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ハイスクールD×D 新訳 更新停止

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第4章
停止教室のヴァンパイア
  第91話 トップ会談、始まります!

 
前書き
リアス(アニメで)に続き、アーシア(二十巻表紙で)まで鎧を装備(色から察して、パンツ龍王の?)!
前衛で回復支援する為の物かな?  

 
「んぅぅぅぅ…!」
俺とイッセーが見守る中、ギャスパーは停止世界の邪眼(フォービゥン・バロール・ビュー)を扱いこなす為の訓練に励んでいた。
「よし!」
「ふぅ」
イッセーが声を掛けると同時にギャスパーは力を抜き、空中で静止していたバレーボールが地面に落ちる。
「二十回に一回ってところか」
「ああ、大した進歩だよ」
ちなみに他のメンツは旧校舎の窓からこちらを見ている。
訓練法的にそれほど人数もいらないから、ギャスパーが一番なついているイッセーと昨日の男子会でそれなりに仲良くなった俺の二人でギャスパーに特訓を施していた。
ゼノヴィアが特訓をつけようとしたら、ギャスパーが泣き出して、訓練にならないって事で真っ先に見学に回されたのは余談だ。
「よし、次!」
「はい!」
バン!
「あふぅっ!?」
イッセーの掛け声にギャスパーが身構えるも、顔面にボールを食らってしまう。
「イッセーせんぱ~い、疲れましたよ~…」
「弱音を吐くな!俺達には夢があるじゃないか!」
弱音を吐くギャスパーにイッセーが奮起を促す。
「夢に向かって一緒に頑張ろう、ギャスパー!」
「……イッセー先輩!」
「分かってくれ!可愛い後輩であるお前の為、俺は心を鬼にしてるんだ!」
「はい!僕が間違っていました、イッセー先輩!」
「ギャスパーッ!!」
「イッセー先輩ッ!!」
そう言い合いながら、抱き合うイッセーとギャスパー。
絵面的には熱血的で感動的な場面なんだが、イッセーの言う夢がギャスパーの力で停止した女子にイッセーがイヤらしい事をすると言う物で、これまた酷い物だ。
……って言うか、協力的なギャスパーもギャスパーだ。
「行くぞギャスパー!」
「はい!イッセー先輩!」
「なっ!?」
気合いを入れ、訓練を再開したが、今度はイッセーの腕を停めてしまう。
「……ギャスパー、停めるのは俺の腕じゃねえよなぁ…?」
「ふぇぇん!?また失敗してしまいましたぁ!?ごめんなさいぃ!?」
「ま、気にすんな。修行中なんだからさ」
「で、でもぉ…」
「失敗する回数も減ってきてはいる」
「最初は俺の全身止めてたもんな」
しかし、頭を上げたギャスパーは複雑そうな顔を見せる。
「……僕は悪魔としても吸血鬼(ヴァンパイア)としても半端者だから、みんなに迷惑ばかり…」
「ギャスパー!何も考えんな!考えたら負けだ!くよくよする前にどーんとぶつかってこい!俺もその方が分かりやすくていい!」
「……考え…ない…?」
「俺はお前が好きだぞ!もちろん、明日夏もだろ?」
「フッ、ああ」
俺はその問いに笑みで返す。
「同じ部員同士なんだし当然だろ!ましてや、俺とお前はリアス部長の眷属だしな」
「俺は眷属じゃねえが、仲間である事は変わらねえよ」
「イッセー先輩!明日夏先輩!僕、頑張りますぅ!」
「そうだ!」
「フッ」
「はい!じゃあこれを被ってパワーアップを…」
そう言って紙袋を被るギャスパー。
「や、止めろ!怖い!?」
……ホント、妙な迫力があるな、それ。
(とは言え、やっぱり、限界を感じてくるな)
(ああ。俺達だって、教えるどころかまだまだ教えられる立場だしな…。もっと神器(セイクリッド・ギア)に精通してる先生みたいな人がいてくれたらな…)
ふと、脳裏にあの堕天使の姿が浮かび上がる。
いや、お互いに義理もねえし、無理か。
(まあ、無い物をねだってもしょうがねえだろ)
(そうだな。俺達でできる限りの事をやるしかねえよな)
そんな事を小声で話した後、ギャスパーの訓練を再開する。


