夢のような物語に全俺が泣いた
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ソーマファミリア
「ソーマファミリアが主神、ソーマ様にお目通り願いたい」
翌日、俺はソーマファミリアの前に来ていた。
実際上リリルカの為ではあるが、俺自身がする必要はまずない。
俺が介入するような関係性は殆ど無いのだ。
「残念だが、神ソーマは忙しい。
代わりに私が、用件を聞こう」
俺の目の前に立ちふさがり、そう言ったのは眼鏡をかけた細面な男。
「リリルカ・アーデを知っているな?」
「リリルカ…ああ、知っている。それが何か?」
「彼女の身柄を受け渡してもらいたい。
そのためには脱退を余儀なくし、その負担を俺が受ける」
「アーデを……?
脱退については構わない。
だが、その為にはヴァリスを用意して貰おうか」
金…やっぱりか。
サチコちゃんから事前に聞いた話では金銭的な問題が絶えないファミリアだと聞いてきた。
恐らくぼったくりも良いところな価格を言われるんだろうが、それくらい覚悟している。
「いくらだ?」
「10000000ヴァリスだ。それが無理なら諦めるんだな」
「それで良いんだな?」
「は?…ああ」
10000000…まぁ命とは比べられないだろうし、それくらいなら払える。
俺は懐から金銭袋を複数取りだし、次々に手渡していく。
「これで足りるはずだが…嘘じゃないんだよな?」
俺は男を見据えてそう聞いた。
男は金銭袋に釘付けになっており、俺の言葉が聞こえていないようだった。
「これだけの額を渡したんだ。
万が一裏切られたりしたらたまったものではない。
よって、この契約書にサインを書いて貰おうか?」
俺は一枚の紙を取りだし、目の前に置いてやる。
男ははっとなりながらもあわてて契約書にサインを書いた。
おいおい、しっかり目を通したのか?まぁ、裏切ったらそれでも構わないんだけどな。
「ならリリルカが帰り次第、彼女の恩恵を削除し、俺のところまで来るように伝えてくれ」
「ああ。構わないよ」
男はニヤニヤしながらそう言った。
…これはどう転ぶかな?
俺はこの先のことを考えながら、ダンジョンへと向かった。
まずはサチコちゃんに話してからだ。
「あれ?ケイさん、今日は来れないって…」
ダンジョンに潜り、数分としないうちにベル達と会った。
どうやら入ってすぐのようで、まだ4階層に留まっていた。
「ああ。少し野暮用があっただけだ。
それで、リリルカ」
「は、はい…」
「今日はソーマファミリアへと帰れよ。
帰ったらお前の恩恵を消して貰えるよう頼んでおいた」
「…………………は?
な、何をいってるんですか?そんなこと出来る筈が…」
「そうだな。普通は出来ない。
一応主神には会えなかったが、眼鏡の…多分リリルカが昨日言っていたザニスとやらが対応した。
契約書にもザニスと書かれているしな」
「対価は…対価は何を渡したんですか!?」
「10000000ヴァリス」
「何をしているんですか!
あの男にそんな大金を渡して…脱退!?取り合うわけがありません!
あの男は知的に振る舞う裏で、欲望に満ちている男ですよ!?
そんな契約書にサインしたところで、見ずに流されるのが目に見えてます!」
やっぱりそう言う男だったか。
リリルカは声を荒げ、怒鳴り散らし、ベルは会話に付いてこられないでいる。
「この契約書は少々特殊でな?
破ったと認識された瞬間に契約者を苦しめる魔法が組み込まれている。
もしも契約を破ったら、あの男は不幸に会いまくる上、ソーマファミリアには戦争遊戯を仕掛けるつもりでいる」
「なっ…戦争遊戯!?
戦争遊戯
別名、神の代理戦争。
それぞれのファミリアが決闘を行う際に用いられる決定勝負だ。
勝負内容は一騎討ちか城落のどちらかとなり、負けたファミリアは勝ったファミリアの絶対順守の命令を聞かなくてはならなくなる。
「バカじゃないですかあなたは!
