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戦国異伝

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第二百十五話 母子の和その十

 政宗がだ、こう義光に言った。
「では最上殿」
「うむ」
「こうして盃を交わしたからには」
「我等は兄弟となった」
「確かに」
 義光も政宗のその言葉に頷く。
「これより」
「では戦なぞは止め」
「共に生きようぞ」
 この天下でというのだ。
「我等もまた」
「さすれば」
「して伊達殿」 
 また義光から言って来た。
「これより我等は」
「共に天下にあり」
「栄えようぞ」
 こう言葉を交わせるのだった、そして。
 信長もだ、二人に言った。
「ではじゃ」
「はい、我等は」
「これよりは」
「諸法度に従うことじゃ」
 武家のそれにというのだ。
「よいな」
「わかっております」
「では」
「我等も」
「してじゃ」
 信長は政宗にこうも言った。
「梵天よ」
「はい」
「明日茶室に来るのじゃ」
 安土城のそこにというのだ。
「よいな」
「そこにおいてですか」
「話がある」
 それで、というのだ。
「よいな」
「畏まりました」
「そして後に伊達家は転封する」
 ここでだ、信長は政宗にこのことも告げた。
「仙台の方にな」
「米沢からですな」
「これで双方争うこともなくなる」
「領地のうえでも」
「そうじゃ、だからな」
 伊達家を仙台にというのだ。
「転じるからな」
「では仙台が降れば」
「あの辺りにじゃ、六十万石じゃ」
 信長はその石高のことも言った。
「わかったな」
「では」
 後で義光にもその石高のことを告げた、そうしてその次の日だ。政宗が安土城のその茶室の中に入るとだった。
 彼が入ると既に信長と利休がいた、そして。
 次にある者が来た、その者はというと。
「小次郎か」
「兄上・・・・・・」
「御主も呼ばれていたのは知っておった」
 その隻眼で弟を見つつの言葉だ。
「そのことはな」
「はい」
「しかしな」
「まさか」
「うむ、まさかじゃ」
 その通りと言う信長だった。
「御主達のことは聞いておる」
「まずはです」
 利休がここでだった、茶を淹れてそれぞれ二人に差し出す。二人もそれを受け作法通りに茶を飲んでそしてだった。 
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