SCP-3021(variable) - Outsider(アウトサイダー)

SCP-3021-V(変数) ｰOutsider(アウトサイダー)

Object Class: Euclid

取扱方：
確認され確保されたSCP-3021はすべてSCP-3021-αが管理するサイト█████の二階以上の階にある独房に個別で収容されます。SCP-3021との接触はLevel4以上の職員の許可とSCP-3021-αの許可が必要です。また接触にはSCP-3021-αが立会います。許可なしに独房に侵入した場合、例えクリアランスO5の職員でも、管理者であるSCP-3021-αに攻撃されます。SCP-3021-αに許可を貰う場合、サイト█████の一階にいる事務員に許可証を申請した後、次の朝八時に申請書を取りに来る必要があります。事務室は朝の七時に開放されますので、朝七時から朝八時までに申請することをお勧めします。

病気や老衰などでSCP-3021の死亡が免れない場合、SCP-3021-αが研究員立会いの下、処分します。

SCP-3021-αはサイト█████の管理者として活動し、非常に協力的かつ財団に従順な姿勢のため、Level1以上の職員ならいつでも接触する事ができます。ただしSCP-3021-αが望み、クリアランス05が行う書類審査が通らない限りサイト█████から移動することは禁止されています。

概要：
SCP-3021は通常の人間に発現した異常能力、その原因である地球外来種の概念体です。SCP-3021に形態、質量はなく、視認もできず意識も存在しないと考えられます。SCP-3021は人間に憑依し、その人間の願望を叶えるための適切な能力を授けるとされます。能力は様々で、植物の成長を活性化させる能力や、老化を停止するもの、高度の再生能力を保持するものなど、多岐に渡ります。特徴として、そのどの能力も憑依先が所有する願望と密接な関係があります。SCP-3021がもたらす能力はあくまで手段であり、能力そのものが目的達成になるケースは確認されませんでした。能力を発現した人間はその願望にそぐわない限り、能力の存在を秘密にし、自身の願望を実現させようと積極的に活動します。能力が発現する前まで非活動的だった者も同様に活動的になった事から、SCP-3021には憑依先を選別している可能性があります。

SCP-3021は憑依先の人間が死亡した場合、通常憑依先から離脱し新たな憑依先を探します。20██年██月██日に死亡が確認されたSCP-3021-βが20██年█月█日に発見された酷似した能力のSCP-3021-βの証言によりこの仮説は立証されました。例外としてSCP-3021はSCP-3021の別個体の能力によって憑依先を殺害された場合、死亡します。

またSCP-3021にはナンバリングをする際に、いかなるナンバーも強制的に3021に変換する効果を持っています。この為、発見の時期に関わらず、強制的にSCP-3021のナンバリングになり、個体の割り振りにアルファベットを使用します。この数字はSCP-3021-αの証言によると活動、活動予定のSCP-3021の総数とされます。現在、財団が確認したSCP-3021は12体です。SCP-3021-αが始末したと証言する数は█████体です。

SCP-3021-αはSCP-3021と憑依先の人間の一組です。オブジェクトクラスはSafeです。記録の時点で憑依先の人間は身長1.87m、体重66kgの若々しい38歳のアメリカ生まれの白人男性でした。彼は黒色の髪に黒い瞳をしており、常に堂々とした態度をしています。名前はハロルド=イーグルで、アメリカ東部の都市にある裕福な家庭に一人息子として住んでいたことが分かっておりアメリカ国籍とビザも持っています。SCP-3021の能力を除いても非常に知的・好奇心旺盛・優秀で社会的な人材です。彼は筋肉質な体型でないにも関わらず、力持ちで機敏な動きができます。エージェント████████が両手を使った腕相撲に彼は片手で勝ちました。それ以上の調査を、交流以上の目的には披露したくないとして、許可しませんでした。しかしその筋力は人間の範疇以上であることは間違いないありません。
ハロルドは自身の能力をSCP-3021の能力を無効化する能力と主張しています。事実、サイト█████に収容されたSCP-3021は、すべてその能力を発現する実験に失敗しています。ハロルドはSCP-3021についておおよそ[削除済]年間、調査を続けてきたと主張しました。私が[削除済]年間生きていたのかを質問すると彼は、調査してきたのは私だけではなく私の前の代やその前の代からだ、と発言しました。また、代々の知識を継承し蓄積していると続けました。この能力はSCP-3021すべての効果ではなく、SCP-3021-αの個性だと考えられます。

