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サーカスの少女

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第三章

「怪我にはな」
「それにはね」
「うん、そういえばサーカスの人達って」
 ディルは両親の言葉にこう返した。
「凄く危ない動きしてるから」
「だからな、そのことは注意するんだぞ」
「怪我はしないでね」
「わかったわ」
 ディルは素直な娘だ、それでだった。
 怪我にも注意しつつピエロの動きを真似をした。それはこの日だけでなく次の日もその次の日もである。
 そのディルにだ、タスクは学校で言った。
「ねえ、ピエロの動きはいいけれど」
「どうしたの?」
「スカートの時は気をつけてね」
 このことを親身に注意したのだ。
「パンツが見えるから」
「大丈夫、下にはいつもスパッツ穿いてるから」
 体育の授業の時に穿くそれをというのだ。
「だから見えてもね」
「大丈夫なのね」
「そう、安心して」 
 こう笑顔で言うのだった。
「そのことはね」
「だといいけれどね」
「うん、あと怪我にも気をつけてるから」
 両親に言われたことそのままにだ。
「無茶もしていないわ」
「そうなんだね」
「うん、けれどあの人って」
 そのピエロの動きを真似て実際に動きつつだ、ディルはタスクに話した。
「凄かったわよね」
「身体軽かったね」
「しかも柔かくて」
 このことも言うのだった。
「どうしたらあそこまでなれるのかしら」
「先生に聞いてみる?」
「うん、何か今の私って」
 その動きはというのだ。
「凄く下手だから」
「ピエロの動きが?」
「だって玉乗りも出来ないしあんなに軽やかに動けないし」
 身体も柔らかくはない、というのだ。
「だからね」
「下手だっていうんだ」
「ああした風にはなれてないわ」
 それでどうすればああした風になれるかというのだ。
「それがわからないの」
「じゃあね」
 タスクはそのディルの言葉を受けてだ、こう彼女に言った。
「先生に聞いてみる?」
「先生に?」
「うん、そうしてみる?」
 こうディルに言うのだった。
「わからないのなら」
「そうね、先生ならね」
 子供なので先生や親なら何でも知っている、そう思っているからだ。
 タスクもアドバイスしディルも頷いた、そうして。
 ディルは実際に授業の後でだ、先生にこう尋ねた。
「あの、どうしたらピエロみたいに動けますか?」
「ピエロみたいに?」
 若くてブラウンの髪の毛を肩の高さで揃えた緑の目の先生だ、顔立ちは優しげに整い胸の大きさが目立っている。短いタイトスカートのスーツで脚は黒ストッキングだ。
「この前に来たサーカスの中にいた」
「はい、あの人みたいに出来るんですか?」
「そうね、それならね」
 先生は少し考えてからディルに答えた。
「毎日柔軟体操をして」
「柔軟体操ですか」
「そう、それでね」
 そして、というのだ。
「跳んだり跳ねたり。ボールを幾つも同時に操ったり」
「そうしたことの練習をすればですか」
「出来る様になると思うわ」
「そうなんですか」
「毎日の積み重ねがね」
 先生はこのことは教師らしく話した。
「やっぱり大事だから」
「努力ですか」
「そう、あの人も毎日努力してるから」
「ああした風に動けるんですか」
「だからね」
 先生はディルの目線にしゃがみ込んで話した、ミニのタイトから脚が奥深くまで出てガーターであることを示している。 
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