FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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運がいいのは誰?
とある戦艦にて・・・第三者side
「アズマ!!」
「どうした?カミューニ」
赤い髪の毛をしたカミューニという男が、ドレッドヘアーのアズマという男に声をかける。
「ハデスの命令で、あの島に先に行くんだろ?」
「ああ。そうだが」
「だったらよぉ・・・この二人の内の、どっちかを殺っておいてくれねぇ?」
カミューニはそういって、二枚の写真を渡す。アズマはそれを受け取り、写真に目をおとす。
その写真に写っているのは、評議院の服を着ている男。
「これはなんだね?」
「この間よぉ、評議院に遊びに行った時に、その二人の内のどっちかが妖精の尻尾に潜入してるはずなんだ。俺の邪魔になるかもしんねぇからよぉ・・・」
「よかろう。その代わり・・・」
アズマは写真からカミューニに目線を移す。
「あれが完成したら、まずは俺と勝負してほしいね」
「いいぜぇ?つーか、七眷属ぁ結局倒さなきゃなんねぇんだからよぉ」
「またハデスに挑むのかね?」
カミューニはニヤリと笑う。アズマはそれを見て、何を考えているかすぐに分かる。
「んじゃよ。精々頑張れよな」
「お前もな」
二人はそういって別れ、アズマは戦艦からどこかに向かうために出ていった。
試験当日、ハルジオン港にて・・・
この一週間の間で、俺は何をしようか悩んだ結果・・・やることが多すぎて何もできなかった・・・ヤバイね(笑)
修行もなんだか効果があるのかわからない修行ばっかりだったし・・・
効果があるのは、スタミナ強化のランニングと、瞬発力アップのダッシュくらいかな?筋トレは好きじゃないからやらなかったし。
魔力強化も、一週間じゃああんまり変わんなかったなぁ。俺・・・こんなんで大丈夫なのか?
俺は不安に思いながらも、とりあえず船の上でゆっくりとしていることにした。
「あ・・・暑い・・・冬だってのになんなのこれ・・・」
ルーシィさんがそう言う。そう、季節は冬・・・一週間前には雪が降っていたはずなのに、船の上はまるで夏のような暑さになっていた。
「あたし・・・溶けちゃうかも~・・・アイスになって、ハッピーとセシリーに食べられちゃうんだ・・・」
「まずそうだね・・・」
「溶けたアイスはちょっと~・・・」
ハッピーとセシリーは汗を身体中にかきながら答える。
「ルーちゃん・・・だらしないよ、その格好」
「この辺は海流の影響で、年中この気候なんだとさ」
「うぇ~・・・」
レビィさんとカナさんがそう言う。その隣で、ウェンディは今にも溶けそうになっている。大丈夫かな?
「暑い・・・」
「溶ける~・・・」
「アイスになる~・・・」
「大したことねぇよ。イカれてるぜ」
ルーシィさんたちにガジルさんがあきれながら言う。確かに、溶けるまではいかないと思うけどね。暑いけど。
「ジュビア、暑くないの?その格好」
「暑くはない」
女性陣は、あまりの暑さに全員が水着に着替えている。そんな中で、ジュビアさんだけは普段通りの厚着に、ニット帽を被っている。あの人すげぇな。
「けど・・・強いて言うなら・・・」
ジュビアさんはそういって視線を動かす。
「グレイ様の裸体が熱い!!」
「あぢぃ・・・」
ジュビアさんは目をハートにしてグレイさんを見つめている。グレイさんは何も服を着ていない状態だった。恥ずかしくないんですか!?
