転生とらぶる
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マブラヴ
1005話
突然食堂の中に響いた通信に、それを聞いた者達は一瞬戸惑う。
それは俺の目の前にいる中佐にしても同じ事だったが、俺自身は寧ろ納得の表情を浮かべていた。
そもそも、俺がこのアンバール基地にやって来たのはエザリアの提案で前線に顔を出すというのもあるが、何よりも最大の理由は中東やアフリカ方面で恭順派や難民解放戦線が……より正確にはその生き残りが動いているという情報を得た為だ。
以前からその辺の報告は上がってきていたのだが、伝書鳩や伝令を使ったアナログ的な手段でやり取りをしているのも影響しており、どうしてもシャドウミラーとしてはその尻尾を掴む事が出来なかった。
一応色々とエザリアも手を打ってはいたのだが、結局俺が出向くという事になった訳だ。
正直、何か手掛かりの1つでも得られればいいという思いからの行動だったのだが……まさか、ここまでの行動を起こすとは完全に予想外だな。
いや。恭順派や難民解放戦線であれば、俺が生身でもBETAを相手取れる強さを持つというのは知っている筈。となると、この騒動は元々俺がこの基地に出向くのとは全く関係無く起きた出来事なのか?
……もしそうだとすれば、色々な意味で運がないな。いや、手掛かり云々という風に考えれば、寧ろ運がいいのか?
『繰り返す、このアンバール基地は我々キリスト教恭順主義派と難民解放戦線が占拠した。それぞれ、無駄な抵抗は止めて投降せよ。戦術機ハンガーは既にこちらの手の者が抑えており、同時に通信システムも掌握している』
「へぇ」
その言葉に、思わず感心の呟きを吐く。
色々と準備に準備を重ねてきたんだろうが、それでも随分と手際がいい。
そんな風に考えていると、突然食堂の出入り口から10人程の武装した人員が姿を現す。
「今の放送を聞いていたと思う。我々は既にこの基地を占拠した。諸君も無駄な抵抗を止め、大人しくこちらの指示に従って欲しい」
銃を手にしながらも、脅すというよりは話を言い聞かせるといった感じで告げてくる男。
確かにここにいるのが軍人である以上、無意味に激昂させるよりは大人しく投降してもらった方がいいだろう。
「中佐、奴らを排除するが構わないな?」
相手に聞こえないように小声で近くの中佐に告げるが、それに戻ってきたのは難しい表情だった。
「アクセル代表。申し訳ありませんが、出来れば殺すのではなく生かしたまま捕らえる事は出来ないでしょうか? 今回の件、奴らにとってもかなり力を入れている作戦の筈。であるのなら、何らかの奥の手の類がないとも限りません。それに今回の件の全容を聞き出したいのですが」
なるほど。確かに迂闊に殺して、後で情報を得られなかったので相手の切り札を確認出来ずにアンバール基地が壊滅しました、とかなったら洒落にならないか。
「分かった」
それだけを呟き、瞬動を利用。そのまま一気に銃を持っている者の前へと進み出る。
「ふっ!」
そんな声と共に放たれた俺の拳は、ボディアーマーに身を包まれた男の胴体へと叩きつけられる。
かなり手加減をして放った一撃だったのだが、その状態でも男は水平に吹っ飛んでいき、壁へとぶつかって意識を失う。
……まぁ、ボディアーマーを着てたし、死んではいないだろう。精々肋の粉砕骨折ってところか。
そのままの状態で、今の光景を見て唖然としている男達に向かって次々と拳を叩き込んでいく。
「ぐはぁっ!」
「げふっ!」
「ぬおっ!」
そんな風にそれぞれが悲鳴を上げながら吹き飛び、更には仲間にまでぶつかって気絶していくが、それでも全員が倒されるまでそのままボーッと突っ立っている訳じゃない。
「ちぃっ、何だこいつは! 化け物か!」
そう叫びながら、こちらへと銃口を向けてくる男。
だが、俺はそれを見るや否や動きを止めて、そのままゆっくりと銃を構えている男に向かって歩み寄る。
「くっ、来るな! 撃つぞ!」
「撃てよ。ただし、撃ったらその時点でお前は色々と後悔する事になると思うがな」
「な、は、はったりだと思ってるのか!?」
そう告げた男はトリガーへと力を入れ……
パァンッ、というどこか軽い音が周囲に響き渡る。
放たれた弾丸は真っ直ぐに飛び、俺の腹部へと命中し、次の瞬間には白炎と化した俺を貫き、背後の壁へと着弾する。
「な、な、な……」
目の前で見た光景が信じられないのか、まともに言葉に出せない様子の男。
そんな男へと、俺は構わず近づいて行く。
