ドリトル先生と森の狼達
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第二幕その二
「あります」
「そうですよね」
「和歌山から新鮮な海の幸を取り寄せいます、それに」
「それに、ですか」
「お酒もあります」
こちらも楽しめるというのです。
「地元のお酒が」
「そのお酒をですね」
「楽しめますので」
「まさかそこまで楽しめるとは」
「素晴らしいと」
「僕は本当に幸せです」
こうまで言うのでした。
「期待させてもらいます」
「何か先生は本当に」
ここでまた言う日笠さんでした、ここで言うことはといいますと。
「無欲なのですね」
「そう言われますか」
「はい、動物を調べられて温泉に入ることが出来て」
「食べることと飲むことが出来ればというのですね」
「それで最高に幸せとは」
「実際にそうではないでしょうか」
ここまで揃っていればというのです。
「これ以上望むものはありません」
「それ以上はですか」
「はい、満足です」
本当に何もかもがというのです。
「最高の旅になると思います」
「私もご一緒出来れば」
日笠さんはしみじみとして述べました。
「よかったのですが」
「日笠さんもですか」
「そう思っていたのですが残念です」
こう言ったのでした、本当に残念そうに。
「また機会があれば」
「ご一緒にですね」
「昨日のお寿司はとても美味しかったですし」
このお寿司のこともお話するのでした。
「またご一緒に」
「美味しいものを食べましょう」
「はい、それでは」
「そうしましょう」
こう言って先生にまた、とお願いするのでした。
そうしたことをお話してでした、先生は泊まる先の予約を取ってもらいました。それが終わってからでした。
トミーと王子を研究室に読んでお話しました、そのお話を聞いて王子は唸る様にしてそのうえで言いました。
「日笠さんいい人過ぎるね」
「うん、ホテルまで手配してくれてね」
「あんないい人そうそういないね」
こう先生に言うのでした。
「そう思うよ」
「王子の言う通りだね」
「うん、ただ」
「ただ?」
「いや、日笠さんなら」
王子は今度は先生をまじまじと見て言うのでした。
「先生をもっと幸せにしてくれるね」
「いいお友達だと思ってるよ」
「ああ、そういう意味じゃないよ」
王子は今度はやれやれとなりました。
「もっと違うから」
「違うってどういう意味かな」
「わからないならいいよ、ただね」
「ただ?」
「日笠さんのことは大事にしてね」
王子はここでも気付くことのない先生にこう忠告しました。
「絶対に」
「うん、そうさせてもらうよ」
「先生はそうしたことは忘れない人だけれど」
王子は先生の鈍さにどうしても歯がゆさを覚えていますがそこはあえて言わないでオブラートに包んで述べるのでした。
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