異世界系暗殺者
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合宿の時間(2016/03/30 一部修正)
前書き
今回は少しオリジナル路線です。
あとイッキが某万屋と某英雄王ッぽくなってます。(笑)
追記
原作とは異なり試験日を3日間としております。
【視点:樹】
7月中旬某日放課後。ついに1学期の総仕上げとも言える期末テスト1週間前に突入し、それに伴ってE組ではテスト勉強強化合宿を行うことになった。
実はこのテスト勉強強化合宿、結構前―――中間テストが終了して間無しの頃から計画されていたりする。ことの発端は悠馬が本校舎の図書室の利用予約をしようとしていたことだった。
本校舎の図書室は学習書の数が豊富であることから勉強の場としては最適な空間なんだが、E組にとっても最適な空間とは限らない。
何故ならE組は本校舎の人間から差別されていて、特にA組と対峙した場合は理不尽な略奪を受ける可能性が高いからだ。俺から言わせれば本校舎に行くなど百害あって一利なし。
そんな訳で悠馬と2人で殺センセーや烏間先生と相談し、外部の邪魔を受けない場所でテスト勉強強化合宿を行う計画を立てられたって訳だ。
で、その強化合宿の場として選ばれたのが俺の家――というか屋敷だった。理由は俺の屋敷にある書斎には、蔵書数こそ本校舎の図書室に劣るものの、百科事典から哲学書、医学書に至るまで色んな本が存在し、その中には学習書も含まれているから。
また、俺の家にある数基のPCタブレットには、書斎と同じく書籍データが多岐に渡り、最低でも4万冊以上のデータが存在しているからだ。
その上、屋敷そのものが3階建てで客室も無駄に多く、2人1部屋という形を取ればE組全員が泊まれる環境というのも、合宿地に選ばれた理由の1つだ。
俺自身、計画が立てられた当時でもE組の皆が俺の家に泊まりに来ることに抵抗が無かったので、2つ返事でOKを出したんだ。
で、今から2日前に自由参加という形でテスト勉強強化合宿のことが保護者にも同意を得られる様、プリントを使って発表された。
あっ!場所に関しては、俺の屋敷の名義が烏間先生のものとなっていることから、烏間先生の屋敷で行われるとプリントには記載され、生徒には口頭で俺の屋敷で行われると説明された。
合宿期間は9日間。これはテスト前の1週間とテスト期間3日の内の2日を合わせた日数だな。合宿に参加する生徒は9泊10日、共同生活をすることになるって訳だ。
ちなみにこの合宿期間中、参加者はE組校舎への移動時間も勿体無いということで、本校舎側には内密に俺の家で授業が行われることとなった。一応、28人なら普通に収まる大広間もあったからな。
合宿への不参加者が出た場合は、不参加者はE組校舎で殺センセーとテスト範囲を勉強。参加者はエアコンの利いた俺の屋敷で学校側から発表されていたテスト範囲を、俺が教師役を務める形で勉強という風になっていた。
まぁ、エアコンの利いた快適な空間で勉強できる上、殺センセーから用意された褒美がE組の全員をやる気にさせたこともあって、全員参加で合宿は行われることとなった。
当然のことながら、未成年だけで泊まり掛けの勉強会を勝手にする訳にもいかないので、監督役として殺センセーが家にやって来る。初日の今日は午後8時頃に来るそうだ。
で、俺は大きな旅行鞄を持ったE組の皆を引き連れ、自分の屋敷に向かう為、駅前を歩いていた訳なんだが、この時に面倒臭い奴らに絡まれた。
「おんや~?どこかで見たことのある集団が歩いているかと思えばE組の皆さんじゃないか。全員が旅行に行くみたいな大荷物だけど、集団疎開でもするのかな?」
「……誰だ、お前?知り合いでもないのに気安く話し掛けて来るな。話し方もキモいし、耳が腐っちまったらどうすんだ?責任取れんのか?」
「なっ!?E組の分際で五英傑の僕に何て口の利き方だ!」
絡んできたのは選民思想が高そうな馬鹿丸出しの4人組だ。恐らくA組の生徒だろう。ってか、五英傑って何?
「はぁ?五英傑?もしかしてお前、英雄豪傑を自称しちゃってんの?痛ぇ痛ぇ痛ぇ痛ぇ痛ぇ痛ぇよ~、お母さ~ん!ここに頭怪我しちゃってる奴らがいるよ~」
「てめぇ、俺達を馬鹿にしてんのか!?」
「E組の癖に何様だよ!!」
「あれ?お宅、確か腹を押さえてコンビニのトイレに駆け込んだって噂になってた生徒会議長?ひょっとして、あんたも五英傑とか自称しちゃってんの?それに、そっちのワカメヘアーとウルフヘアーも?
