スケッチは二人で
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第七章
「どう?」
「ダリか」
「その画風でいったけれど」
「いいな」
庄汰は潤子に確かな声で答えた。
「それも」
「そう、成功ね」
「僕はもう一度描いてみる」
「今度は青を入れて」
「対比を活かしたい」
こう答えたのだった。
「次はな」
「じゃあその次もね」
「見てくれるか」
「そうしていいかしら」
「頼む」
庄汰はまた潤子に答えた。
「是非そうしてくれ」
「それじゃあ私の次の絵もね」
「見させてもらう」
「頼むわね。けれど」
ここでだ、こんなことも言った潤子だった。
「絵も一人で描くより」
「二人だな」
「そうよね、これまではね」
「一人でか」
「描いていたけれど」
「僕もだ、しかしだ」
二人で描くと、というのだ。
「二人だとさらにいいな」
「それがわかったわね」
「一人は気楽だが限界がある」
「けれど二人だとね」
「一人だと一だ、だが二人だとだ」
その力がどうなるかというと。
「二にも三にもなる」
「それ以上にもね」
「だからいい、これからも二人で描こう」
「一緒にね」
庄汰は唇の端だけで、潤子は顔全体でにこりと笑った。そうして二人で描いていくのだった。それぞれの絵を。
スケッチは二人で 完
2015・2・15
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