WATCH DOGS 〜in RIDER WORLD〜
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PHASE 9 突入直前の乱入者
(見えてきたぞ…)
道の先に巨大なユグドラシルタワーが現れた
(一刻も早く…終わらせなければ…)
近づけば近づくほど
焦ってくる
途中何度か赤信号で阻まれそうになるが
スマホで信号機をハッキングすることで
強制的に青に変え、突破していく
もうタワーは目の前だった
だがその時、彼の後ろを通っていた車が
急にスピードを上げ、彼を追い越した
そして同じ車線に戻った瞬間にブレーキをかけた
こちらも慌てて急ブレーキをかけ、足で踏ん張る
道路に濃いタイヤ痕が残ったが
なんとか止めることができた
車からは1人の男が降りてきた
すかさずエボニーを取り出し、
そいつに向かって構える
「おい!なんのつも…ん?お前…」
その男は、先日も見かけた
真野であった
「真野じゃあないか
随分と久しぶりだな」
(とは言ってもこの前見かけたがな…)
「君に用があるんだ!急用だ!
大事なことだ!」
真野はかなり慌てた様子で
話しかけてきた
「急用っつわれてもよ…
こっちだって急いでるんだ
じゃあな」
こんな奴よりも夏希の方が優先だ
そう思って銃をしまい、ハンドルを握る
「待ってくれ!浜風さんと連絡が取れないんだ!」
「なに?」
その名を聞いて彼は思わず
聞き返す
「浜風夏希さんだ!わかるだろ?」
「さあ…わからんな」
「嘘をつくな!この前一緒にいるのも見たぞ!
ドルーパーズで!」
(なんだ…こいつもあの時こっちに気づいてたのか…)
何も悟られないように
嘘をつこうとしたが無駄だった
「そうか…見たのか
で、連絡が取れないってのは?」
てっきりこいつと夏希は
高校卒業後、全く関わりがないはずだった
そもそも高校の時も二人は部活が同じってだけで
それ以外何もなかったはずだ
「それが…その…僕、高校の時から
ずっと彼女に相談とか乗ってもらってて…」
(なるほど、
確かにあいつは面倒見がいいやつだ
悩んでるやつはすぐに気づき、話を聞いてやったりもしただろう
だが高校からずっと相談とは…
こいつのメンタルはどうなっているんだ…)
「そうか
じゃあなんでわざわざ俺を追いかけた?
警察にでもいけばいい」
「いや…だって君…ほら…この前も彼女と会ってたし…
それに…」
そこで彼は口を噤む
「なんだ?言え
さっきも言ったが急いでるんだ」
「その…ビジランテでしょ?」
彼の言葉に衝撃を受ける
「…なんのことかな?」
「とぼけなくていいんだ
前に見たんだよ…
繁華街でギャングに因縁つけられて…
その時裏路地に逃げたんだけど
その時君が別のギャングを倒してるところを…」
失敗した
普段は顔を認識されないために
仕事中はマスクをつけているのだが…
おそらくその繁華街の時は
暗い路地裏での仕事で、対象も少ないから
誰にも見られないと思いつけていなかったのだ…
実際あのマスクは結構息苦しい
「…そうか」
正直それを知られていては何も言えない
「ねえ、何か知ってるんじゃないの?
教えてくれよ
もし彼女が何かに巻き込まれてるなら…
手伝わせてくれ」
彼の目は本気だ
だが、それでも一般人だ
巻き込むわけにはいかない
「ダメだ」
「頼む!」
「ダメだと言ったらダメだ、悪いな」
「お願いだ!役に立つ!頼む!」
「なんでそこまで…」
「僕は彼女に色々聞いてもらったんだ!
中には辛い話もある!
だがいつも聞いてもらってばかりで
何もお礼できていない!だから
こういう時くらい恩返しがしたいんだ!」
やはり彼の目は本気だ
だが何か少し違うようなものも感じる
「…仕方ない、いいだろう」
とりあえずそれなりにやる気はあるようだ
「本当か!ありが…」
「だが、条件付きだ
いいか、簡単だ
絶対に俺の言うことを聞け
これだけだ、OK?」
「OK」
「よし、それじゃあ何が起こったか話そう…」
事の経緯を彼に話し始める
彼は集中してそれを聞いた
「アポロガイスト様」
例のビジランテを監視している戦闘員の1人が部屋に入ってくる
「なんだ?」
「報告です
霧島翔は仮面ライダーでした」
「なに?それは本当か?」
「はい、こちらが写真です」
受け取った写真を見て
彼は嗤う
「ほう…
このベルトは1年前に破壊したと聞いていたが…
やはり残っていたか
残骸が見つからない時点で察してはいたが」
戦闘員は黙って彼を見る
「…なるほど、つまり彼があの時の邪魔者だったということか…面白い」
「いかがいたしましょう」
「そうだな…我々に敵対するライダーが増えても困る
だが彼のビジランテとしての仕事は本物だ…
利用するだけして、その後に消えてもらおう」
彼は次元の穴を開いた
「どこへ向かうのですか?」
「ちょっと…彼を消すための準備をしてくる
すぐ終わるがな」
彼が開いた穴の先は…
ユグドラシルタワーの研究室であった
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