千年の魂.
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第二シーズン〜時空大冒険〜
第六章 【Douglas of the attack】
第十七話《進撃のダグラス》
前書き
千魂TIME!!!
母親橢颶薇鶵・・・ダグラスが現れる以前、樵として平和に暮らしていたダグラスのコックローチフライダーに対する憎しみの結晶を核として作られた最初のダグラス。
スラグダ区の地下で天井に向かって根のような触手をはわせ、ダグラスを生み出す根源となっていた。
「「うらあぁぁぁぁぁぁぁああ!!!!!!」」
迅とカインは、再び母親橢颶薇鶵に向かって剣を突き出しながら突撃する。
それを見て、貫が焦った表情で叫ぶ。
「バカかお前ら!そんなことしたらさっきと同じ目にあうぞ!」
しかし、迅とカインは聞く耳を持たずにマザーズダグラスに向かって突っ込んでいく。
そして、案の定、マザーズダグラスは先程と同じように口を大きく開く。その中はただひたすらに闇が広がっている。
その時、二人の行動を見ていられなかったのか空音が迅たちのもとへ飛び出す。
「迅くん!だめえぇぇぇぇぇぇぇぇええ!」
ザッ
しかし、空音が飛び出そうと踏み込んだ瞬間、目の前に素早く腕が広げられ進行を阻止される。
「空音さんよ、迅のことが好きなら、信じてみるってのもいいんじゃねーの?」
風刹だった。風刹が片手を空音の前に広げ、空音が飛び出すのを阻止している。しかし、風刹の視線は、空音ではなく迅とカインをしっかりと見ていた。
師匠------------いや、戦友の目で。
迅とカインはマザーズダグラスに突撃しながら、迅は風、カインは炎でそれぞれの剣を包む。
そして、マザーズダグラスに突撃する寸前、迅が言った。
「そんな闇掻き消してやらぁ!!!」
そこにカインも加わり、二人は叫ぶ。
「俺たちの進撃は、闇をも貫く!!!」
瞬間、迅とカインのスピードが上がり、マザーズダグラスの口に突入し、その延長上から高速で飛び出し、地面を抉りながら着地する。
2人は体勢を立て直して立ち上がり、マザーズダグラスの方をみる。
2人が貫いた後は、綺麗に穴が開いていて、マザーズダグラスは、もがいて苦しんでいる。
それを見て再び2人は走り出し、迅が声をかける。
「今だ!いっきにカタをつけるぞ!!」
それに促され、貫、空音、風刹、リヴァイア、エルン、ミーシャ、ラリルレトは、各々構えてマザーズダグラスに向かって突進しながら返事を返す。
「おうっ(はいっ)!!!」
しかし、一同の攻撃がマザーズダグラスに当たろうとした途端、異変が起こった。マザーズダグラスに。
グオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォオオォオォォォォォオオオオオオオォォォォォォオオン!!!!!!!!
今まで声を余り発さなかったマザーズダグラスだが突然、物凄い咆哮をあげ、その衝撃で一同を弾き飛ばす。
一同は、驚きながらもなんとか体勢を立て直し着地する。
着地して迅たちは一斉に気がつく。
『地面が揺れている⁉︎』
そして、その異変を感じた迅がマザーズダグラスを見て言う。
「な、なぁ、、、、あいつデカくなってない?」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ、、、、、
迅の声に反応し他のものも顔をマザーズダグラスの方に向ける。
するとマザーズダグラスの筋肉が伸び縮みを繰り返し、段々と筋肉が大きくなっている。そして、先程、迅とカインが貫きつけた傷も塞がっている。もとからかなりの大きさだったマザーズダグラス。それが、さらに大きくなりまだ巨大化を続けている。天井までもあと十数メートルほどしかない。その様子を見て迅は汗を一滴、顔に流しながら目を丸め言った。
「このままこいつが大きくなったら、、、、」
それを聞き、エルンが危機に気がつき声をあげる。
「街が危ない!!」
それを聞き次は、カインが発言しながら飛び出す。
「それなら話は速え!奴がデカくなって手遅れになる前にぶった切る!!!」
カインは炎で剣を包み、頭の上でそれをギュンギュンと振り回しながらその勢いを利用して一気にマザーズダグラスに叩きつける。
しかし、カインの剣がマザーズダグラスに当たろうとした瞬間カインの傍に眼球くんが現れカインに突撃する。
カインは、突然のことで回避できずその突撃をもろにくらい激しく壁まで飛ばされ、壁にめり込むほど強く叩きつけられる。