翌日、今日はいよいよ三大勢力のトップ会談の日だ。
既に時間帯は夕方を超えて夜へと差し掛かっている。
「じゃあ、行くわよ」
部長の言葉に皆が緊張の面持ちで頷く。
ちなみに俺と姉貴も出席する事になっている。
グレモリー眷属以外尚且つ悪魔ではない者でコカビエルとの戦いの場にいた者達の代表と言う事でだ。
兄貴にも賞金稼ぎ(バンティーハンター)としての立場での出席を頼まれたんだが、外せない急用があると言う事で、急遽、姉貴が兄貴の代理に出席する事になった。
残りの千秋達は部室で留守番だ。
しかし、兄貴の事は本当に急だった。
「ごめん、ちょっと外せない急用があるんだ」
「急用って、賞金稼ぎ(バンティーハンター)関連のか?」
「まあね」
そう言って、今朝からどこかへ出掛けていった。
しかし、わざわざこんな重大な会談がある日にか…。
……嫌な予感がするな…。
杞憂であってほしいものだ
「ギャスパー、良い子で留守番しているのよ。会談中に何かのショックで貴方の能力が発動してしまったら大変な事になるわ。分かってちょうだい」
「は、はい」
訓練を積みはしたが、まだまだ、使いこなせていないからな。
何かの拍子でトップの誰かを停めるなんて事態になったら問題だしな。
「貴女達、ギャスパーをお願いね」
『はい』
留守番組の千秋達と眷属内で同い年の塔城は会談中のギャスパーの相手をする事になった。
「ギャスパー、大人しくしてろよ。これ貸してやるから」
イッセーはそう言い、携帯ゲーム機をギャスパーに渡す。
「あ、はい。ありがとうございます、イッセー先輩!」
「……お菓子も沢山用意したから」
そう言って、塔城は段ボール一杯のお菓子を出す。
「わあー、一杯!」
「ありがとう、小猫ちゃん!」
まあ、ほとんどは塔城の胃袋に消えていくんだろうがな。
「紙袋もここに置いといてやるな。寂しくなったら存分に被れ!」
「はい!」
「よし、良い子だ」
イッセーとギャスパー、すっかり仲良くなったもんだ。
イッセー自身、ギャスパーの事をなんとかしたいと真剣に考えてるんだろう。
その後、俺達は部室を後にし、会談が開かれる新校舎の会議室に向かう。


コンコン。
「失礼します」
会議室の扉をノックした部長が室内へ足を踏み入れ、俺達もその後ろへと続いていく。
内装は俺が知っている会議室とは大分変わっており、今日の会談の為に用意されたであろうシックなデザインのテーブルやイスが目に入る。
そして、用意されたイスには魔王サーゼクス・ルシファー、セラフォルー・レヴィアタン、堕天使総督アザゼルと頭の上に輪っかを浮かばせている青年が座っていた。
おそらく、あの青年が大天使ミカエルなのだろう。
トップ以外の者もこの部屋にいる。
悪魔側には会長と副会長のシトリー眷属の王(キング)と女王(クイーン)、おそらく給仕係兼魔王ルシファーの付き人として来たであろうグレイフィアさんがいた。
天使側にはアルミヤさん、ライニー、ユウナ、そしてもう一人、イリナがいた。
「イリナ!?」
ゼノヴィアがイリナの姿を見るなり、驚きの声をあげる。
「……ッ…」
ゼノヴィアと視線が合うとイリナはすぐさまそっぽを向いてしまう。
ゼノヴィアの話じゃ、別れ際はかなり険悪な感じだったみたいだからな。
見ると、ユウナが俺とイッセーに手を振っていた。
イッセーと互いに苦笑いしてから軽く手を振る。
「ッ!?」
その後、イッセーはとある一点…アザゼルの背後を見て表情を強張らせる。
アザゼルの背後にいるのは、白龍皇ヴァーリであった。
ヴァーリは不敵な態度で俺達…っと言うよりイッセーを見ていた。
「紹介する。私の妹とその眷属、先の戦いに妹達に協力してくれた者達の代表と、もう一人来てほしかった者の代理だ。その件のコカビエル襲撃では彼女達が活躍してくれた」
「ご苦労様でした。改めてお礼を申し上げます」
大天使ミカエルが俺達を労う。
「悪かったな。俺の所のモンが迷惑を掛けた」
「……なんつー態度だ…!」
悪びれた様子も無く言うアザゼルの態度に苛立たせるイッセー。
俺達は悪魔側、つまり会長達の隣に移動する。
「これで参加者の全員が揃った。それでは、会議を始めよう」
魔王の言葉を皮切りにこうして三大勢力の会議が始まった。
ちなみに外では各勢力の、悪魔、天使、堕天使の警護兵が一触即発の風体で警護していた。