ハロルドはSCP-3021の研究に大いに貢献し、現在、成果の報酬としてSCP-3021の研究に研究員として携わっています。しかしハロルドは非常にSCP-3021の存在に憎悪を抱いており、SCP-3021の完全消滅を望んでいます。そのため研究に不要となったSCP-3021はSCP-3021-αの手によって殺害されます。この事に関してはハロルドは絶対に説得に応じません。妥協案として研究者の立会いを認めましたが、二日以上、立会いの研究者がサイト████に来訪しないと無断でSCP-3021の処分を決行します。

補遺3021-01：対話記録██/██/19██
以下はSCP-3021の研究の担当をしている█████博士と、SCP-3021-αとの会話ログです。

質問者：█████博士
█████博士：これよりインタビューを行います。SCP-3021-α。
SCP-3021-α：構わないよ。しかしその呼び方は呼び辛そうだね。█████。
█████博士：これも仕事なんでね。じゃあまず、君の名前を教えてくれ。
SCP-3021-α：生まれたときから父さんに貰った名前は、ハロルドだね。性はイーグル。こっちに来てからSCP-3021-αっていう名前も貰ったかな。
█████博士：君は何処から来たのか教えてくれ。
SCP-3021-α：前に働いていた██████████大学から。この組織の名前を知って必死こいて探したんだ。結構大変だったよ。
█████博士：██████████大学には何年勤務していたんだい？
SCP-3021-α：あれ？　いや記憶が混同してるな。ハロルドだから、█████に勤めていたな。██████████大学は先代だ。
█████博士：先代とは？
SCP-3021-α：私の一つ前にこの能力を持って、同じくSCP-3021の根絶を目指した人だよ。
█████博士：先代の記憶を保持しているのか？
SCP-3021-α：SCP-3021に関することならすべて。先代までじゃなくて代々全部。さっきの記憶はなんかの知識に引っ付いてきたんだろう。
█████博士：初代は何代前？
SCP-3021-α：[削除済]
█████博士：（長い沈黙）SCP-3021は最近確認されたSCPだ。[削除済]から居る訳が無い。
SCP-3021-α：SCP-3021自体はもっと昔からいたと思うぞ？　まぁ言うなら[削除済]が[削除済]した時から発現するんだろうから[削除済]に居ても不思議ではない。
█████博士：では、SCP-3021の正体は？
SCP-3021-α：宇宙の外の、概念体。意識はないけど、望みはある。（沈黙）
█████博士：続けてくれ。
SCP-3021-α：[削除済]
█████博士：（長い思考のあと）残念だが、それを証明することは出来ない以上、信じることは不可能だ。
SCP-3021-α：信じてくれなくてもいい。協力さえしてくれれば。
█████博士：では、次の質問だ。君の能力と発現の原因となったであろう願望について紹介してくれ。
SCP-3021-α：ええと、SCP-3021の持つ能力を無効化できる。あとSCP-3021についての知識を受け継げる、って感じ。願望は、そうだな、人間の理想郷を作るってことかな。
█████博士：理想郷とは？
SCP-3021-α：地球上の正常な生命が正常に生きて正常に死ぬ世界。例外が、部外者(outsider)がいない世界。
█████博士：実現しそうかい？
SCP-3021-α：あと3025体も始末しなきゃいけない。あと何世代必要か……。少なくともハロルドとしては三桁は仕留めておきたい。いや、もしクリアしても新たな課題ができた以上どうやっても三十世代じゃ無理か。███を処理するにはおそらくは████世代必要で――（この後永延と聞きとれないブツブツ声）
█████博士：（SCP-3021-αのブツブツ声を背景に）インタビューを終了します。
[█████博士はSCP-3021-αの特性に人類愛が含まれていると仮説します。この仮定は愛玩動物である猫や犬よりも、老若男女、経歴に問わず人間のほうにより強い興味と親切心を抱いたことから導き出されました。しかし人型のSCPや生物ではない知的な存在に対し嫌悪感を示しました。この仮説は立証できませんでした]
[SCP-3021-α(ハロルド博士)にセキュリティクリアランス2以上の情報を与えることは許可されていません］