カインは、壁から剥がれおちながら目を開けマザーズダグラスの方を見る、そして、言葉を失った。
そう、マザーズダグラスを囲む様にして、眼球くんが約50体、マザーズダグラスを死守している。
カインは、そのまま体勢を直し地面に両足と片腕を次着地すると迅たちのところへ、跳んで寄った。
その時、迅は独り言の様に言った。
「このままじゃ、ヤバい数の死者が出る。」
それを聞きカインが返す。
「あぁ、確かにこいつは柵よりも遥かに大きい、そんな奴が外で暴れれば------」
カインがそこまで言った時、迅がカインの言葉を切り訂正をいれる。
「いや、それだけじゃない、この丁度上にあるのは《鐘の塔》。あれが倒れればこいつが暴れなくても相当の犠牲者がでる」
それに気がつき一同は騒然とする。
エルンは、強く拳を握りしめながら呟く。
「くそっ!なんとかならないのか⁉︎」
その様なことを考えている間にもマザーズダグラスは巨大化し、天井に頭を到達させ天井を壊そうとしている。
それを見て風刹が言った。
「お前ら!今はとにかくここを出よう!このままじゃ全員ここに埋まっちまう!」
それに頷き、迅たちは階段に向かう。しかし----------
ドゴオォォォオオオォォァオォオォォォォオオオォォオォォオォォオォォォオオオオオオオン!!!!!!
迅たちが駆け込もうとした途端、マザーズダグラスが天井を貫き外に飛び出し、天井が崩れ階段を塞ぐ。さらに迅たちの上から大量の瓦礫が降ってくる。
迅たちは、必死に対応を考えるがそれが思いつかない。
その間にも、大量の瓦礫は無慈悲に迅たちに迫り、残り数メートルの距離になる。
その時、大量の水蒸気が迅たちを包み込んだ。
* * *
スラグダ区-鐘の塔前-
ドゴオォォォオオオォォァオォオォォォォオオオォォオォォオォォオォォォオオオオオオオン!!!!!!
道路の地面が突然裂け、そこから一体のダグラスが何かを握りながら跳び出す。
そして、地面に着地し握った手を開く。
そこから出てきたのは、迅たちだった。
ダグラスの手から降りた迅は、状況を把握しようと辺りを見回す。鐘の塔が倒れ近くの家からは、炎が上がり、多くの家が破壊されており、人の気配がまるでない。
「ここは、、、」
すると、横にいたリヴァイアが言った。
「スラグダ区だ。さっきまでいた地下の真上だ。」
そして、迅は後ろを振り向き一体のダグラスを見て言った。
「サンキュー、エルン、助かったぜ」
ダグラス化している時は、一切言葉を発せないため、エルンは、親指を立ててグッドサインを送る。
そして、迅は目の前にいる。巨大化したマザーズダグラスと荒廃したスラグダ区を見て言った。
「間に合わなかったのか、、、」
その時、背後から聞いたことのある声がした。
「街は崩壊したが、犠牲者は一人として出ていない。」
その声に1番反応したのは、リヴァイアだった。なぜなら、声の主は作戦の際、常に行動を共にするレベルの仲間だったからだ。
リヴァイアは、その名をつい言葉に出す。
「エレダン!」
エレダンは、リヴァイアの方を見て頷くと、声を張り上げて言った。
「全住民の避難が完了した!今からここは、人類がダグラスに勝利するための進撃の場となる!家屋が壊れようとも問題ない!ダグラスを殲滅できるのならば皆の思いは一致している!さぁ!人類よ!進撃せよ!!!!!」
それを聞き、迅は、にやけて言った。
「ふっ、序盤でボロボロになって退場したと思ったら、よくもノコノコと出てこれたもんだ。
でも、、助かったぜ、団長さん!!!」
その言葉が切れるのを合図にソウルナイト一同は、本気で暴れにかかる。そのために、それぞれ自分の力を底上げするべく、順に技名を叫ぶ。
迅から
「銀河の幻想」
カインが、
「炎の覚醒者」
貫を飛ばして空音が
「月夜の歌姫」
最後に風刹が
「輝の刃弔」
各々の体に、それぞれの力が底上げされた証拠に、風、炎、歌、光のオーラを纏う。
そして、迅が飛び出し一瞬でマザーズダグラスの後ろまで駆け抜け、立ち止まると言った。
「ダグラス待ってろお前の闇、俺たちが終わらせてやらぁ!!!」
その途端、マザーズダグラスも爆音で咆哮をあげる。
迅とカインが同時にマザーズダグラスの前後から駆け寄りクロスするようにマザーズダグラスを切り上げて貫く。
2人が離れた直後、次はマザーズダグラスの頭上に貫が現れ、波導の槍を空中に複数発生させ、一気に旋風めがけて放つ。
しかし、マザーズダグラスは、根のような触手でそれを全て弾き飛ばす。
ザン!!!
