レヴィアタンの末裔。終末の怪物の一匹。相手としては悪くねぇ。ハルマゲドンと洒落込むか?」
「堕天使の総督ごときがッ!」
対峙した二人は、そこから激しい攻防を繰り広げ出した!
その激しさは、周りの魔術師が巻き込まれて消し飛ぶ程だった。
ドドドドドドッ!
二人がこの辺から離れたのを見計らって、魔術師達が一斉に攻撃を仕掛けてきた!
幸い、トップ達が張った結界が防いでくれてはいるが、これだけの物量だと破られるのも時間の問題か…。
「多勢に無勢ですね。消耗戦に持ち込まれるのは避けなければ…」
「今、グレイフィアがゲートの解析を行っています」
「それまで時間を稼がなきゃってこと?」
「なら、俺達が敵の攻撃を防ぎます!」
俺の言葉と同時に木場、ゼノヴィア、イリナ、ユウナ、ライニー、アルミヤさんがそれぞれの得物を手にする。
「君達が?」
「当然です!」
「はなっから、じっとしているつもりはありません!」
「ご安心ください、ミカエル様!」
「元より、警護する者としてこの場にいる身」
「僕達にお任せください、魔王様!」
「この聖剣デュランダルの名に掛けて!」
俺達の決意を目にし、サーゼクス・ルシファー、セラフォルー・レヴィアタン、大天使ミカエルは互いに目配せして頷く。
「君達に任せる」
「頼みます」
「お願いね」
トップ達の言葉を聞くと同時に俺は洋服交換指輪(ドレス・チェンジ・リング)で戦闘服に着替え、武装指輪(アーム・リング)から一本の刀、マジックスラッシャーを取り出す。
「んじゃ、私も自分のお仕事をしますかね」
そう言った姉貴は洋服交換指輪(ドレス・チェンジ・リング)で戦闘服に着替えながら髪を手早く紐で副部長がしている様なポニーテールに括る。
「ちょっと引っ掻き回したげるから、その隙に仕掛けちゃいな」
言うや否や、姉貴が指を鳴らした瞬間、地面から大量の水流が発生し、枝分かれしながら魔術師達へと一斉に襲い掛かった!
『ッ!』
魔術師達はすぐさま防御障壁を展開するが、水流は意志があるかの様に障壁を避け、魔術師達の頭部に直撃し、水はそのまま球体を形作り、魔術師達の頭部を完全に覆ってしまう。
それによって、呼吸ができなくなった魔術師達が慌てふためく。
「ホラホラ、ボサッとしてないで、行動開始!」
姉貴は既に学園の林の方に向かって駆け出していた。
行動が早いな。
俺達は向かい合って頷き合うと、姉貴の奇襲で混乱している魔術師達に仕掛けるのだった。
グギッ!
首から小気味の良い音が鳴って、男が一人倒れた。
「さて、さっきのも含め、これで七人」
そう言いながら私は右手を銃の形にして、二時の方向に向ける。
指先には小さい水の塊ができていた。
「バンッ」
その瞬間、指先から水の塊が撃ち出される。
「命中。これで八人」
それにしても、まだまだいるなぁ。
予め、学園の敷地の隅々に地面を通じて水を行き渡らせた私の水のレーダーで確認できる範囲だと、十人はいるな。
冬夜達から逃れられるは精々、十人ぐらいだと思ったんだけど…。
「ま、良っかぁ」
どうせ、さっきから湧いて出てくる魔術師達の相手をするとなると、十人も二十人も変わんないっか。
ドゴォォォォン!
「?」
上空から爆発音が響いたんで上を見ると、堕天使の総督さんと旧魔王の末裔のオバサンが光と魔力の激しいぶつけ合いを繰り広げていた。
「ワオ♪次元が違うねぇ♪」
どちらも余裕を出してたけど、総督さんの方が余裕度は高いかなぁ?
「そろそろ本気を出すとします」
そう言って、オバサンはなんか取り出した。
「蛇?」
それは黒い蛇の様な物だった。
「覚悟を決めてもらいましょうか、アザゼル!」
その黒い蛇を取り込んだ瞬間、オバサンのオーラが急激に増大した!
ズバァァァァァッ!
