インフィニット・ストラトスGM〜天空を駆ける銀狼〜
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那珂優里を怒らせたら、どうなるか分かってますよね?
「ふん。そんなもので私に勝てると思ってるんですか?シャル?」
「ッ!僕の名前を気安く呼ぶなっ!!」
シャルが高速で放つ弾丸を鬼切で斬り捨てながら、箒と一夏の合流を今か今かと待つ。鬼切で時々反撃しながら、二人を相手するといっても山吹色のISは殆ど攻撃してこない。
(……なるほど。自分は攻撃せずに操っている人物に攻撃させると……)
なんか胸糞悪い戦い方ですね。私とは真逆ですね。そう考えていると後ろから声が聞こえる。
「優里。大丈夫か?」
「箒っ!!」
「なんだ?いきなり、抱きついてきて気持ち悪いぞ」
「箒、酷いですね……」
「きっ、貴様だって!いつも、私をからかうじゃないかっ!!」
「まぁまぁ」
「貴様……っ」
箒の後ろに一夏を見つけ、ここから反撃を前を見ると。山吹色のISが居なくなっていた、代わりにそこにいるのは黄金の毛並みを生やした狐と人形。人形は左腰に刀を吊るしており、背中には矢と弓を背負っていた。
「……」
「なんか、不気味だな」
「えぇ」
私は一夏の言葉に相打ちを打ちながら、丸いものを探す。そして、ちょうど斜め前に会った時計を見つめる。
「……【清風明月】」
私の周りを眩い光が包んで行く。眩い光を斬って、さっきの不気味な人形に切りかかって行く。
☃☃☃
「っ!!」
人形の放った矢、腕を掠って 羽織を血で汚した。
(三人で戦って、これって……)
私はチラッと斜め上を見る、そこには0:16と浮かんでいた。
(あと16秒で【清風明月】が切れる……)
「優里っ!!」
「しま……っ!!………痛たた……シャレにならないですよ。これ……」
箒の声が聞こえ、前を見るが防御が間に合ったが人形の長剣を横腹に食らってしまう。ゴロゴロと地面を転がったあと、痛みからなかなか立てない。息をすれば、肺が軋んで痛い。
「……」
「よっと!」
頭上から長剣の気配を感じ、急いで起き上がる。そこで左太ももに激痛を感じる、見ると袴に大きなシミが広がっていた。
「……っ」
左太ももを構いながら、人形の攻撃を避けるが何故かいつの間にか攻撃を受けている。他の二人を見るが私ほどではないが、少なからずダメージを受けているようだった。
(何かがおかしいですね……)
周りを見渡し、相棒の姿を発見し 大声で呼ぶ。
「銀狼ー!!」
【なんだ?優里……って、お前大丈夫なのか?】
(これくらい大丈夫ですよ。それより銀狼、さっきから可笑しいとおもいませんか?)
【可笑しい……?】
(えぇ…….)
銀狼と横並びで走っていると横から何か知らないが気配を感じる。その気配に向かって、短剣を振るとそこから現れたのは消えたはずだった山吹色のISの少女だったーー
「へぇ〜、お姉ちゃんが初めてだよ。この【狐火】を見破ったの」
急ブレーキをかけて、止まるとその少女を睨む。一方の少女は涼しい顔して、ボロボロになった私を見て 嬉しそうな顔をした。その笑顔にイラつきながら、痛む右腕を構いながら左手に持つ短剣を少女に向ける。
「さっきから卑怯な真似ばかり、少しは自分の力で戦ってみてはどうですか?もしかして、卑怯な手を使わないと私に勝てないほどの実力なんですか?それはーー」
「貴女が!!」
「やっと、自分から攻めてきましたね……」
瞬時加速で刀を私に向かって下ろす少女の刀を痛む右手で受けてから、ぐるっと回ってから左手で攻撃する。それを難なく交わす少女。そんな少女にお返しとムカつく笑いを浮かべてやる。チラッと斜め上を見ると-0:19となっていた。
(フ。もうとっくに限界は超えてたんですね……)
「………」
「何?目を瞑って、もしかして何処からでもかかってこいってこと?舐められたものだね〜、わたしそれ程弱くないよ。ねぇ…っ!!お姉ちゃん」
カキーン。鉄と鉄がぶつかる音。
「な……んで。クソっ!!」
カキーン。カキーン
目を瞑り、殺意を感じた所を防御して 素早く反撃を繰り返す。そのやりとりが數十回行われた。ゆっくり目を開くと擦り傷だらけの山吹色のISの少女。その少女に短剣を向ける。
「まだ、やりますか?貴女では私に勝てませんよ」
「……っ。帰りましょう、金狐」
山吹色のISの少女が踵を返して、帰路につくと。私は後ろを振り向く、そこには何も浮かんでいない虚ろな瞳で私を見つめるシャルが居た。
☃☃☃
私はシャルの弾丸を剣で斬りながら、神経を集中していた。そんな私に銀狼が話しかける。
【やめろ、優里!!これ以上、神経を使ったらーー】
(……少し黙ってて、……下さい……っ)
嫌な汗が着物を濡らす。
あと少しでシャルを元に戻せるかもしれないんだ。ここで諦めるわけにはーー
「くっ」
シャルのブレードで不覚にも出来た傷は深く、今までで一番大きなシミを作る。
(あれ……)
二重に重なる風景に眉を顰める。そこに右からもう一発。ゴロゴロと地面を転がる、力が入らない足に力を入れて起き上がる。そこに更にもう一発。また、地面を転がる私。その私を構うように一夏と箒が前に立つ。
「やめろ!シャルル」
「そうだ!目を覚ませよ!シャルル」
「………一夏……。箒……」
シンクロと神経の使い過ぎで重くなる瞼をなんとか上に上げる。
(……シャル……)
無表情で一夏と箒を攻撃して行くシャルを見て、私は起き上がろうと力を込める。
(立……て‼︎俺の……足……)
ブルブル震える足をひこずり、今まさに箒にトドメを刺そうとしているシャルを後ろから抱きしめる。
「はなせ!!僕に触るんじゃない!!」
「離しません!!」
暴れるシャルを此方に向ける、ギュッと抱きしめながら。私は耳元で呟くのだったーー
「シャル。一度しか言わないのでしっかり聞いてて下さいね。私はシャルがーー」
☃☃☃
最初はただ倒さないといけない敵だと思った僕から大切な人を奪う憎らしい敵だと。でも、その引き込まれそうな蒼に僕の何かが揺れた。白色のISの操縦者にキスをしている時には心の奥がチクチクとなった。
でも、僕は知っていたのかもしれない。彼女こそが僕の好きな人だと。
僕に居場所をくれて、親と仲直りさせてくれて、守ってくれて。そして、とても可愛くて。
「ーー好きです」
だって、そんな単純な言葉が涙が出るほど嬉しいんだからーー。
強く抱きしめてくれるぬくもりを僕も抱きしめてながら、耳元で呟く。
「僕も……僕も好きだよ。優里……」
後書き
作者の書いてて楽しかったシーン
第一位〜シャルと優里の絡み
第二位〜寝ぼけている優里
第三位〜【清風明月】
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