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ユキアンのネタ倉庫 ハイスクールD×D

作者:ユキアン
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赤龍帝な日々 2




駐屯している街で、宿舎として使っている建物の屋根の上でタバコを咥えているオレの元にセラフォルーがやってきた。

「あっ、こんなところに居たんだ」

「うん?ああ、セラフォルーか。どうした?」

「......見つかったよ、7枚羽の天使。いいえ、正確には堕天使が」

「どういうことだ?街を焼いて堕天しやがったのか」

「ううん、特別な術式で翼を染めてたみたい。それと堕天使として行動するときは義手みたいな翼を付けてたみたい。アザゼルちゃんがそれに気づいてこっちに情報を流してくれたの」

「堕天使の総督だったな。ちょっと性格があれな」

「そうそう。だけど、本気で怒ってたよ。研究施設から押収した資料に色々と非合法なこととかやってたから。それからドライグが住んでた街を焼いた理由も分かったよ」

「ほう、それで?」

「……敵側の非戦闘員を殺して戦争を激化、泥沼化させることで自分の研究を推し進めるため。それから」

そこでセラフォルーは言い淀む。この件で言い淀むとなると

「オレを狙ってやがったか」

「……うん」

「そうか」

咥えていたタバコに火をつけて一服してから線香のように立てて黙祷を捧げる。

「これも宿命なのだろうな」

ドラゴンは争いを呼び込む。それがよく分かる。オレに平穏は似合わないのだろうな。完全に能力と特性を捨てればと、無駄なことを考える。

フィルターまで燃えたところで揉みつぶして携帯灰皿に吸いがらを入れる。

「それで、そいつは今どこに居やがる?」

「アザゼルちゃん達を振り切って東の方に、つまりはこっちの方に来てるみたい。追撃にバラキエルを出したみたい。天使の方でも数少ないけど追撃を出すって」

大体の方向の気配を調べる。特におかしな気配は感じないが

「無策、というわけではないだろうな。何かをされる前に殴り込んだ方がよさそうだな」

「行っちゃうの?」

「ああ、世話になったな。7枚羽を殺れば、オレは消える。人間界の方で今までみたいに適当に暮らしながら旅をする。会うことはもうないだろう」

「そっかぁ、寂しくなるね」

そう言いながらセラフォルーが後ろから抱きついてくる。

「あのね、私はものすごく強いドラゴンなのに気さくで子供達と一緒に遊んだり、階級にこだわらずに気の合う人たちと馬鹿騒ぎしたり、実は女の人を扱うのが苦手な癖に上手だったり。そんなドライグを愛してます」

「すまんな。オレはそれに応えてやれない。今回のことでよくわかった。ドラゴンがもたらすのは破壊だけだ。どんなにオレ自身が平穏を望んでも安らぎはこないようだ」

自らの特性で力を封印し、生きるために最低限の力しか持たず、破壊にしか使えないと思っていた能力を成長や回復に使えるようにし、周りと同じ姿を得て、結局はオレが原因でオレの居場所を失った。

