戦国異伝
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第二百十五話 母子の和その七
「このお三方のことは」
「殿もな」
「はい、そろそろお覚悟を決められていました」
「最後のな」
「そうされていました」
このことはこの片倉と成実もだ、二人にしてもこの家の厄介ごとについて最後の手段しかないと考えだしていたのだ。
しかしだ、ここでだったのだ。
「急に上様のお呼びです」
「我等までな」
「一体どうされるおつもりか」
「それがな」
「わかりませぬ」
伊達家の知恵袋と言われている片倉もだった、このことは。
「どうしても」
「そうじゃな、御主がわからぬことはな」
成実はここでこうも言った。
「わしもじゃ」
「そう仰いますか」
「どうしてもわからぬ」
「しかしです」
「上様ならな」
「何とかしてくれるやも」
片倉は信長への期待も見せていた。
「そうも思えます」
「そうじゃな、ではな」
「はい、ここはです」
「上様にお任せして」
「そのうえでな」
「今は安土に向かいましょう」
二人はこう結論を出してそのうえで安土に上っていた、そしてそれは政宗も同じだった、だがその道中は。
東の方、そして弟の政道は別々だった。これは三人共であり東の方は兄の義光と共にいた。このことについて。
政宗はその片倉と成実にだ、こう言った。
「安土じゃ」
「安土ですか」
「安土においてですか」
「うむ」
そうだというのだ。
「その場においてはっきりする」
「しかし殿は」
「今の殿ですが」
「そうじゃ、確かにな」
「伊達家の主でその座は磐石ですが」
「それでもじゃ」
「小次郎様のことは」
「厄介ごととなっておる」
未だに、というのだ。
「それがな」
「気掛かりですな」
「そのこともな」
「そうですな、それも何とかなるのなら」
「有り難いが」
「上様がどうされるのか」
「気になりますな」
こうしたことも話すのだった、そしてだった。
伊達家の者達は米沢からはるばる安土にまで向かっていた。天下の道は急に整い江戸の城の築城も進んでいた。
その江戸城の土台を見てだ、政宗は唸って言った。
「あの城が出来ればな」
「その時はですな」
「東国は」
「磐石となる」
そこでの織田家の統治もというのだ。
「守りが確かとなりな」
「織田家は東海、近畿に地盤がありますが」
「ここで、ですか」
「東国における政も」
「確かなものとなりますか」
「なるのう」
間違いなくと言う政宗だった、片倉と成実に。
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