痛ぇ痛ぇ痛ぇ痛ぇ痛ぇ痛ぇよ~、お父さ~ん!絆創膏持って来て~!!できるだけ大きな、人一人包み込めるくらいのを4つ~」
周りが勝手に言ってるなら兎も角、自分から英傑宣言するとか、痛過ぎるにも程がある。挑発する気はなかったんだが、つい自分が思っていることをそのまま口に出してしまった。すると―――
「てめぇ!馬鹿にすんのも大概にしろ!!」
生徒会議長様が殴りかかって来た。まぁ、俺はその拳を易々と避けると足を引っ掛け、生徒会議長様を転倒させる訳なんだが……。ってか、英傑を自称する奴が足を引っ掛けられた程度で転倒するなよ。女子の皆が失笑してるぞ。
「随分と容易く転倒すんだな。英傑が聞いて呆れるわ。それとも英傑という言葉の意味を知らないのか?」
「てめぇ―――」
「落ちつけ、瀬尾。英傑の意味くらい僕達は分かっているさ。知恵、才能、実行力に優れた者を指す言葉だ。中間総合ベスト8を独占する僕達に相応しい呼び名だと思うけどね」
「その程度で英傑と呼ばれるなら、全教科満点の総合1位は何だ?英傑王か?それとも神か?どちらにせよ、英傑(笑)風情が俺を前に頭を上げるなど、身の程知らずにも程があるわ」
「……英傑風情とは言ってくれるね。君の名前を聞かせて貰おうか?」
「E組所属の南樹。中間テストで全教科満点、総合1位となった男だ。身の程を弁えろよ、五英傑(笑)」
「そうか。君が浅野君に土を付けたE組生徒か。だが、どれだけ君個人が優れていようと、他の生徒の実力が低ければE組なんて蔑まれて当然の存在だ」
「つまり、力のない者は力のある者に虐げられるのが当然ってか?なら、お前らも俺を前にして図が高過ぎだろ。俺より学力が劣ってんだから、早々に膝を折って頭を垂れろよ。
それとも自身の決めたルールすら守れぬ半端者か?そんなものが英傑を名乗るなど片腹痛いわ。道化であったとしても、英傑を名乗る道化なんか不愉快極まりねぇ。
あと、さっきからうちのクラスの女子―――特に俺の有希子を嘗め回す様な目で見てんじゃねぇよ。期末の前に精神をぶっ潰されてぇのか!」
「「「「ッ!?」」」」
さっきからウルフヘアーが有希子に色目を使っていることが不愉快だった俺は、一般人相手に少しではあるが殺気を放ってしまい、五英傑(笑)はその殺気に当てられ、俺から後ずさった。
「………お前らは窮鼠猫を噛むって諺を知らないみたいだな。俺らは今回のテストを科目毎であっても1位を狙ってんだ。自分より格下を見下すばかりで上を目指さない奴らとは覚悟が違うんだよ」
「面白いじゃないか。それじゃあ、期末テストの5教科で学年トップを取った数の多いクラスが負けたクラスの命令を聞くって賭けをしないか?」
「へぇ、中間テストで同率でも学年総合1位になることができなかった五英傑(笑)風情が、よくそんなクラスを巻き込んだ賭けを提案できるもんだな?考え無し過ぎて笑えるぞ、道化」
「何だ?ビビってんのか?なんなら、こっちは命を懸けてやってもいいぜ?」
生徒会議長様が命を懸けるといった瞬間、俺は紙一重で当たらない様、生徒会議長の顔面に蹴りを放った。
「お前らも含め、A組の生徒の命ってのは随分安いみてぇだな。今までの会話、携帯のボイスレコーダーで録音させて貰ってるけど、選ばれた人間を気取ってるA組様だ。今更前言撤回なんてする筈ないよな?
期末終了後、お前らが賭けた命と等価になりえるものとして一体何を差し出してくれるのか、今から楽しみだ」
「……上等だ!こっちこそ、死ぬより辛い命令をくれてやるから覚悟しとけ!!」
生徒会議長様は小悪党の捨て台詞の様なことを言うと、他の3人を引き連れて去って行った。ってか、あの4人の中であいつが1番頭いいの?1番バカっぽそうなんだけど。
取り敢えず、こんな感じでE組とA組のテスト勝負が決定してしまった。まぁ、俺も一応日々反復勉強をしているから、負ける気は全くないんだけどな。
何はともあれ、この後俺達は誰の妨害を受けることなく屋敷まで辿り着くことができた。屋敷の玄関に入った直後、有希子と悠馬が―――
「それじゃあ、今日から9日間お世話になります」
「悪いな、イッキ。こんな大人数で押しかけて。9日間、お世話になります」
「そんな改まる必要無ぇよ。有希子、悠馬。他の皆も自分の家だと思って、気楽に過ごしてくれ」
改めてそんな挨拶をされると、俺の方が照れてしまう。そんな俺の内心を感じ取ったクラスの皆は――――
「「「「「「「「「「9日間、よろしくお願いします!」」」」」」」」」」
全員が声を合わせ、頭を下げながらそう言ってきた。だから、そういうことされると俺の方が照れるから止めてくれ!!
後書き
五英傑、死亡フラグ乱立。(笑)
浅野君視点を書く気はありませんが、もし浅野君視点があれば彼は一体どういった反応をしたことでしょう?
取り敢えず、勝手なことをした4人に静かにキレそうな気はしますが………。
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