「以上が私、リアス・グレモリーとその眷属、その他の協力者が関与した事件の顛末です」
「私、ソーナ・シトリーも彼女の報告に偽りが無いことを証言いたします」
トップ達が一通り話し終えると、次に部長と会長が前に出て、先日のコカビエル襲撃の顛末を報告し終えた。
「ご苦労、下がってくれ」
「ありがとう、リアスちゃん、ソーナちゃん♪」
魔王に促され、部長と会長が下がる。
「リアスの報告を受けて、堕天使の総督の意見を伺いたい」
「意見もなにも、コカビエルが単独で起こしたことだからな」
「与り知らぬことだと?」
「目的が分かるまで泳がせてたのさ。フフン♪まさか俺自身が町に潜入してたとは奴も思わなかったようだがな。ここはなかなか良い町だぞ♪」
「話を逸らさないでもらいたい」
「だから白龍皇に頼んで処理してもらったろ。で、地獄の最下層で永久冷凍の刑にした。もう出てこられねーよ」
「問題はコカビエルが事を起こした動機です。コカビエルが貴方方に不満を抱いていると」
「ああ。戦争が中途半端に終わっちまった事が相当不満だったようだな。俺は戦争なんぞ今更興味ねーしな」
「不満分子って事ね…?」
「フン、お前さんらも色々あるらしいじゃねーか?」
「それは今回の件と関係は無い。今回の会談の目的は…」
「もうめんどくせー話はいい。とっとと和平を結んじまおうぜ?」
『ッ!?』
アザゼルが発した言葉に俺達は驚愕する!?
「フン、元々そういう腹だったんだろ?お前らもよ。今の三すくみの関係はこの世界の害になるだけだ。異論はねえだろ?」
「……戦争の大本である神と魔王が消滅したのですから…」
ッ!今の発言、この場にいる者全員が神の死を知っている、つまり、アルミヤさんを除くイリナ達もこの事実を知っていると言う事になる。
イリナ達を見ると、悲しそうにしているイリナとユウナ、ただ黙って瞑目しているライニーがいた。
やっぱり、この場に来るに当たって知らされたのか。
「そこでだ。本題は、三すくみの外側にいながら、世界を動かす程の力を持っている、赤龍帝、白龍皇、お前らの考えを聞きたい?」
「俺は強い奴と戦えれば良いさ」
ヴァーリは淡々と答える。
「フッ、戦争しなくったって強い奴はごまんといるさ」
「だろうな」
アザゼルは次にイッセーの方を見る。
「じゃあ、赤龍帝、お前はどうだ?」
「いぃッ!?えぇっと…、いきなりそんな小難しい事振られても…」
まあ、そんなスケールのデカイ事をイッセーがすぐに答えられるはずも無い。
「では、恐ろしいほど噛み砕いて説明してやろう。兵藤一誠、俺らが戦争してたらリアス・グレモリーは抱けないぞ」
「……え…?」
……は…!?
「なっ!?」
いきなり何言ってるんだこいつは!?
「だが、和平を結べば、その後大事になるのは、種の繁栄と存続だ」
「種の……繁栄ッ!!」
お前も食い付くな!
「おうよ。毎日リアス・グレモリーと子作りに励む事ができるかもしれん。和平なら毎日子作り、戦争なら子作り無し。どうだ?分かり易いだろ?」
……確かにイッセーには一番分かり易い説明だと思うが…。
「………………」
しばしの間、イッセーは何か(大体想像つくが…)を考え込む。
「和平でお願いします!!ええ!平和が一番です!部長とエッチしたいです!!」
しばしの沈黙の後、イッセーは高々と叫ぶ。
「……アホ…。……なんつー場所でなんつー事言ってんだ、お前…」
「……サーゼクス様もおられるんだよ」
「あ…」
俺と木場の言葉で自分の発言のとんでもさに気付いた様だ。
「もう、あなたって人は…」
部長も頭を抱えて呆れていた。
「と、とにかく!俺の力はリアス様と仲間達の為にしか使いません!これは絶対です!」