オバサンは杖から今までとは比べ物にならないくらいの禍々しい強大な魔力を放ち、総督さんを呑み込んだ。
あ、オバサン「やったか!」って顔してる。
オバサン、それ、やってないフラグ。
現に総督さん、いつの間にかオバサンの背後にいるし。
「その前にはっきりしておこうじゃねえか」
「ッ!」
声掛けられてようやく気付いたオバサンは手に魔力を纏わせて、裏拳を繰り出すけど、総督さんに片手であっさり止められた。
「このオーラの量、たかだか魔王の末裔風情の力じゃねえな?」
やっぱ、さっきの黒い蛇って、ドーピングだった訳か。
「バックに何がいる?」
「答える意味はありません。貴方方は今ここで滅ぶのですから!」
オバサンは総督さんの質問に答えず、再び強大な魔力を放出した。
う~ん、スゴいオーラだったけど、総督さんなら大丈夫かな?ドーピングされても超余裕そうだったし。
「さて、オバサンの方は総督さんに任せるとして」
総督さんとオバサンの戦いを見てる合間に水鉄砲(ウォーター・ブレット)で二人やっつけたから、残り八人っと。
ちゃっちゃと終わらせちゃお。
「ハァァッ!」
俺は展開された防御障壁ごと魔術師を貫く。
魔術師へと突き刺したマジックスラッシャーから手を放し、左右から俺を狙い撃とうとしている魔術師二人にバーストファングを投げ付ける。
突き刺さってたマジックスラッシャーを抜き、爆発によって怯んだ魔術師の片方に一気に距離を詰めて障壁を張られる前に一閃、もう片方の魔術師の攻撃を刀で弾きながらマジックキラーを投げ付ける。
マジックキラーは吸い込まれる様に魔術師の額に直撃した。
俺はマジックキラーを回収しながらその場から走り出す。
周りは敵だらけな為、立ち止まってると的になるからだ。
走り抜け様に魔術師を三人程切り捨て、同じ事をして向かいから走って来ていた木場と合流、背中合わせ状態になる。
「調子はどうだ?」
「フフ、絶好調…と言いたいとこなんだけどね…」
「この数を相手にするなんて思うとな…」
魔術師一人一人の実力はそこそこ高い程度で倒す分には問題無いんだが、いかんせん、さっきから倒した側から湧いて出てくる。
「ま、泣き言は言ってられねえけどな」
「フフ、そうだね」
なんて軽口を叩き合ってると、無数の剣が飛んできて、俺達の周りにいた魔術師達を貫く。
「やれやれ、この調子では貯蔵している聖剣が底を着きそうだ」
アルミヤさんが嘆息しながら歩み寄って来た。
「その掃射の能力、一本につき一人にする様にすれば、それなりに節約できるんじゃないんですか?」
「そこまで器用な能力ではないよ」
「それは残念」
とは言え、この人のあの掃射の能力はこう言う状況だと、非常に助かるんだがな。
そんな事を思ってると、再び数人の魔術師に囲まれ、俺達は応戦の為に構える。
ダダダダダッ!
「テァァァッ!」
俺達を囲っていた魔術師達をライニーが撃ち抜き、ユウナが切り捨てる。
「大丈夫、アス君!」
「ああ」
っと言うか、すっかりその呼び方で定着しちまってるんだな。
二人とも、瞳の色が赤く染まっていた。
血の悪魔の子供達(ブラッド・チルドレン)の身体能力を全開にしている訳か。
「なんだ、もうへばったのか?」
ライニーがそんな憎まれ口を叩いてきた。
「フン、お前こそどうなんだよ?」
「知っての通り、周り曰く化け物様だからな。全然余裕だ」
「そうかよ。だったら、人間に引きずり下ろしてやるから、覚悟してろ」
「減らず口を」
「あはは…」
憎まれ口を叩き合う俺達を見て、ユウナが苦笑いしていた。
「ハァァァッ!」
勇ましい叫びが聞こえ、そちらを見ると、ゼノヴィアがデュランダルを豪快に振り回して魔術師達を凪ぎ払っていた。
「って、ヤベッ!?」
デュランダルを盾にして魔術師の攻撃を防いでいるゼノヴィアの背後を攻撃を行おうとしている魔術師がいた!
「フゥッ!」
そこへ、イリナが紐状にした擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)で縛り上げる。
「ゼノヴィア!」
「ハァァッ!」
イリナが縛り上げた魔術師をゼノヴィアは空かさず切り捨て、二人は俺達の下まで下がる。
「助かったよ、イリナ」
「……どうして…?」
「え?」
「どうして、本当の事を言わなかったのよ!?裏切ったんじゃなく、追放されたって!」
「……それを話すには、神の不在を知らなければならない。それを知った時の君の顔を見たくなくてね…」
「……ッ…」
ゼノヴィアは信仰心が高いイリナに神の死を知られるのを避ける為、ゼノヴィアはあえてイリナからの裏切り者と言うレッテルを甘んじて受け取ったのだった。
……もっとも、今回の会談の警護を任された段階で知る事になっちまった訳だが…。
「……この会談は…」
「イリナ?」
「潰される訳にはいかないわね。和平が成立すれば、悪魔だって敵じゃないんだから!」
「神の信徒であってもね。戦おう、私達の友情の為に!」
「ええ!」
どうやら、元の鞘に収まったって感じだな。
「良かった。イリナちゃん、なんやかんやでゼノヴィアの事でショック受けてたから。あんなの見ちゃったら、尚更頑張らないとね!私もアス君やイッ君ともっと仲良くなりたいし!」
「フッ、それは俺もあいつも大歓迎だな。あと、そこのひねくれ者の姉の事も少しは進展するかもしれないな」
「チッ」
俺の言葉にライニーは舌を鳴らす。
実際、こいつもそう考えてるんだろう。
じゃなかったら、ここまで必死にならないだろうからな。
それに、こう言う重要な会談の警護をしたって言う事実があれば、こいつら血の悪魔の子供達(ブラッド・チルドレン)に対する見方も多少は変わるかもしれないしな。
「……話し合いはその辺にした方が良いだろう。……来るぞ!…」
喋ってる間に周りは魔術師だらけになっていた。
流石に会話し過ぎてたか。
もっとも、モチベーションは大分高くなった。
『ハァァァァァッ!!』
この会談を、和平を成立させる為、俺達はそれぞれの想いを胸に魔術師達に立ち向かう!
