ケツアルカトル
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第三章
「信仰、宗教は先がわからないものだから」
「その栄枯盛衰は」
「どうなるかわからないよ」
そのことは断言出来ないというのだ。
「あらゆる宗教、信仰について言えることだけれど」
「そうですか」
「うん、未来のことは誰にもわからないよ」
それこそ神ではない人間にはだ。
「そういうことでね」
「わかりました、そのことも」
「ではね」
こう話したのだった、ケツアルカトルのことは彼等だけでなく人々に知られていった。だがそれは信仰ではなく。
小説や漫画、ゲームの題材に使われるだけだった、長い間。
「中南米の神様も出してみるか」
「キリスト教だけじゃ面白くないしな」
「ギリシア、北欧、ケルトにインド」
「それにメソポタミアにな」
「中南米の神様達も出そう」
作品世界やキャラクターに幅を持たせる為にだ。
「色々とな」
「色々な神話の神様が出ないとな」
「面白くないしね」
「ラグクラフトもいいが」
「こうした神話もいい」
こうしてだった、様々な媒体でだった。
彼等が知られていった、そして。
その他にもだ、様々な神々が人々に知られていき復権していった。だがそれは信仰にはつながっていなかった。
しかしだ、次第だった。
そうした神々を崇める人達がだ、世に出て来た。
「オーディンの信仰をはじめたよ」
「北欧の神様をか?」
「ああ、何か格好いいしな」
それにとだ、その人は話すのだった。
「知識の神っていいだろ」
「ああ、人はやっぱりな」
「知識って大事だろ」
「ああ、確かにな」
聞いている人も頷くことだった。
「知ってるだけでも人ってな」
「いいだろ」
「何かをな」
「だからだよ、俺もな」
「オーディンを信仰してか」
「知識を備えられる様になるよ」
こうしたことはオーディンだけではなかった。
他の様々な神話の神々への信仰もだった。復活していった。
「ゼウスを信仰しよう」
「よし、イシュタルを信じよう」
「ケルトのルー神を信仰するか」
こうしてだった、人々の間に信仰が伝わっていった。そして。
ケツアルカトルへの信仰も復活してだった、ある人が言った。
「ケツアルカトルって神様よくないか?」
「あのマヤの神様だな」
「ああ、その司るものにな」
それにというのだ。
「性格だってな」
「優しい神様っていうな」
「人に対してな、だからな」
「ケツアルカトルを信仰するのか」
「そうしたいね」
こう言うのだった。
「是非ね」
「最近色々な神様への信仰が復活してるだろ」
「ああ」
「だからな」
「あんたはケツアルカトルを信仰するんだな」
「それをはじめてみるよ」
これが彼の考えだった。
「そうしようか」
「ああ、じゃあな」
「それならだよな」
「今からケツアルカトルへの信仰をはじめるよ」
こうしてだった、この神への信仰がこの時代に合わせた形となって復活しはじめた。そうして最初は一人だったが。
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