異世界系暗殺者
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仕返しの時間(2016/05/16 一部修正)
前書き
(注)
今話はイッキ&神崎さん、もう結婚しろ表現や末永く爆ぜろ表現、杉野君燃え尽き表現が含まれます。その点をご了承ください。
【視点:樹】
今更ながら、俺はE組にかなり馴染んだみたいだ。以前――前の世界にいた頃の俺ならクラスメイトとはいえ、他人の仕返しの為に動くなんてことは無かっただろう。
前は世界――というか、社会そのものに嫌気が差して引き籠ってたくらいだからな。自分のことながら、驚くべき変化だと思う。まぁ、それだけ俺自身が気付かない内にクラスメイトとの遣り取りも含めてE組での生活に満足してるってことなんだろう。
そう考えると、未だに女子を敬称付きで呼んでいるのは堅苦しく思えて来るな。元々、俺は人の名前を敬称付けて呼ぶタイプでもないし。
いっそのこと、明日からでも女子を男子みたいに名字で呼び捨てにしてみるか?一部呼び捨てにし難い女子もいるけど。奥田さんとか。取り敢えず、今日の所は心の内でのみ呼び捨てにしておこう。
………まぁ、何はともあれ今は陽斗の仕返し作戦に意識を集中しよう。あっ!ちなみに俺達は、陽斗に屈辱を味合わせた二股開き直り糞ビッチとその彼氏である生徒会役員の行先に先回りしてたりする。
「ってか陽斗、よくあの2人が行く場所を知ってたな。本当に来たぞ」
「果穂が今日はあのオープンカフェに行こうって言ってたからな。1度行ったことあるから、場所は知ってたんだよ。ってか、イッキの方こそよくそんなもん持ってたな」
「あ、この盗聴器か?今日、殺センセーの弱み握る為に職員室に仕掛けたんだけど、下校前に返却されたんだよ。超小型だからバレない自信があったんだけどな」
「ああ。殺センセー、無駄に鼻いいもんな。んじゃ、もう1つ質問」
「ん?」
「何であいつらがオープンカフェの外の席に座ると思ったんだ?」
「生徒会役員の性格を考えると、安全地帯から間近で悪環境を見て優越感に浸ると思ったんだよ。それにあの手の奴らは行動が単純だから、動きも読み易い」
盗聴器の受信機から聞こえてくる標的の会話に耳を傾けながら、俺は陽斗の質問に答えた。
「それにしてもこの向かいの民家、よく俺達を上げてくれたな。集まった面子だけで11人もいるのに」
「ああ、家主は矢田と倉橋がメインに、神崎も一緒になって抑えてくれてる」
「3人とも可愛い上、女子は全員がビッチ先生から接待テクを教わってるからな。俺が家主の立場でも堕ちる自信あるわ」
「………………」
「何だよ?そんな驚いた顔して?」
「いや、イッキが神崎達に接待されたら堕ちるとか、そんなこと言うとも思わなかったから」
「陽斗。お前、俺のこと何だと思ってる訳?俺だって男だ。可愛い子にチヤホヤされたら悪い気はしねぇ。って、そんな話をしてる場合じゃねぇ。撹乱担当が標的と接触したみたいだな。友人、目視確認はできてるな?」
「………おう」
「おい、今の間は何だ?」
「………渚と茅野、全くバレてねぇ。すげーな。やっぱ、菅谷を呼んで正解だった」
「パーティー用の変装マスクも俺が改造すりゃ、あの通りよ」
「おい、俺を無視すんな」
友人が明らかに俺の質問を無視し、菅谷は俺と友人の遣り取りに巻き込まれたくないといった感じだ。ってか、最近の友人は俺を敵視している感じがする。何でだ?
「まぁまぁ、イッキ君も落ち着きなさい。それにしても、ヌルフフフ。首尾は上々、ですね。それでは皆さん、作戦を開始しましょう。イッキ君、磯貝君、前原君、岡野さんは例のポイントに移動して置いて下さい」
「了解。イッキ、前原、岡野。俺達は移動しよう」
「………釈然としねぇけど、分かった」
俺は悠馬の指示に従いレインコートを着ると、悠馬達と一緒にこの民家から移動することにした。この時―――
「イッキ君」
「神崎」
「いってらっしゃい」
「おう」
といった遣り取りを玄関で行ったが、恋人とか夫婦っぽいってツッコミは無しの方向で頼む。この遣り取りを見ていた悠馬達は苦笑したり、ニヤニヤしていたが、俺は気にしないことにした。
ちなみに俺達4人だけが移動するのは作戦の内だったりする。作戦内容は以下な感じだ。
まず、撹乱担当の茅野が店のトイレを占拠。そして、渚が標的の気を引きつけ、その間にクラスの射撃担当である龍之介と速水が科学担当の奥田さんの作ったBB弾型の超強力下剤を標的の珈琲に発射。
腹を壊して、店から100m先にあるコンビニに向かおうとする標的に対して、進行方向途中で待ち伏せしている俺達が民家の枝を切り落として更に妨害、といったものだ。
枝を切り落とす木がある民家には、ボランティア活動の一環と説明し、道路側に飛び出している枝を切らせて貰えることになっている。
と、そんな説明をしている間に標的がやって来た。腹を押さえながら走っている姿は超無様だ。
「来た来た。ドンピシャだ」
「あいつら、無駄にプライド高そうだから、近くの民家でトイレを借りるって発想が無いんだな。ってか、コンビニのトイレが使用中だったらどうするんだ?」
「それすら考えてないんじゃない?」
「取り敢えず、奴らの無駄に高いプライドをサクッと殺りますか」
陽斗がそう言うと同時に、悠馬達はナイフで太い枝をスパッと切り、俺は轟の試験型玉璽のホイールの回転と蹴りの勢いを利用して枝を切った。
俺達の切った枝は見事に標的の頭上に直撃。標的はずぶ濡れの毛虫まみれになった。ついでだ―――
「無限の空――無限の轍……」
「「ぐげぇ」」
かなり弱めで放った風の壁をぶつけてやると、標的はカエルの様な声を上げた。無様の二乗倍だ。(笑)
「南君。今、何したの?」
「ん?ちょい弱めの風の壁をぶつけただけだ。これで体が圧迫されて、腹が更にヤバくなったんじゃね?ほら、状況把握することなく、傘も置いて走って行ってるし」
「……南君、いい性格してるね」
「褒め言葉として受け取っとく」
そしてこの後、陽斗は作戦に参加した面子に礼を言うと、他校の女子と飯を食いに行くとか言って消えて行った。この時は流石の神崎を含めた全員が殺センセーの様に目が点になった。
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