異世界系暗殺者
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球技大会の時間・1時間目(2016/03/30 一部修正)
前書き
今回はイッキ限定で野球漫画ネタ祭りが少しだけ開催されております。
やったね、不破さん!(笑)
【視点:樹】
触手系転校生暗殺者・堀部イトナとその保護者を名乗る狂科学者(仮)・ポチが姿をくらまして数日。漸く鬱陶しい梅雨が明けた。
とは言え、椚ヶ丘中学校の衣替えは7月からということもあって、服装的には春仕様で暑苦しいことには変わりが無かったりする。それに最近は地球温暖化の影響もあって、暑苦しさに拍車が掛かっている。
その上、椚ヶ丘中学校では梅雨明けのこの時期に球技大会なんてものをする。暑苦しさが倍ドン倍、更に倍だ。全く以って鬱陶しい。
いや、暑苦しさだけでなく鬱陶しさも倍ドン倍だ。何故ならE組は男子が野球部と、女子が女バスとエキシビションマッチという名の見世物にさせられるからだ。本当、鬱陶しいことこの上ない。
現代社会でここまで差別主義を徹底する意味が俺には理解できん。正直、本校舎の奴ら、教員も含めて全員が前時代にタイムスリップでもしてろよ、と思う。
……まぁ、一部を除いたクラスのほぼ全員が、本校舎の奴らのテンションを下げてやろうぜ的な意味でやる気になってるから、別にいいんだけどな。
特に殺センセーのやる気は半端無い。本人曰く、スポ魂モノの熱血コーチをやってみたかったらしく、自作の野球ユニフォームを着て準備万端だ。
1週間後にある球技大会に向けて、杉野以外野球経験皆無の男子組をとことん鍛えるつもりの様だ。そういえば、野球部の方はエキシビション中も女子マネが一緒にいるとか、いないとかって話を聞いた様な……。俺らはどうなるんだろう?
「殺センセー」
「何ですか?イッキ君」
「野球部はエキシビション中も女子マネが一緒って噂を耳にしたんだけど、俺らはどうなの?女子が1人いるのといないのとじゃ、やっぱ男子の士気も変わってくると思うんだけど」
「確かに、男とは女性の見ている前で普段以上の力を出そうとする単純な生き物です。女子側の戦力が1人掛けるのは痛いですが、何とか女子マネ担当を確保したい所ですね」
「じゃあ、女子の方は1人欠けても問題ない様に士気を上げてみるってのはどうよ?そうすれば、1人は女子マネ担当を確保できるだろ?」
「にゅやッ?どのようにして女子側の士気を上げるつもりですか?イッキ君」
「……E組女子一同に告げる!今回の球技大会で功績を上げた奴には、上限額100万までのものなら俺が何でも買ってやる!!
また試合に直接参戦する女子諸君、この球技大会に勝てば駅前の高級ブランドケーキ店を1日梯子できる権利をやる!!故に女子一同、負けに給うな!!
また、俺達を嘗めきっている本校舎の連中の鼻っ柱を圧し砕き、胸を張ってこのE組に帰って来るんだー!!!」
「「「「「「「「「「おおぉぉぉ!!」」」」」」」」」」
俺の迷演説により、殆どの女子の目に火が点いた。特に茅野の食付きっぷりが半端無い。目がケーキに代わってる。いや、似た様な存在としては倉橋もいるけど。彼女の場合、目に犬と猫の文字が浮かんでいる様に見える。
ちなみに、俺の迷演説で火が点いていない女子もいる。俺の彼女である有希子と真面目代表の片岡、寺坂グループの挟間だ。あれ?意外と少ない?
………まぁ、いいか。これで女子組の士気向上には成功した訳だし。片岡は女子組のリーダー的存在だから引き抜けないし、挟間も寺坂グループだから無理だろう。消去法で有希子に女子マネを頼むことになるな。
「取り敢えず、女子組の士気向上には成功した。あとの指揮は片岡、頑張ってくれ」
「えっ!?私任せなの!?」
「いや、だって女子側のリーダーポジって片岡っぽいし、俺より女子組それぞれ個性を理解してるだろ?」
「それはそうだけど。っていうか、あんな約束して大丈夫なの?」
「昨日の時点で俺の総資産は殺センセーの賞金100億を超えたから、ケーキの梯子で100万持って行かれても痛くも痒くもない。それに最低額200万最高額でも300万未満程度の額でE組ほぼ全員の士気を向上できるなら安いもんだ。
あっ、ちなみに有希子をこっちの女子マネとして引き抜かせて貰うから、その点は宜しく」
「え?私?」
「ああ。有希子が女子マネになってくれたら、俺も超やる気が出るし。他の男子も声援を送られたら、テンションあがると思うんだ。な?」
俺が男子一同に対して気軽に尋ねると、前原が代表して口を開いた。
「まぁ、神崎に応援されたら負ける訳にはいかないって気持ちにはなるな」
「っていうか、神崎さんだけに限らず、クラスの女子に応援されて見られてる前では負けられないよ」
「そんな訳だから、男子一同の士気向上の為にも一役頼む。このお礼は後日ちゃんとするから」
「……うん、わかった。殺センセー。私、野球側のマネージャーをします」
こんな感じでE組の士気向上と一部の役割が決定した。そして、俺達は男女に別れ、練習を始めた訳なんだが―――
「殺投手は300kmの球を投げ――」
男子側では、普通の打球や捕球練習かと思ったら、殺センセーがマッハ20の速度を活かした――
「殺内野手は分身で鉄壁の守備を敷き―――」
分身を使った殺センセー1人vsE組男子全員の超次元マッハ野球が始まった。
「殺捕手はささやき戦術で打者の集中を乱す!……裏山で神崎さんとキス未遂。青春してますね、イッキ君」
ってか、殺センセー!プライバシーって言葉知ってる!?あと、そのこと有希子に言ったりしたら、顔を赤くされながら銃を乱射される可能性があるからな!!
………と、こんな感じで男子ほぼ全員がある程度慣れるまでマッハ野球は続いた。で、慣れて一息入れた後は殺センセーが野球部投手と同じ球種と速度で球を投げ、それをバントで転がす練習が始まった訳なんだが、俺1人だけ別の練習メニューに突入した。
「イッキ君。君にはバントではなく別の練習メニューをこなして貰います。それはこれです!!」
「……竹?」
「はい。竹です。この竹を笹が全て落ちるまで振って貰います。君は見た目に反してかなりの怪力でもある。竹を持ち上げて振るなんてことは造作でもないでしょ」
いや、確かに造作でもないけど、この練習法って確か―――
「先生。何で俺にジャンプ掲載漫画の打法を会得させようとしてんの?」
「にゅやッ!?まさか、イッキ君がミスフルをご存じだとは……」
「不破から借りたことがある。まぁ、面白そうだからやってもいいけどな。けど、想像通りの結果が出せなくてもガッカリすんなよ?」
と、こんな感じで俺だけ剛の秘打法・破竹を会得する訓練が初日から始まった。ってか、球技大会開催までの1週間。俺だけミスフル地獄だった。破竹を覚えたかと思えば、次は静の秘打法・空蝉。
他にはリズム打法だとか、振り子打法だとか。俺、別にプロ野球選手を目指してる訳じゃないんだけど?あと、野球部相手とはいえ、中学生相手にここまでさせるか、普通?
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