ドゴォォォォン!
「何事だ…」
ドゴォッ!
撃ち込まれた部長の魔力に驚いていた魔術師の一人を籠手の方の手で殴り飛ばす!
部室に転移が成功した後、部長が小猫ちゃんとギャスパーの魔力を辿って、二人がギャスパーがいた部屋にいる事が分かり、部長の許可をもらい、プロモーションで女王(クイーン)に昇格した後、ギャスパーの部屋まで行き、今の様に突入した。
……ここに来る途中、新校舎の方で爆発音がした事が気になったけど、明日夏なら大丈夫なはずだ。
今は目の前の敵に集中だ!
「悪魔だと!?」
「バカな!?向こう側の転移は封じたはずだ!」
室内を見渡すと、魔術師の女達が俺が殴り飛ばしたのも含めて十人ぐらいいて、俺達の突入に慌てていた。
「………リアス部長……イッセー先輩…」
その後ろに魔方陣で拘束されている千秋、鶇さん、燕ちゃん、神楽、小猫ちゃん、ギャスパーがいた!
……っと言うか…、……何故にギャスパー以外逆さで拘束されてるんでしょうか…?
そのせいで、スカートが重力に従って捲れてしまい、パンツが丸見えになってて、視線が釘付けになっちゃうよ!
俺の視線に気付いたのか、千秋と燕ちゃんが顔を真っ赤にし、小猫ちゃんにジト目で睨まれてしまう。
「……部長、すみません…」
「良いの、貴女達が無事だっただけで。それで…」
「どんな手品を使ったのかは知らないけれど、少しでも動いたら!」
小猫ちゃんと部長の会話を遮って、女魔術師達が千秋達に短剣を突き付ける!
人質って訳かよ!
「……部長…、僕を殺してください…!」
「お前、何言ってんだ!?」
「……僕なんか死んだ方が良いんです…!……臆病者で、役立たずで、それどころか、こんな力のせいでまた迷惑を!」
「バカな事を言わないで!貴方を眷属にした時、言ったはずよ!私の為に生きなさい。同時に自分が満足できる生き方を見付けなさい、と。貴方は私の下僕で眷属。私は決して、貴方を見捨てない」
「……リアス…部長…!」
部長の言葉にボロボロと涙をこぼすギャスパー。
「バカねぇ♪こんな危なっかしい存在、さっさと洗脳して道具として使えば良いのに♪」
「おあいにく様、私は私の下僕を大切にするのよ」
「生意気な口ね!悪魔のクセにキレイなのも気に入らないわ!」
そんな嫉妬に憤った女魔術師が部長に魔術による攻撃を放った!
ボンッ!
俺は部長の前に出て籠手を盾にして攻撃を防ぐ!
「ギャスパー」
部長が前に出てギャスパーに語り掛ける。
「私にいっぱい迷惑を掛けてちょうだい」
「……え…?」
「私は何度も何度も貴方を叱ってあげる、慰めてあげる。決して貴方を放さないわ」
「……部長…。部長…、ッ、僕は!!」
ギャスパーが再び泣き出すが、それは悲しみから来る物じゃなく、嬉しさから来る物だった。
やっぱ、リアス部長は最高だぜ!なら、俺も!
「ギャスパァァァァァッ!!」
「ッ!?」
「逃げるな!恐れるな!泣き出すな!俺も!部長も!朱乃さんも!アーシアも!木場も!小猫ちゃんも!ゼノヴィアも!明日夏も!千秋も!鶇さんも!燕ちゃんも!神楽も!みんな仲間だ!絶対にお前を見捨てねえ!」
『Boost!』
「アスカロン!」
『Blade!』
新たな音声と共に籠手からアスカロンの刀身が現れる!
