ドリトル先生と二本尻尾の猫
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第十幕その十
その女の子を見てです、先生は皆に言いました。
「成程ね」
「成程?」
「成程っていうと」
「うん、あの娘かなりお洒落しているね」
上は赤いセーターの下はピンクのブラウスです、下は黒のすらりとしたズボンにお洒落な靴です。服のデザインはかなり整っています。
男の子もお洒落をしていますがです。
それ以上にです、女の子のお洒落はかなりのものです。それで。
先生は皆にです、こう言ったのでした。
「あの娘本気だね」
「本気でなんだ」
「このデートに挑んでるんだ」
「そうなんだね」
「それは男の子もだけれど」
それでもというのです。
「あの娘はもうこのデートでね」
「このデートで」
「っていうと」
「うん、あの娘の方からね」
こう察しているのでした、先生は。
「言うつもりかもね」
「それがわかるんだ」
「先生は」
「そうなんだ」
「はっきりと」
「はっきりとじゃないけれど」
それでもというのです。
「あの娘はそう考えてるね」
「ううん、そうなんだ」
「女の子の方から告白するんだ」
「少なくともあの娘はそのつもりなのね」
「自分の方から」
「サラに言われたんだ」
先生の妹さんのその人にというのです。
「女の子がお洒落をする時は勝負の時だって」
「自分から勝負を仕掛ける」
「まさにその時なの」
「まさに」
「そうなんだ」
「そうした時なんだね」
「そう言われたんだ、女の子も自分から言う時があるって」
先生がここでお話するのはこのことでした。
「積極的にね」
「そういえばサラさん自分からお嫁に行くって行って出て行ったからね」
「それで実際に結婚したしね」
「それで家庭を持ってね」
「今もご主人を引っ張ってるし」
「そういうの見たらね」
「実際にそうなんだね」
動物達もサラのことを思い出して納得するのでした。
「そういえばそうだね」
「あの人気が強いしね」
「自分から言うこと多いし」
「女の人から言うこともね」
「あるんだね」
「日本の女の子もね」
先生はこうも言うのでした。
「あまり積極的な娘がいないみたいだけれど」
「イギリスと比べたら」
「そうなんだね」
「うん、けれどね」
それでもというのです。
「言う時、言う人はね」
「ちゃんとなんだ」
「言うんだ」
「それでなんだ」
「願いを適えるんだね」
「あの娘もそうみたいだね」
先生は妹さんの言葉を思い出しつつ皆にお話します。
「どうやらね」
「大人しいと思ったら」
「そうなんだ」
「意外と積極的」
「そうなんだね」
「いや、大人しいとは思うよ」
あの女の子の本質はです。
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