リリはもういいと言ったのに!どうしてここまでするんですか!」
「そう言う気分だったからだ。
別に良いじゃないか。もう諦めているのなら、今更どうなっても構わないだろ?」
「……絶対に不可能です…!
今日はもう帰ります!ベル様、すみませんが今日は終わりにさせていただきます!」
「え?あ、うん」
ベルの返事を聞いたが早いか、リリルカは早足に立ち去っていった。
「さて、ベルはもう上がれ。
今日は少しばかりやらなきゃならん用事があってな」
「そ、そうですか?分かりました」
さて、まずはサチコちゃんに相談して…ゼウス様に連絡がとれるようにして貰おうか。
俺は走りだし、急いで18階層へと向かうのだった。
「残念だが、俺の名前を使っての戦争遊戯は出来ない」
「じゃあユウジさんの名前で…」
「そうだな。それならば出来るだろう。
だが、本人がいなければどうにもならないのが現状だ。
高確率でその契約は破られるだろう。その時、戦争遊戯を仕掛けるのは簡単だが、
それは主神となる者が居なくては話にもならない」
サチコちゃんに呼び出してもらったゼウス様と話す。
やはり予想していたことで、ユウジさんが居ないとダメなようだ。
「ユウジさんは今どうしてるんですか?」
「ん?まぁそこまで大変ではないにしろ…ちょっとトラブルが発生してな…」
「トラブル?えっと…それって?」
「あー、まぁ……親子間の、悪ふざけ?」
「………深くは聞かないことにします」
やっぱり謎だなユウジさん。
しかしどうしたものか。そもそもこの作戦は戦争遊戯を前提とした考えだし、それすら仕掛けられないとなればただ一人だけ盛り上がっていた俺が恥ずかしくなってしまう。
「安心しろ。サチコが代役を勤めれば良い」
「え?」
「サチコは今、主神と同等の立場にあり、強いて言えばこのファミリアの代表取り締まり役だ。
名前にもサチコ・S・ラドクリフと、名前がかすってるからな」
……………ホントにどうなってんの?この世界…。
「じゃあ戦争遊戯を仕掛けても?」
「ああ。大丈夫だ。
だが、約束事が二つある。
一つ目は大前提として負けるな。
そして二つ目は落城ではなく、なるべく一騎討ちで勝負しろ。
最悪落城になってしまったら、何とかして手を打つが」
「……分かりました。
サチコちゃん、お願いできるかな?」
「別に良いよ。私あんまり外に出たことないから」
そんな理由で?!
ま、まあ助かることにかわりないけどさぁ…。
「では、行ってきますゼウス様」
「行ってきまーす」
「おう、しっかりやってこいよ」
ゼウス様に見送られながら、俺とサチコちゃんは地上へと転移した。
「どうも、今朝がたお伺いした者ですが」
夕方、俺とサチコちゃんはソーマファミリアに到着した。
出向いた男は今朝の男と同じである。
「はて?何かありましたか?」
…………これは本当にめんどくさいな。
「リリルカ・アーデを引き取りに来たんですが?」
「リリルカ…ああ、サポーターの。
しかし、どうしてそのようなことを?」
こいつ…確実にしらばっくれてやがる。
「失礼だが、俺の顔に見覚えはありますか?」
「いいえ?存じませんね」
「…この契約書にサインしたのも覚えてないと?」
「はい。もしや押し掛けか何かかな?」
なるほど。そう来ちゃうのかこの男は。
「この契約書、実は簡易型ギアスロールとなっていましてね?
契約内容の違反が見られた場合、その者へと呪いが架けられる仕掛けになっています。
それでなんですが………本当に何も解らないか?」
やや声を低くして再度問い直す。
男は迷信でも聞かされたかのように何処吹く風の用に淡々と語った。
「ええ。私は何も知りませんね。
しかしそちらとしても困ったものですな?
このような詐欺などで内の人員を持っていこうなどとは…?」
「…どうかしましたか?」
話している途中、段々と声に力がなくなっていき、更には胸を押さえて苦しみ出した。
「ぐ……ぁが…かはっ……」
「ああ、呪いが発生したみたいですね。
どうやら貴方は契約を違反したようだ…」
「ぐぅぉ……ぎざま…」
「おやおや、どうされましたか?