「抵抗する気か?ッ、何のマネだ!?」
「イッセー、何を!?」
『イッセー(兄)(君)(さん)!?』
部長や拘束されてる千秋達、女魔術師達が一斉に困惑しだす。
当然だろう、いきなり右手をアスカロンの切っ先に近付けているのだから。
「……だけどな、ギャスパー…」
ザシュ。
アスカロンの力を一時的に無くし、右手の掌を自ら斬る。
痛みと共に右手から血が流れ出る。
「自分から当たんなきゃ始まらないんだぜッ!!」
左腕を突き出すと、アスカロンの刀身がギャスパーの方へと伸びていき、刀身に付いた俺の血が飛び散ってギャスパーの口元に付着する。
「テメェもグレモリー眷属だろうが!男を見せてみろ!ギャスパァァァッ!!」
俺の言葉を聞くと同時にギャスパーは血を舐め取る。
瞬間、室内の空気が様変わりし、いつの間にかギャスパーが消え、拘束されていた千秋達が解放されて、俺の近くにいた!
「消えた!?」
「いえ、時間を止めたんだわ!?」
「しかし、神器(セイクリッド・ギア)は制御していたハズ!?」
困惑する女魔術師達にいつの間にか現れていた無数のコウモリが襲い掛かる!
「変化したのか!?吸血鬼(ヴァンパイア)め!?」
更に女魔術師達の影から黒い手の様な物まで出てきて、女魔術師を縛り上げる!
「臆するな!」
「くらえ!」
女魔術師達も抵抗するが、攻撃を受けた黒い手は霧散した後、すぐに再生してしまう。
更にコウモリ達が女魔術師達に噛み付く。
「血を吸うつもり!?」
「血だけじゃないわ!?力まで!?」
女魔術師達はギャスパーに手も足も出てなかった。
ギャスパーの黒い手から逃れていた何人かが逃げようとしていたけど、お返しとばかりに千秋達に吹っ飛ばされていた。
「これって…?」
「あの子の秘めていた力の一部よ」
「……これで一部なんだ…」
「イッセーの血を吸収した事で解放されたのね。でもイッセー、よくこんな事を思い付いたわね?」
「いえ、それは…」
俺の脳裏にアザゼルの姿が浮かび上がる。
「部長!」
小猫ちゃんの叫びに我に帰ると、女魔術師の一人が部長に攻撃を放っていた。
咄嗟に体を張って盾になるけど、攻撃が途中で静止してしまう!
「と、止めたの!?魔術だけを!?」
『無駄ですよ。貴女方の動きは全て見ていますから』
室内に響き渡るギャスパーの声と共にコウモリ達の赤い瞳が一斉に輝き出し、女魔術師達が全員停止してしまう!
『イッセー先輩、トドメです!』
「任せろ!」
俺は一瞬で女魔術師達の体へタッチし、篭手の左手の指を鳴らす!
「洋服崩壊(ドレス・ブレイク)ッ!!」
瞬間、停止状態の女魔術師達の衣服が物の見事に弾け飛び、眼前に女の裸が晒される!
「オオォォッ!!これはまさに全裸の見本市!ギャスパー、やっぱ、俺達が組めば無敵だぜ!」
『はい、イッセー先輩!』
「……これでついに…。ついに!俺の夢が叶うのだ…」
ゴンッ。
眼前の全裸の見本市にダイブしようとしたら、部長の拳骨をもらってしまった!?
「ダメよ」
ああ、やっぱりですか…。
「……最低です」
小猫様からも毒舌をいただきました…。
その後、手早く女魔術師達を拘束し、部長が冥界に転送させている間にアザゼルからもらった腕輪をギャスパーに着けてやる。
「これで暴走しないハズだ」
「はい」
すると、千秋が俺に近寄ってくる。
「……イッセー兄、手…」
「ああ。これぐらい、平気だよ。それに、これよりも酷いケガを負った事もあるし、それに比べれば…」
「……ケガして良い理由にならない…」
うっ、ちょっと涙目になっちゃってる…。
「イッセーさん、手を出してください」
神楽が近寄ってきて、そう促してきた。
よく分からないまま、言われた通り右手を出すと、神楽が俺の手を自分の手で包み込んだ。
その瞬間、手から痛みが消え出した!
「これで治りも早くなります」
「何やったんだ…?」
「仙術で治癒力を高めたんです」
「仙術?」
そう言えば、千春さんも神楽が仙術を使うとか言ってたな。
「詳しい説明は後にしましょう。みんなの所に急ぐわよ」
「あ、はい、部長」
それもそうだな。
俺達はその場からみんなの所に急ぐのだった。
後書き
小猫の逆さ拘束、製作陣はサービスのつもりなんだろうけど、女魔術師達はどう言うつもりだったんだろうな?
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