「そう言うと思った。だから今日だけで良いの。今日だけはあなたの時間を頂戴。それで諦めるから。お願い」

「……ああ、良いだろう。今日だけはお前を愛そう、セラ。これがオレの、ドライグとしての最後だ。その後は、赤龍帝として破壊の限りを尽くして冥界を去ろう」

「ありがとう、ドライグ」










「ようやく会えたな。七枚羽」

「ふん、余裕そうだな赤龍帝」

「無論だ。何か罠を仕掛けているようだが、関係ない。全てを力と意志でねじ伏せる。貴様はオレの逆鱗に触れたのだ!!ただで死ねると思うなよ!!」

「それはこいつを相手にしても言えるかな?」

足元の魔法陣が輝き出し、白い龍が現れる。

「あん?なんだこいつは?」

「貴様、忘れたのか!?」

「ええっと、あっちゃんだっけ?」

「ふ、ふざけるのも良い加減にしろーー!!」

白い龍がブレスを放ち、周囲が吹き飛ぶ。この威力と魔力は、微妙に覚えがあるな。そう、赤龍帝と呼ばれだした頃に、ああ、思い出した。

「他力本願龍か」

その言葉に白い龍はさらに怒りをあらわにするが、事実を言ったまでだ。それに対策はすでにできている以上、怖くもなんともない。

「とりあえず、邪魔だから吹っ飛べ」

倍化に加えて、新たに覚醒させた透過の力を使って、他力本願龍の半減の力を無視して殴り飛ばす。

「なっ!?」

遥か彼方に飛んでいく他力本願龍を見て七枚羽が驚いている。

「で、これだけか?」

「ば、バカな。こんなあっさり、二天龍同士の争いが決着するなど」

「奴とは一回だけやりあったが、あの時はこっちの魔力を半減して吸収しやがるから千日手になっただけだ。対策がある現状、負ける気がせんな。それで、もう終わりか?他の手があるなら早くしろ、ハリーハリーハリーハリーハリー!!」

「くっ、こいつならどうだ!!」

オレを囲むように大量の魔法陣が展開して、そこから光線が放たれる。

「龍殺しの術式を織り込んだ光線だ。食らえばただではすまんぞ!!」

「当たらなければどうということはない」

龍の姿から人の姿に変化し、すり抜ける。それを見て七枚羽が驚いている。

「なんだ?オレが人の姿になれることを知らなかったのか?この程度のことも調べられなかったとは。もう良い、ここからはずっとオレのターンだ」

とりあえずは他力本願龍と一緒に葬るために同じ所まで飛ばすか。貫通力は抵抗を倍加させて衝撃は普通に倍加させてっと

「吹っ飛べ!!」

適当に殴り飛ばすのと同時に龍の姿に戻って追いかける。七枚羽が途中で落ちそうになれば翼で打って再び距離を伸ばす。そして他力本願龍の口に向かってシュート、超エキサイティング!!何かのCMだったフレーズを唐突に思い出した。そうだな、人間界に行ったら時代に合わせて娯楽を増やそう。今から楽しみになってきたな。

「ふはははは、オレに敵対したことを後悔するがいい!!」

殴れば簡単に割れるぐらいの極少量の魔力で全身を覆い、他力本願龍を殴り飛ばす。

「なぜだ!?なぜ吸収できない!?」

「対策済みだと言っただろう。このままサンドバックだ!!」

接触するたびに全身を覆う魔力を張り替えて七枚羽が他力本願龍の中から出てこれないように殴り飛ばす。念のために龍の姿でも格闘戦ができるように練習しといてよかった。噛みつきとかの長時間接触しないといけないタイプはこいつにやると逆効果にしかならないからな。一気に喰いちぎれば違うんだが。

「お前が、泣いて、謝っても、殴るのを、止めない!!」

虫の息になるまで殴り続けた所で他力本願龍の姿が消える。おかしな光力も感じたので龍の姿に戻って警戒する。しばらく待っていると聖書の神が機械らしき翼を備えて現れる。その周りには護衛らしき上級天使が控えている。その中にはミカエルたちまでいる。かなり怪しい。

「何の用だ。何もないのなら立ち去れ」

「こちらの方から巨大な力を感じたものですから。どうやら目的を逃したようですね」

「ああ、誰かの介入があったからな。今のオレは機嫌が悪い。とっとと消えろ」

「いえいえ、そういう訳にはいかないのですよ。貴方に伝えたいことがありますので。周りに聞かれると少し面倒ですのでそちらに寄っても?」

何かを仕掛けてくる。長年の勘からそれがわかる。あの機械の翼が仕掛けだ。そこまではわかる。ならばどうする。罠は正面から食い破るのが一番楽だ。

「良いだろう、こっちに来い」

「ええ」

俺が許可を出すと聖書の神はオレの耳あたりにまでやってきて、オレに触れると同時に仕掛けがわかった。奴の機械の翼に他力本願龍が封じられている。その能力でオレの力を半減して弱った所を他力本願龍のように何かに封印する気だ。すでに半減と封印のマーキングが終わってしまった以上、オレに出来る対抗手段はこれだけだ。マーキングされてしまった龍の体とオレの特性以外を強化して人間の体のアバターを作り出してそちらに移る。同時にオレの龍の体と特性が赤い籠手に封印され、それを奪い取って、全力で聖書の神を魔力砲で冥界の地形ごと消滅させる。

