サーカスの少女
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第五章
「頑張らないとね」
「それでだね」
「ええ、もっともっと頑張るから」
「それでピエロになるんだ」
「そうなるわ」
こう言って日々努力するディルだった、幼いながら。
するとだ、さらにだった。
ディルは運動神経がさらによくなりだ、何時しかクラスの女子の中で体育では一番になっていた。それで先生も言うのだった。
「ディルちゃん凄いわね」
「体育のことですか?」
「ええ、何でも一番になったじゃない」
「ううん、毎日ピエロになろうと」
「努力してたらなの」
「はい」
それでとだ、ディルは先生に答えた。
「そうしたら自然に」
「じゃあこのままピエロになるの?」
「なれます?私」
「そうね」
一呼吸置いてからだ、先生はディルに言った。
「このままいけばね」
「私もなれますか」
「なれるかもね、人はやっぱりね」
先生はさらに言った。
「努力してこそだから」
「努力すればですね」
「ディルちゃんもピエロになれるわ」
「それじゃあ」
「先生もね」
ここでだ、先生は自分のことも話した。
「努力したかいあってお料理もお掃除も上手になって。それでね」
「それで?」
「そうなの、ファッションも変えて」
今もタイトのミニだ、胸元も目立っている。しかも下はガーターに黒下着だ。下の方は露わにはなってはいない。
「それでやっとなのよ」
「やっと?」
「今度結婚するのよ」
「先生結婚されるんですか」
「あの人とね」
にこにことしての言葉だった。
「そうなれたから」
「私もですね」
「ピエロになれるわ」
「サーカスに入って」
「そう、だからこのままね」
「頑張ればいいんですね」
「そうしていってね」
努力を続けてというのだ、そしてだった。
ディルは毎日柔軟体操にだ、トレーニングを続けてだった。
大人になってピエロになった、その曲芸を皆に見せてだ。
皆を楽しませる、その彼女を見てだった。
彼女と同じく大人になったタスクはサーカスではないがショーでピエロをしてみせた彼女にだ、後で言った。
「今日もよかったよ」
「そうなの」
「うん、とてもね」
こう言った。
「よかったよ」
「やっぱり毎日やってると」
「違うよね」
「毎日練習してるから」
そlれこそ子供の頃からだ。
「出来る様になったのよね、私も」
「ピエロになれてね」
「今度サーカス団にスカウトされてるから」
「そこに入るの?」
「そう考えてるわ」
「そう、じゃあ僕はね」
彼はだ、どうするかというと。
「そのディルを観させてもらうよ」
「お客さんとして」
「そうさせてもらっていいかな」
「うん、是非ね」
「そうさせてもらうわ」
「それじゃあね」
こう笑顔で話した二人だった、そして。
ディルは晴れてサーカスにピエロとして入ってそこで活躍した、幼い頃の夢を日々の努力で適えたのである。
サーカスの少女 完
2015・2・14
ページ上へ戻る