貫の攻撃を弾き飛ばした触手を空音が一気に切り落とす。
そこへ、風刹の光の弓矢が連射され次々とマザーズダグラスの身体に細い穴を開けていく。
そして、マザーズダグラスをクロスに切り上げて一旦距離を開けていた、迅とカインが猛スピードでマザーズダグラスの首めがけて剣を振りかざす。
「「うらああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!!」」
グザンッッ!
2人の剣によりマザーズダグラスの頭部は宙を舞う。そこへダグラス化したエルンが鋭い木の柱、翼撃兵団兵士たちが荊の刃を勢いよく放つ。
「人類の勝利だぁぁぁっっ!!!」
放たれた木の柱と荊は、真っ直ぐと宙を舞うマザーズダグラスの頭部のつむじを貫く。
それを見た迅が呟く。
「やったか⁉︎」
マザーズダグラスの頭部はつむじ部分に大きく穴を開けたまま、地面に落ちる。その瞬間----------
ボワアァァァァァアア!!!
----------巨大なダグラスの変木が姿を現した。
一瞬場は静まりかえり、少し間を開けて、一同は動き出した。
そして、エルンが声にならない声で言う。
「た、倒した。これで、、、」
その隣にリヴァイアがたち言った。
「いや、まだだ、マザーズダグラスは確かに消えた、しかし、既に存在していたダグラスが消えたわけじゃない」
そこに、まだ暴れ足りないのか、笑いながら迅が後ろにカイン、空音をひかえながら言った。
「つまり、あとは、残ったダグラスをやるだけってこったな?」
「あぁ、まぁそうだが、、、」
迅は、剣を掲げ言った。
「よし!もちろんお前らもやるよな?」
その言葉にソウルナイト一同は頷く。
最初は、動揺していたが、翼撃兵団一同も頷き合い、迅に賛成の意を示す。
それを確認し迅は、エルンの肩を軽く叩き、呼ぶと、共に剣、荊を構え柵外へと向けて駆け出した。
「駆逐してやる!一匹たりとも残さずになっ!」
柵外へとかける一同の後ろには、人類がダグラスと戦い築いて来た勝利への軌跡が残っていた。
後書き
ー完ー
遥かに続く美しい地平に夕陽が重なり、オレンジ色に輝いている。
その場に立つ5人の影が、真っ直ぐと伸びている。
「はぁ、暴れつかれたぜ、、、」
そう呟きながら、肩に手を当て首を回しているのがカイン。それを聞き迅が、言う。
「まぁ、お前より俺の方が暴れたがな」
その言葉に、カインはピクリと眉毛を動かして反応し言い返そうとするが、それを貫が阻止する。
「おいおい、ここまで来てよせよ」
続けて、風刹が呆れた声で、でも、かすかな優しさを感じる声で言った。
「そうだぞ、せっかくの綺麗な夕陽だ、目に焼き付けておけ」
それを聞き、迅とカインは、おとなしく夕陽を見てその美しさに心を奪われる。
そこへ、ぽつりと空音が言った。
「でも、樵のほうのダグラスは、かわいそうだったわね、、、」
それに全員は頷く。そして、迅は柵内から持ってきて傍に置いておいた50センチほどの苗木を取り出しながら言う。
「でも、闇が晴れて今頃あいつも天界で心を落ち着かせてるだろ。」
そこで一旦話を止めると、気分を切り替えて言った。
「さっ!あいつの冥福を祈って植えようぜ、木」
それに一同は頷き、カインが言った。
「俺らが討たなきゃなダグラスたちの仇を」
迅は、苗木を植え終え、その木を見ながら言った。
「あぁ、あいつだけはいい加減許せねぇ。
樵のダグラスも不幸だが、それによって生み出されたダグラス達だって実際、可哀想なもんだ、あいつが居なけりゃ生まれて殺されることもなかったんだ。」
迅は、目を閉じ心で決意を新たにする。
『コックローチは必ずぶっ倒す。待ってろよ〈D大地に生まれしG颶にも負けぬR磊落なS姿〉----------ダグラス----------』
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第六章 【Douglas of the attack】
ー完ー
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