「気持ち悪ぃ・・・うぷっ・・・」
「ナツ!こっちには来ないでくれるかな?」
ナツさんはいつも通りの乗り物酔いでフラフラしている。ロキさんは近くで吐かれたくないからか、近づかないように言う。
「ウェンディとシリルがトロイアをかけてくれねーんだよ・・・」
「しょうがないよ。シリルは試験者なんだし、ウェンディはメストのパートナーなんだから」
「すみません・・・ナツさん」
「ナツさん、すみません・・・」
俺はナツさんに謝る。本当はトロイアかけてあげたいけど・・・敵に塩を送るみたいでいやなんだよなぁ・・・ごめんなさい。
「やだやだ、これからみんな敵になるってのに、馴れ合っちゃってさ」
「アチィ!!漢だ!!」
「意味わかんないわよ・・・」
エバーグリーンさんはセンスで扇ぎ、エルフマンさんはいつも通り漢を強調していた。
「アイス・・・食べたい・・・」
「オイラを食べないでよ・・・」
「僕はおいしくないよ~・・・」
ルーシィさんとハッピーとセシリーは、ぐったりとしながらそんなことを言っている。そこまでなるほど暑くはないですよ。
「アイスになったハッピーとセシリーなんて、想像するのも・・・あ!」
すると、ルーシィさんが何かを見つけたので、俺たちもそちらに視線を移す。そこには、なんだか変な形の島があった。
「見えてきたね」
「おお!!」
「着いたのか?」
「あれが天狼島!?」
「すごい形してるな!!」
「島の上に島?」
「すごい・・・ここからでも、島の辺りの空気に魔力を感じますよ!!」
「島の空気がすげぇきれいな感じがするもんね」
その天狼島には、中心に巨大な木があった。あんなに大きい木があるなんて・・・神秘的なところだなぁ・・・
「あの島にはかつて、妖精がいたと言われていた」
俺たちが天狼島を見ていると、船の二階から声が聞こえ、そちらを向く。
「マスター!!」
「そして妖精の尻尾《フェアリーテイル》初代マスター、メイビス・ヴァーミリオンの眠る地」
マスターは俺たちにそう説明した。アロハシャツで!
「なんだよその服!!」
「服着てない人が言う?」
「どっちもどっちですね」
ていうか、なんでアロハシャツなんだ?もっと涼しい格好はなかったのか?
「これより、一次試験の内容を発表する」
「一次試験!?」
マスターの発表に、ウェンディが驚く。
「大体、毎年何段階かに別れてるんだ」
メストさんがそう説明する。そうなんだ。てっきり、「一発勝負!!」とか言うかと思ってたのに。
「島の岸に、煙が立っておるじゃろ?」
島の方に一度視線を向けると、そこには確かに煙が立っている。
「まずはそこへ向かってもらおう!そこには、9つの通路があり、一つの通路には一組しか入ることができん。そして通路の先は、こうなっておる」
マスターはそういって、魔水晶映像を俺たちに見せる。
その映像には、闘、静、激闘、大激闘の四種類の文字とエルザさんたちの顔写真のようなものが見える。
一番通路はギルダーツさん、四番通路はエルザさん、八番通路はミラさんの顔写真と“激闘”の文字。なぜかミラさんにだけ“激闘?”て書いてあるけど・・・
二番通路と三番通路、六番通路と七番通路は、それぞれ途中で道が交わり、“闘”の文字。
五番通路は“静”の文字だけが書いてある。
そして、九番通路には、黒い人影と“大激闘”の文字。
「ここを突破できたチームのみが、一次試験合格じゃ」
「闘?」
「エルザやギルダーツの顔に、激闘って書いてあるぞ?」
「それって・・・」
「静ってのもある」
「いやいや・・・一番突っ込むべきは大激闘でしょ?」
なぜ大激闘の人影が誰だかわからないようになってんだよ!!
「闘のルートは、この九組のうち二組がぶつかり、勝った一組のみが通れる」
つまり試験者同士での潰し合いなんですね?
「激闘は、現役S級魔導士を倒さねば進めぬ難関ルート。
静は誰とも戦うことなくこの一次試験を突破できるルート」
つまり静が一番の当たりくじってことか。
「そして!大激闘は、最難関ルートじゃ。まぁ、誰がいるかは楽しみにしておれぃ」
誰がいるかって・・・特別ゲストとか?ミストガンとか。
「一次試験の目的は武力・・・そして運!!」
((((((((((運って!!))))))))))
運勝負かよ!?いや・・・運ならもしかしたらいけるかもしれない!!要は静のルートを引いちゃえばいい訳から!!
「理論的には、最大七組が合格できるってことね」
「む・・・無理だ!!ギルダーツやエルザのいる道は突破できねぇ!!」
「何弱気言ってんのよ」
「最悪の場合は、三組しか突破できないのか・・・」
「おもしれぇ。どいつもこいつもボコボコにしてやるぜ」
「あのねぇ・・・」
最低でも三組は合格できるのか。確率的には33%!!いけるいける!!何事もポジティブに捉えないと!!
「さぁ!始めぃ!!試験開始じゃ!!」
マスターは試験開始を宣言する・・・あれ?
「は?」
「ここ・・・海の上じゃないか・・・」
「ニカッ!」
マスターはニヤリと笑う。まさか!!
「そういうことか。ハッピー」
「うん」
ナツさんとハッピーはそういって空に飛び上がる。
「先に通路を選ぶんだ!!」
「あいさー!!」
「うわ!!ずりぃ!ー」
「ナツ!!てめぇ!!」
グレイさんとエルフマンさんはナツさんにそういうけど、空を飛べるのはハッピーだけじゃないんだぜ!!