そして……ようやく男達のうちの1人が俺の正体に気が付いたのか、大きく目を見開き、信じられないといった様子で叫ぶ。
「アクセル・アルマー!?」
その叫びで他のテロリスト共も俺の正体を知ったのだろう。化け物でも見るような目でこっちを見てくる。
……どうやら本格的に俺がこの基地にいるというのは知らなかったらしいな。
海上プラントの時は、寧ろ俺がいるのを狙ってやってきたらしいが……色々とタイミングの悪い奴等だ。
いや。俺にしてみれば、こいつ等が出てくるのを期待してやって来たんだから、タイミングがいいと言うべきだろう。
通信機とかを使わず、アナログ的な伝令や伝書鳩で情報をやり取りしていた弊害か? マブラヴ世界のこのご時世、鳩ではあっても色々と貴重な存在だろうに。
「ま、そういう訳だ。まさかアンバール基地に来たその日のうちに……どころか、数時間も経たないうちに行動を起こしてくれるとは思わなかった」
「馬鹿な……俺達がこの地域にいるというのは知られていなかった筈だぞ!」
何を根拠に言っているのかというのは、すぐに分かった。それこそ、伝書鳩や伝令を使っていた事だろう。
「確かに見つかりにくかったのは事実だが、それでも絶対なんて言葉はないんだよ。それこそ絶対にな」
呟き、テロリスト共の方へと歩いて行く。
それに対応するように銃口を俺に向けてくるが、銃の類が俺に効果がないというのは先程の件で理解しているのだろう。動揺したように仲間同士で目を合わせている。
「ああ、そう言えば訂正だ。絶対って言葉はあったな」
そんなテロリスト共に構わず、指をパチンッと鳴らして白炎へと変え、その白炎は炎獣へと姿を変える。
獅子、虎、狼、鷲。見るからに凶暴そうな姿に変わった炎獣に、テロリスト達だけではなく食堂にいる者達までもが驚愕の声を上げている。
……まぁ、炎獣を初めて見たのなら当然か。
「お前達の終わり。それは絶対の出来事だ」
その声と共に、俺の周囲に存在していた炎獣達がテロリスト達へと襲い掛かる。
中には自分達の不利を察知して食堂から逃げだそうとした者もいたが、その機先を制するかのように狼の炎獣が壁を蹴って三角跳びの要領で出入り口の前へと着地する。
また鷲の炎獣も空を飛んで逃げ出そうとする者達の目の前を通り過ぎ、テロリストは突然目の前を通った炎獣に思わず動き止め、その動きに身体がついていけずに床へと転がる。
突撃銃や拳銃、あるいはサブマシンガンのトリガーを引くテロリストもいたのだが、その銃弾が白炎で構成された炎獣に通じる筈もなく、壁や食堂の中にいた軍人達が盾にしたテーブルへとその弾痕を刻む。
今のを見れば分かる通り、既に軍人達はテーブルやら、あるいは厨房の奥へ非難したりして身を隠していた。
この辺の素早い行動は、日々実戦を繰り返してきた練度の高さ故だろう。
銃弾をものともせずに近づいてくる獅子の炎獣へ咄嗟に突撃銃の銃床で殴りつけた者もいたのだが、白炎に触れた途端にドロリと溶ける。
「ぎゃあああああああっ!」
溶けた金属、あるいはプラスチックかもしれないが、ともかくそれが手に垂れてきたのだろう。テロリストは悲鳴を挙げながら突機銃を放り投げ、床を転げ回る。
その身も蓋もない悲鳴に、テロリスト達の注意が一瞬そちらに向けられ……結果的にそれが大きな隙となって、炎獣により完全に押さえつけられる。
不幸中の幸いだったのは、炎獣が俺の意思を受けて相手を押さえつけた時に炎の温度を低下させた事だろう。
そうしたのは、重度の火傷を負わせれば情報を聞き出す際に治療の手間が掛かるという理由からだったりするのだが。
「くそっ、このイレギュラーめ! お前がこの世界にやってきてから、俺達は最悪だ! 自分勝手にこの世界を本来あるべき姿から変えやがって。何様のつもりだ!」
獅子の炎獣の前足に背中を押さえつけられ、身動きが出来ないテロリストが俺を見ながら叫ぶ。
その目に宿っているのは凶悪な光であり、その視線で俺を殺せたらとでも言いたげな様子に、小さく肩を竦める。
「そうだな。他の世界では大魔王と呼ばれる事もあったし、大魔王様と呼んでもいいぞ?」
その一言に、テロリストはほら見た事かと言わんばかりに食堂にいる軍人達へと視線を向ける。
「聞いたか、この男はやはり悪魔の使い! いや、悪魔そのものだ! こんな男に付き合っていれば、そのうちこの世界そのものが駄目になるぞ! この世界で生きる者なら、この世界の事に関しては自分達の手で解決すべきだとは思わないのか!?」