補遺3021-02：対話記録██/██/19██
以下はブライト博士と、SCP-3021-αとの会話ログです。

質問者：ブライト博士
ブライト博士：はじめまして。ハロルド。
SCP-3021-α：（SCP-963を凝視しながら不機嫌そうな顔をして沈黙）
ブライト博士：どうかした？
SCP-3021-α：私は貴様が嫌いだ。
[SCP-3021-αは、SCPもしくはブライト博士のどちらかに嫌悪感を示していることが立証されました]

補遺3021-03：SCP-3021-β
SCP-3021-βはSCP-3021-αの後に発見されたSCP-3021の一組です。イギリスの█████で生まれ生活していた白人男性です。20██年██月█日、各国で似た特徴の人物が駅付近で消失、出現したという目撃情報が多数挙がりました。捕獲のために目撃情報の挙がった42の駅前に現地のエージェントを配置し監視させたところ、監視から二日後、エジプトに出現。捕獲後、SCP-3021-αの収容しているサイト█████に移送されました。

補遺3021-04：対話記録██/██/20██
以下は█████博士と収容されているSCP-3021-βとの会話ログです。

質問者：█████博士
█████博士：こんにちは、SCP-3021-β。
SCP-3021-β：やあ、博士。
█████博士：これからいくつかの質問をするが構わないかな？
SCP-3021-β：出来ればやめて欲しいな。(同伴しているSCP-3021-αを見る)いや、いや、冗談だ。ちゃんと答えるよ。
█████博士：じゃあ、まず君の名前を教えてほしい。
SCP-3021-β：アレックス=フィッシャーマン。
█████博士：出身は？
SCP-3021-β：イギリスの█████。
█████博士：君の特異な能力と、その原因となる願望を紹介してほしい。
SCP-3021-β：能力は長距離ワープ。願望は世界旅行かな。
█████博士：詳しく説明してほしい。
SCP-3021-β：好きな街の駅や空港に飛べる。旅費が浮くから便利なんだよな。
█████博士：では何故、君は私達が捕獲した際にその能力を用いて逃げなかったんだ？
SCP-3021-β：(狼狽した声で)でもこの能力は旅行用だぞ？　言われてみれば、出来るかもしれないけど。
SCP-3021-α：では、捕まることに抵抗がなかったと？
SCP-3021-β：そんなわけないだろ。出来るならさっさと帰りたいよ。
█████博士：君の言っていることには矛盾があるようだが。
SCP-3021-β：矛盾があるのはそっちだろ。君たちの言っていることはキャリーバックを鈍器にしているようなもんだぞ。まさか博士がそんな非常識な人間だったとはな。
█████博士：旅行以外で使ったことは無いと？
SCP-3021-β：ああ。
█████博士：気分を害したのならすまない。質問を続けよう。いつ頃その力を手に入れたのかを教えてほしい。
SCP-3021-β：20██年辺り。旅行回数は、覚えてないな。小旅行程度なら週二ぐらいで行ってたけど。外食にも使ってたからなぁ。一番美味しいのはやっぱ中華だな。█████は無理だったけど。
█████博士：自分の能力についてどの程度知っているか教えてほしい。
SCP-3021-β：遠くに跳べる。場所は駅がいい。自宅も可。今はできない。
█████博士：もっと詳しく。
SCP-3021-β：それだけだけど？
SCP-3021-α：博士。言っただろ？　知識があるのは私だけだと。
█████博士：では。インタビューを終了します。
[SCP-3021は願望以外にその能力を使うことに躊躇する傾向にあるようです。また通常のSCP-3021は能力について詳しいルーツは知りませんでした]