声が裏返ったりしてはいたが、イッセーははっきりとそう告げる。
今のがこいつなりの和平に対する答えとアザゼルへの回答なんだろう。
「赤龍帝殿、私に話があると言っていましたね?」
「約束、覚えて下さってたんですか!」
「もちろん」
剣を受け取る時にそんな約束をしてたのか?
ま、なんとなく、こいつが何を聞こうとしているのか、大体察せるがな。
「……アーシアを、どうして追放したんですか?」
一瞬だけ間を置き、大天使相手にそう問い掛けた。
「ッ!?」
イッセーの問いを聞いて、アーシアが目を見開く。
やっぱり、その事だったか。
「あれほど神を信じていたアーシアを…
何故追放したんですか?」
その問いは本当に今更な物だが、アーシアの事誰よりも想っているイッセーにとってはどうしても聞きたかった事なんだろう。
「……神が消滅した後、システムだけが残りました。加護と慈悲と奇跡を司る力と言い換えても良いでしょう。今、私を中心にかろうじて機動させている状態です。故に、システムに悪影響を及ぼす者は遠ざける必要がありました」
大天使ミカエルは真摯にそう答える。
「アーシアが悪魔や堕天使も回復出来る力を持っていたからですか?」
イッセーの指摘に頷き、大天使ミカエルは続ける。
「……信者の信仰は我ら天界に住まう者の源。信仰に悪影響を与える要素は極力排除しなければシステムの維持が出来ません」
「だから、予期せず神の不在を知る者も排除の必要があったのですね…?」
大天使ミカエルの言葉を聞き、ゼノヴィアが前に出て、そう言う。
「……その為、貴女もアーシア・アルジェントも異端とするしかありませんでした。……申し訳ありません…」
天使の長である大天使ミカエルがアーシアとゼノヴィアに頭を下げる。
「どうか頭をお上げください、ミカエル様。長年教会に育てられた身、多少の後悔もありましたが、今は悪魔としてのこの生活に満足しております」
微笑みながらそう告げるゼノヴィア。
その言葉に俺を含めたオカ研のみんなが微笑む。
「……他の信徒に申し訳ありませんが…」
……今のセリフ、特に驚愕の表情でゼノヴィアを見ていたイリナに向けた物だろう。
「私も今、幸せだと感じております。大切な人達がたくさん出来ました」
アーシアも前に出て、ゼノヴィアと同様今の生活に満足している事を告げる。
「……貴女方の寛大な御心に感謝します…」
二人の言葉に安堵の表情を見せた天使の長はもう一度アーシアとゼノヴィアへ頭を下げた。
「そう言やぁ、俺の所の部下がそこの嬢ちゃんを騙して殺したらしいな?」
「他人事みてぇに言うなァ!!」
だが、そんな和解の場に茶々を入れる様にアザゼルが口を挟み、その言い方と態度にイッセーが怒鳴り散らす。
「あんたに憧れてた堕天使の女があんたの為にアーシアを殺したんだよォ!!」
「んん?」
イッセーの怒声を聞き、アザゼルは軽く睨む。
「ッ!?……くぅ…!」
イッセーはアザゼルの眼光にたじろぐも視線は外さなかった。
「部下の暴走は俺の責任でもある。だから俺は俺にしか出来ない事でお前らを満足させてやるよ」
「何ィ!!」
アザゼルの言葉に怒りの興奮が冷めないイッセーは食って掛かろうとする。
「イッセー…」
「落ち着け…」
俺と部長が怒り心頭のイッセーを諌めようと俺は肩に、部長は手を置こうとした瞬間、あの感覚…ギャスパーに時間を停められた時に感じる感覚が襲ってきた!?  
 

 
後書き
次回からオリ戦闘を入れていきます。 
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