「ちっ、聖書の神め。欲を出さねばこれ以上手を出すつもりはなかったのだがな。覚悟はいいな、天使共?貴様らはまたオレを怒らせた!!」

人間の体になったためにかなり弱体化してしまったが、この場にいる天使共を滅ぼすぐらいなら問題ない。特性の方は、制限を設けられている?面倒なことをしやがって。強引に力を流し込めば問題ないだろう。ここをこうして、こうだ!!

「むっ、籠手が鎧に変わったのか。ふむ、まあ制限が解けたなら構わないか」

制限が解けたことで内部出力が外部出力に変わったことで発生する僅かなタイムラグを除けば、ほぼ変わらない能力を取り戻せた。むしろ防御力は上がったか?いや、叩いてみてわかったが龍の鱗と同じ材質でできた鎧のようだ。むしろ本来の姿に戻れない以上は広域殲滅力がダウンで弱体化としか言えないな。さて、考え事は後にしてっと蹂躙するか。










「聖書の神は居なくなり熾天使の半分が重体、堕天使の幹部もそこそこ討たれ、悪魔は四大魔王のルシファーが欠けた。あのままやり続ければ天使が一番不利だったのをオレが強引に話をまとめたおかげで表面的には三者共平等の休戦を認めさせた。お前との契約通りだ、ガブリエル」

「……はい」

「代価としてお前は自分の全てを差し出した。間違いないな?」

「はい」

「では、荷物をまとめてこれに着替えてこい」

「えっ?これは」

オレが渡したのは今の人間界の西洋圏の文化レベルの旅装だ。

「とりあえずは人間界で一番でかい大陸の西から数年おきに東へ東へ住処を変えていく。気に入った場所があれば10年程度は滞在することもあるだろう」

「ちょっと待ってください。一体何を言っているのですか?」

「あん?何って、これからの予定だが。それがどうかしたのか?」

「いえ、そういうことではなく、私を、その、だ、抱かないのですか?」

最後の方はほとんど聞こえないぐらい小さな声だったが、生憎なことに特性の込められた籠手は出しっぱなしになっているので聴力を倍加させれば普通に聞こえる。

「抱かねえよ。元々性欲は薄いし、同意の上でというのがオレのポリシーだ。なにより、そんなことが目的でお前を傍に置くと決めたわけではない。ほとんどの天使にとって一番恐れる堕天を覚悟してまで、他の天使共を助けようとしたその覚悟を買ったからだ。だから、面倒だがああいう風にわざわざ出張ってまで休戦に持ち込んでやったんだよ。まあその分は」

「やっほ〜、準備できたよーー、って、ああ!?なんでここにガブリエルちゃんがいるのよ!!」

ノックもせずに笑顔で部屋に突撃してきて、ガブリエルを見るなり怒り出すセラに説明する。

「落ち着け、セラ。ガブリエルは今回の停戦のためにオレに全てを捧げるという契約を交わしている」

「つまりは欲望に身を任せてガブリエルちゃんにあんなことやこんなことを......するわけないっか。それで、どうするの?」

「一緒に連れて行くさ。実験も兼ねるから二人にはオレを守ってもらわないと困るからな」

「本当に力を封印しちゃうの?そんなことをしたら簡単に死んじゃうかもしれないよ?」

「だから守ってくれと言っているんだ。力を封印すれば、龍の宿命から逃れられるかもしれないからな。それを調べなければならない。もし宿命から逃れられたら、ゆっくりと暮らしたいものだ」

そんな時が来たら、オレの子を産んでほしいと言おう。そう誓い、三人で人間界へと移る。


 
 

 
後書き
なんか変な方向に流れたけど気にしない。 
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