貴方は契約を破っていない処かしてもいないはずでしょう?
ならば何故ギアスロールは反応しているんでしょうかねぇ?」
「が……はっ……はぐぅ……」
もはや苦しくて喋られないようだ。
なので俺は立ち上がり、声を張り上げて言う。
「ソーマファミリア全員に告げる!
俺達ラドクリフファミリアは、お前たちソーマファミリアに戦争遊戯を申し込む!」
俺の言葉が聞こえてきたのか、各場所からぞろぞろとソーマファミリアの面子が現れた。
その数は少なく、精々10人程しかいない。
「何だテメェは?ここが何処だかわかってんのか?」
「俺達ソーマファミリアに喧嘩を売るとは良い度胸だな」
「ラドクリフファミリア?聞いたことねぇな」
「どうせ新設のファミリアだろ?」
「ザニスが這いずり回ってるが、何だありゃ?」
各自に者を言う男たちは、全員が全員柄が悪い。
その中には昨日撃退した3人が見える。
「この男は俺との契約を破り、その代償としてこの様な様となっている。
もう一度言う。俺達ラドクリフファミリアは貴様らに戦争遊戯を申し込む!」
「良いじゃないか…」
ふと、低く響き渡る声に反応する。
声の主は二階に位置するバルコニーから俺を見下ろしていた。
「お前が10000000ヴァリス置いていった冒険者か。
あれは有効に活用させてもらっている」
「ならリリルカを解放しろよ」
「契約したのはそこにいるザニスであって私ではない。
まぁ、そこまで言うならリリルカ・アーデは解放してやる。
だが戦争遊戯の取り下げは認めない」
「……いいだろう。
戦争遊戯の日取りは二日後、場所はそちらで決めて構わない。
勝負内容は一騎討ち。俺が勝ったらファミリアを解体してもらう!」
「駄目だな。
日取りはそのままに、場所も用意しよう。
だが勝負内容は一騎討ちではなく、攻城戦とする。
我々が勝った場合、貴様らの全てを献上してもらう。
金も、ホームも、人員も、何もかも全てだ」
何だと…?
こんなの明らかにリスクが高すぎる。
一対一なら勝てると考えていたのに…!
「因みに、断るのならリリルカ・アーデは解放した瞬間にまた恩恵を刻む。
さて、どうするかね?」
「てめぇ…「受ける」…てちょ!サチコちゃん!?」
突然サチコちゃんが話を割って入り、それでいて了承をしてしまった。
「はははははは!
ならば二日後を楽しみにしていよう!」
神ソーマはそう言い残して姿をくらました。
俺達はそれ以上踏み込めないと悟り、ファミリアを出ることに。
「どうして受けたんだ…サチコちゃんはゼウス様の言っていたこと忘れちゃったのか?」
俺は横を歩くサチコちゃんにそう訪ねた。
「別に受けても問題ないよ。
確かにケイ一人じゃ駄目だし、私も力を封印されてる。
でもそれは御父さんが居れば解かれるし、御父さん達も絶対に参加してくれる。
だから心配ないよ」
力を封印?
それ以前にユウジさん達が参加する?
「この玉。これを割れば御父さんが来てくれるの」
そう言ってサチコちゃんは胸元から紅い宝玉を取り出す。
玉の中心が弾けるようにキラキラと光っており、何かの魔道具だと言うことは一目でわかる。
そしてサチコちゃんの言う通りなら召喚系統の魔道具なのだろう。
「それなら…安心なのかな」
「ん。泥船に乗ったつもりでいると良いよ」
「やっぱり心配になってきた…」
「えぇー何でー?」
取り合えずどうするかをゼウスに相談しよう。
そして戦争遊戯の準備を始めなくては…!
後書き
原作読んでないから戦争遊戯の内容をよく知らない。
取り合えずそれっぽくしてみましたが、おかしいと思ったかたは感想欄までご記入ください。
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