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ドリトル先生と二本尻尾の猫

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第十二幕その八

「イタリアの人は最後はです」
「このジェラートですね」
「これを食べないと駄目とか」
「そう言う人が多いのですね」
「ですから」
 それで、というのです。
「是非共です」
「はい、召し上がらさせてもらいます」
 先生は日笠さんに答えてでした、それから。
 そのジャラートも食べて笑顔で言いました。
「このジャラートもいいですね」
「そうですよね」
「このお店はジェラートもいいのですね」
「デザートもです」
 パスタやピザだけでなく、というのです。
「いいのです」
「そうなのですね」
「ケーキもタルトも素晴らしいです」
「では今度行った時に」
「その時はですね」
「ケーキかタルトを」
 そのデザートにというのです。
「召し上がらさせてもらいます」
「では私も」 
 日笠さんはタイミングを入れてご自身をお話の中に入れました。
「ご一緒に」
「来て頂けますか」
「先生が宜しければ」
「ではその時は」
 ここで断らないのが先生です、それでなのでした。
 日笠さんのお願いに応えます、それだけで嬉しくなる日笠さんでした。
 そしてお食事の後でなのでした。
 日笠さんは先生にです、こうも言いました。
「あの、先生」
「何でしょうか」
「これからお時間はありますか?」
 こう尋ねたのでした。
「今夜は」
「特に何も予定はありませんが」
 先生は日笠さんに穏やかな声で答えました。
「論文を書く予定もありません」
「そうですか、それでは」
「それでは?」
「これからバーに行きませんか?」
 先生に必死の感じでの提案でした。
「如何でしょうか」
「いえ、それは」
「それは?」
「今夜は飲み過ぎてしまいました」
 見れば先生のお顔はかなり赤くなっています、お酒は強い先生ですがそれでもです。今夜はというのです。
「ついつい。ワインが美味しくて」
「二本開けておられましたね」
「それだけ飲めば。昨日も飲みましたし」
 だからだというのです。
「今日はもう飲みません」
「そう、ですか」
 そう言われてです、日笠さんは。
 残念そうなお顔になってそのうえで先生に言いました。
「では今日は」
「折角のお誘いですが」
「これで、ですね」
「あっ、お車は用意します」
 先生らしく紳士的な対応でした。
 先生は携帯を取り出してでした、ある場所に連絡しました。そのある場所にこう言ったのです。
「じゃあこちらまでお願いします」
「場所は何処ですか?」
「イタリア料理のレストランの」
 お店の名前を言ったのです。
「その前です」
「わかりました、では一台」
「お願いします」
「あの、何を」
「はい、タクシーに来てもらいました」 
 先生は日笠さんに微笑んで答えました。
「もうすぐ来てもらいますので」
「タクシーということは」
「夜の女性の一人歩きは危険です」
 その微笑みのままのお言葉です。 
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