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ドリトル先生と二本尻尾の猫

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第十二幕その二

「君達にお願いがあるけれど」
「お願い?」
「お願いっていうと?」
「それは何かな」
「あの人達のところに行ってね」
 そのガラの悪い人達のです。
「それでお顔を舐めたりしてくれるから」
「あっ、そうしてだね」
「嫌がらせてだね」
「お二人の方からどける」
「そうするんだね」
うん、これなら暴力を振るっていないし」
 それで、というのです。
「いいよ」
「先生の智恵だね、いつもの」
 老馬は先生のアイディアを聞いて笑顔で応えました。
「いいアイディアだね」
「暴力を振るわなくてもね」
「頭を使えばだね」
「そう、厄介ごとを避けられるんだ」
 それが可能だというのです。
「だから今回もね」
「僕達が行って」
「頼むよ」
「うん、それじゃあね」
 老馬が頷いて、でした。老馬とオシツオサレツは二匹でガラの悪い人達のところに行ってでした。そのうえでなのでした。
 お顔を舐めました、すると。
 ガラの悪い人達は困ったお顔で、でした。こう言いました。
「うわ、何だこの馬」
「急に出て来たな」
「この動物園馬も放し飼いにしてるのか?」
「しかも何だこいつは」
 オシツオサレツの二つの頭にも舐められて言うのでした。
「頭が前後に二つあるぞ」
「山羊に似てるけれどな」
「山羊じゃないな」
「何だこいつ」
「一体何なんだ」
 どういやらオシツオサレツを知らないみたいです、それでこう言うのでした。
「変な動物だな」
「しかも舐めてくるしな」
「一体何だよ」
「本当に」
「だから舐めるなよ」
 二匹にお顔を舐められてまた言いました。
「俺達に何しろってんだよ」
「折角可愛い娘見たから声かけようと思っていたのにな」
 少し離れた場所にいるお静さんの飼い主である女の子を見ています、先生達の危惧は当たっていたみたいです。
「何だよ、一体」
「この連中は」
「急に出て来てな」
「何で舐めて来るんだよ」
 動きが止まっていました、そして。
 先生は今度はホワイティにです、こう言いました。
「それじゃあ次はね」
「僕だね」
「うん、ここはね」
「あの人達の足元を走り回って」
「攪乱してくれるかな」
「うん、そうしてくれるかな」
「わかったよ」
 ホワイティも先生の言葉に頷いてでした、それから。
 老馬とオシツオサレツに舐められて困っているガラの悪い人達の足元に言って走り回ります、すると。
 突然足元を走り回られてでした、それもよく見えない何かに。
 只でさえ老馬とオシツオサレツにお顔を舐められて困っていたところにそれが来てもっとでした、狼狽して。
 ガラの悪い人達は遂になのでした。 
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