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DQ3 そして現実へ…~もう一人の転生者(別視点)

作者:あちゃ
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永久に添い遂げる

「何で此処は『オリビアの岬』って言うの?…どっかで聞いた事ある名前なんだけど?何処で知り合った女性だったかなぁ…『オリビア』って?」
今更になってこれから通過する地名に疑問を抱くお父さん…

「お父さん…忘れちゃったの!?モニカさんと幽霊船のエリックさんの話を!」
地図を見て、地名に知り合いとの記憶を結びつけようとしてもムリがあると思う。
「あぁそうか!幽霊船で聞いた名前だったか!…何処でナンパした女性だったか考えちゃったよぉ!」
「何で女性の事を思い出すのに、ナンパの記憶を手繰るんですか!?」
流石は良いツッコミ!
「流石リュカさん!常人とは思考回路が違いますね!」
「いや~…そんなに褒めるなよ!」
だがボケも鋭すぎる!


そんな感じでヌル~く過ごしていたら、突如悲しげな歌が聞こえ、船が逆送し始めた。
やはりゲームと違い、いきなりの逆送に前のめりに転ぶ私達。
ウルフが身を呈してクッションになってくれたので、怪我はしなかったがちょっとムカつく。

「な、何なんだ!?…今の現象は何なんだよ!!」
船の逆送が止まり、カンダタが頭から血を流しながら吠える。
どうやらスッ転んで怪我したらしい。
周囲を見渡すと水夫等も数人怪我してる。

だけどお父さんは無傷。
お母さんを抱き抱え、怪我の有無を確認している。
お父さんは転ばなかったみたい…すごい足腰ね!

「な、なぁ、旦那…今の何なんだ!?何であんな事になるんだ?」
そんな事お父さんに聞いても分かる訳ないじゃん!
無傷である事を確認したのに、一応ベホマをお母さんにかけてるお父さん。

「知らん!」
と不機嫌に言いながら私にもベホマをかけてくれたわ♡
う~ん…流石ナイスガイ!

「モ、モニカ…お前は何か知ってるか?」
「さ、さぁ…ただ、もしかすると以前話した幽霊船の…関連かも…」
そうよ、その通り!
どうやってその答えに導こうかしら?

「此処は…オリビアの岬って名前だろ…オリビアは此処で自殺をしたのかも…」
「その通りですわモニカさん!此処は間違いなくオリビアさんが自殺した場所です!だからその呪いで先程の様な現象が起こったのですわ!」
ナ~イス!これで幽霊船のエリックが持っていた愛の思い出と繋がったわ!

「何でオリビアは僕等に呪いをかけるんだ?関係ねぇーだろ!」
「いえいえ…私達に呪いをかけたのではなく、この海域を通る船に対し呪いをかけてるんですよ」
「何で!?」
何かお父さんが凄く不機嫌…お母さんが怪我しそうになった事が、かなりご立腹みたい。

「愛した男性を、船の事故で喪った悲しみから、船全てを呪っているのでしょう…」
そう…切ない純愛物語。
「八つ当たりじゃねぇーか!イタい女だな!」
「お、お父さん………」
まぁそうとも言うけど…

「しかしコレじゃ先に進めないぞ!この先に『祠の牢獄』があるというのに…」
ところがドッコイ大丈夫なんだなコレが!
「モニカさん!その点は大丈夫です…ですから、もう1度船をオリビアの岬へ進めて下さい!」
私は愛の思い出を握り締めながら、モニカさんに再度岬への通過を進言する。

船は進み岬を抜ける直前、またも悲しげな歌が聞こえ、海流に乱れが生じる。
皆さん逆送に備えて踏ん張ってます…
でも大丈夫。
「オリビアさ~ん!エリックさんからの愛のメッセージを届けに来ました!この『愛の思い出』を受け取って下さい!!」
私は愛の思い出を天高く掲げ、オリビアに語りかける!

すると、周囲に響いていた悲しげな歌が止み、私の目の前に男と女の幽霊らしき人物が現れ見つめ合っている。
『ああ、エリック!私の愛しき人…貴方をずっと待ってたわ…』
『オリビア…僕のオリビア!もう君を離さない!』
『エリック!』『オリビア!』
あぁん…これで恋する2人は永久に結ばれたのね…


ウットリ夢気分から醒めると、当たりは静けさを取り戻しており、船は岬を通過していた。
「よ、良かったですね…愛し合う2人が一緒になれて…」
何かマジでシラけた空気なので、気を使う私…

「勝手だなぁ…散々迷惑かけておいて、詫びの一言もなく消えていったよアイツ等!」
「父さん…幽霊相手に無茶言わないで下さいよ…」
違うだろ…死して尚愛し合う2人の幸せを祝おうよ!
「ま、まぁ…これで先に進めるわけだし…良いじゃないですか!?」
う~ん…2人の幸せを祝っているのは私だけの様子…アルルさんも話題を変えようとしますわ。


「それにしても………何でマリーは、この『オリビアの岬』に呪いが掛かっている事を知ってたんだ?そうじゃなきゃ『愛の思い出』を探しに、ワザワザ幽霊船まで行かなかっただろう!何故だい?」
ギャース!
鈍感お兄ちゃんがその事に気付いた!?
“前世の記憶♡”って言えばこれ以上突っ込まれない?…ムリよね!

何て言い訳しよう…
「え…え~とですねぇ…コレはですねぇ…その~…」
全然思い付かない…
た、たすけてパパぁ~

「はぁ…ヤレヤレだな…」
困り果ててしまいお父さんに目で助けを乞うと、溜息混じりだが援護してくれそうです。
「何ですか!?何なんですか、その呆れる様な溜息は!?」
お兄ちゃんは不満そうだけどね。

「ティミー、よく聞け!情報というのは、何気ない雑談の中にも含まれているんだ!マリーは数々の情報を選別し、今回の事件解決の結論に至ったんだ!」
ほう!?一体どんな雑談に?
「ど、どんな情報があったと言うんですか!?」

「以前、モニカが幽霊船の逸話を話してくれたろ…そこには『エリック』と『オリビア』の名前も出てきたはずだ。そして地図を見れば、『オリビアの岬』と記載があり、幽霊船では、現世に名残を残して彷徨うエリックの幽霊が…後はちょっと推理すれば、自ずと答えが導き出せる!」
そうかなぁ?
ムリ無いかしら…それ?

「し、しかし…マリーは、モニカさんから幽霊船の逸話を聞く前から、幽霊船探しを望んでましたよ!矛盾しませんか?」
そうなのよ…そこがネックになってるの…
「その考え方は愚かだ!最初は単なる偶然だっただけだろう…ただ幽霊船を見てみたいだけだったのが、何時しか重要な手懸かりになっていただけだよ…だからこそ、幽霊船探しの重要性を、みんなに詳しく説明出来なかったんだ。後から重要性を説いても、ただの興味本位に正当性を持たせているようにしか見えないからね」
まぢですごい…
何なの…この人の口の巧さは…
よくそんだけ嘘を思い付くわねぇ…

はぁ~………でも助けられたわ!



 
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