得意げな叫びだったが、それに戻ってきたのは中佐を含めてこの食堂内にいた軍人達の冷たい視線。
厨房の方に避難していた者達でさえ、わざわざ戻ってきてテロリストへと冷たい視線を向けている。
その視線に気が付いたのだろう。何故自分がそんな視線を向けられているのか理解出来ないと言いたげに、テロリストが叫ぶ。
「何だ、何でそんな目で俺を見る!? 俺の言っている事は間違っていない筈だ! この世界の事は、この世界の者だけで解決すべきだろう!」
……なるほど。BETA恭順派といっても、色々な奴がいるんだな。この男の場合は、別にBETAに対して命を差し出そうとかそういうのは考えておらず、寧ろ俺達シャドウミラーのような存在がこの世界に手を貸しているのが気にくわないのか。
「それで、どうしろと? 私達の実力だけでは、間違いなくBETAに負けていた。シャドウミラーがいたからこそ、アラビア半島防衛戦に成功し、鉄原ハイヴを始めとしたハイヴの攻略に成功し、大氾濫すらも殆ど被害がないままに撃退出来た」
中佐のその言葉に、他の軍人達も頷き、同意し、そうだと叫ぶ。
「俺なんか、戦術機の適性で弾かれて歩兵やってたのに、今じゃガン・ルゥのパイロットだぞ。倒したBETAの数も、小型種を合わせれば1000を超える。それもこれも、シャドウミラーが来たからだろ? 大体お前が言う通りこの世界の者だけでBETAに立ち向かえば、大勢死ぬのは間違いないんだぞ? それを受け入れろってのか?」
「そうだ! この世界の事は、この世界の者達だけでどうするか決めるべきだ! 他の世界の人間の手を借りるなんて真似は邪道だ! 俺は認めないぞ!」
駄目だな、これは。完全に自分の考えに凝り固まっている。何を言っても聞く耳は持たないだろう。
「どうする? こんなのだが、捕虜として扱うのか?」
「うっ、そ、それは……はい。一応は」
中佐も微妙に嫌なのだろう。そう告げつつ、それでも結局は捕虜として捕らえる事を頼んでくる。
「苦労するのはそっちだから、別にいいけどな」
中佐の指示に従い、周囲の軍人達が炎獣の押さえつけているテロリスト達へと向かって行く。
微妙に及び腰なのは、テロリストを警戒しているというよりも、炎獣の方を警戒しているのだろう。
「問題ない、とは言えませんが……それでも、情報源がいるのといないのとでは大きく違いますから。……それより、アクセル代表はこれからどう行動するのですか? 先程の話を聞く限りでは、恭順派と難民解放戦線を追ってここにやってきたようですが」
中佐としては、出来れば自分達で事態の解決をしたいのだろう。
自分達の基地で起きた事件だけに、俺が解決すると面子を潰される。だが逆に俺に任せないで、その結果基地が大きな被害を受けるというのも困る。そんなところか。
なら、事態の解決そのものはこの基地にいる奴らに任せるとして……
「格納庫に向かう。こいつらにも奥の手があるのかもしれないが、それよりもすぐそこにある力を使わないって事はないだろうしな」
この世界では戦術機というのは大きな力だ。ぶっちゃけ三次元機動出来る戦術機は、平原のような場所ではない限り、ガン・ルゥやリニアガン・タンクを相手にしたとしても10機程度なら戦術機1機でどうとでもなる。
さすがに100機、200機とかが相手なら話は別だが……
「そう。ですね。そうして貰えると助かります。ただ、戦術機はBETAに対する戦力ですので、出来れば小破程度に抑えて貰えれば……って、アクセル代表機体を持ってきたんですか?」
そう告げる中佐に小さく首を振る。
「そもそも戦術機程度を相手にするのに、わざわざニーズヘッグを持ち出すまでもない」
いや、空間倉庫の中に入ってはいるんだけどな。
ただ、火力が大きすぎ、更には戦術機の装甲が薄すぎて、小破にする加減が難しい。
それなら、まだ生身の方がやりやすい。
「という訳で、悪いが俺は先に行く。幸い格納庫のある場所は既に案内して貰ったしな」
「え? ちょっ、アクセル代表!? 格納庫は他にも幾つもあるんですよ!?」
そんな声を聞き、軽く手を振って返事をしつつ、影のゲートへと身を沈めていくのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:42
PP:290
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
???
???
撃墜数:1167
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