「俺らもいくぞ!!セシリー!!」
「うん!!」
俺もセシリーにもってもらってナツさんを追い越そうとし、
「「「「んが!!」」」」
四人して見えない壁にぶつかった・・・これって・・・
「術式!?」
カナさんの言う通り、船には外に出れないように術式が書いてある。
「安心しろ。5分後に解けるようになっている」
フリードさんとビッグスローさんはすでに島へと向かってしまっている。そんな・・・
「フリード!!」
「てめぇ!!」
「それはないですよ!!」
せっかく静のルートを取るチャンスだったのに~!!
「おい!!じーさん!!あんなのありかよ!?」
「まぁ、レースじゃないし」
「あいつを先に島に行かせたら、島が術式だらけにされちまうだろ!!」
まさかあの人たち、試験開始前から船に術式書いてたな~!?キタないぞ!!
「そうだ!!レビィなら!!」
「うん!書き換えられるよぉ!」
レビィさんはフリードさんの書いた術式を書き換えていく。すげぇ!そんなこともできるんだ!?
「でも、私とガジルだけ!!」
「ギヒッ!」
「「「「「「「「何ッ!?」」」」」」」」
レビィさんとガジルさんは二人で海にダイブする。ヤバいヤバい!!完全に置いてかれてる!!
「私もフリードとは付き合いが長いからねぇ」
「エバーグリーン!!」
「もっと複雑なトラップならともかく、これくらいの術式の書き換えくらいできるわ」
エバーグリーンさんとエルフマンさんも先に術式から出ていく。もう三つもルートがなくなっちゃった!!静の確率が・・・
「あと何分足止め?」
「まだあと4分です」
「じゃあレビィの奴、たった1分で術式を!?」
あと4分もあるのか。さすがに術式解けてから追いかけていっても追い付けないなぁ・・・仕方ない・・・待つか。
5分後・・・
「いくぞセシリー!!」
「うん!!」
俺とセシリーは術式が解けたと同時に飛び出す。早くいってできるだけいいルートを選ばないと!!できればミラさんとかの手を抜いてくれそうな人のところ!!
俺とセシリーは猛スピードで煙の位置へと飛んでいく。
俺たちが天狼島に立つと、大地から魔力を感じる。この島・・・まるで強大な魔導士みたいな魔力を発しているなぁ・・・と、そんなことより。
俺は洞窟の前にやってきたが、すでに4つのルートが塞がれていた。
Aルート、Bルート、Fルート、Hルート・・・か。あれ?先に行ったのってフリードさんとレビィさんとエルフマンさんだけだよな?なんで4つのルートが塞がってるんだ?
「シリル~!!早くしないとみんな来ちゃうよ~!!」
「お・・・おう!」
セシリーに言われ、俺は我に返る。さてさて・・・どのルートにしようかな?
普通に考えれば五番ルートが静だったんだから、Eが静のような気がするけど・・・そう見せかけて強い人を配置してそうな気がする。
Gルートは・・・ギルダーツさんのGだからやめておくとして・・・
「“I”だな!」
「なんで~?」
セシリーが首をかしげる。なんでって・・・
「いないのIだろ?」
「・・・はぁ~・・・」
ちょっと待て!!なんだよそのタメ息!!
「大丈夫だから!!いくぞ!!」
「絶対嫌な予感しかしないけど・・・うん」
俺たちは後ろの人たちが来る前に、Iのルートへと急いだ。頼む!!静のルートであってくれ!!
Iのルートにて・・・
「洞窟の中なのに、なんか明るいね」
「この虫が光ってるからみたいだよ~。名前なんだっけ?」
俺たちは意外に明るい洞窟の中を歩いていく。この虫・・・なんか奇襲に使えないかな?いや、虫をそんなのに使ったら怒れるよな。虫の王様に。
俺たちはそんな雑談をしながら歩いていく。しばらく歩いていると、少しずつ道が開けてくる。
「お!道が・・・」
「シリル~!!誰かいるよ~!!」
セシリーはそういって前方を指さす。やっぱり、静のルートは当てられなかったか・・・
俺も前を向く。そこには一人の影しか見えない。ということは、闘のルートもないな。
俺は目を凝らして見るけど・・・立っている位置が悪いのか、暗くてよく見えない・・・
「誰だ?」
「う~んと・・・」
すると、洞窟の道を照らしている虫が、その人の前を照らし始める・・・て、え!?
「「ウソ!?」」
俺たちはその人物を見て、思わず声をあげた。
後書き
いかがだったでしょうか。
まさかの戦う人を引っ張ってみました。
次回、その正体が明らかになります。
次回もよろしくお願いします。
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