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GE2RB ザ・ファーマー

作者:御門
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始動

 
前書き
書きたくなって書いた。

大体4、5話で終わる予定です。 

 
『農業?』

「そう、農業だ」

極東支部の支部長室にて第一部隊隊長隊長のコウタ、クレイドルのリンドウ、そしてブラッドの隊長ホワイトと副隊長のジュリウスが、支部長である榊博士と研究者でもあるソーマから召集されたと思えば、聞き慣れない事を言われていた。

「農業って、土掘って、草植えて……っていう、アレ?」

「草じゃねぇ、作物だ」

コウタの間違いを訂正するソーマ。

榊博士は頷きながら話を進める。

「今は工場でオラクル由来の技術により生産している農作物だが、終末捕喰が完全に止まってはいない以上、いずれ聖域は何百、何千という歳月をかけて広がっていく可能性がある。この聖域ではあらゆるオラクル細胞の活動が停止するため、現行のオラクルの技術を使った作物は育たないかも知れない。だから聖域でかつての農業技術を復活させ、今から後の子孫のために備えを進める。そういう意図なんだ」

「だがアラガミも近づけない聖域とはいえ、アナグラの外だからな。まともに動力は使えない、それにもしもの事を考えると非戦闘員は、って意見が出たから、まずは神機使いと技術班で下地を整える事になった。誰か、この話に乗ってみる気はないか?」

「いやー、でもさー、俺たち神機使いだし……。食べるのは得意だけど、作るのはなぁ……」

「うーん、面白そうなんだがウチはなにぶん人手不足でな」

コウタは困ったように、リンドウは関心を引かれながらもクレイドルの活動と人員を鑑みて難しいと判断する。

「ブラッドの方も戦いならともかく、こういうのは……」

ホワイトも無理だろうと口にし言い終わる前に、隣から被せるように声が上がった。

「農業、ですか……」

「農業、だね」

「ジュリウス?」

ホワイトが隣にいるジュリウスを見ると、ジュリウスは何かを考えているように首を下げていたが、次に顔を上げた時

「……やってみましょう」

「はあっ!?ちょっと、ジュリウス!何言って……」

「ブラッドとしての通常業務に加えて、ほぼ断絶していた農業技術を少ない資料を参考に一から暗中模索していく作業になる。これを取り入れるのは大変だと思うけど、大丈夫かい?」

「未来への備えとして、今出来る事をする。これも立派な任務です」

「おぉ……!」

ジュリウスの混じりっ気の無い本気な発言にコウタは感嘆の声を漏らす。

ジュリウスはホワイトに顔を向け言葉を重ねた。

「……勿論、うちの隊長の賛同が得られればの話ですが」

「……ッ!」

ジュリウスの顔にはホワイトへの信頼がありありと浮かんでいる。

果たしてこの期待を無視して断れるだろうが?いや、無理である。

「……ああもう!ジュリウスがそう言うなら、仕方ないわね。シエルとも相談して都合を付けてあげるわよ!」

「ありがとう、隊長」

「流石はブラッド隊だ。私からも礼を言うよ。協力ありがとう」

ホワイトが、どの口がと睨むが榊博士は涼しい顔でそれを流す。

「それじゃあ詳しい話は、後程としようか」






「さっきは勝手に話を進めてしまってすまなかったな」

「……もう別にいいわよ。せっかく戻って来れたんだし、やりたい事を好きにしたらいいわ。ただアリサみたく過労で倒れられたら困るけど」

「ハハッ、そうならないよう体調にはより気を配ろう」

支部長室から移動したホワイトの私室にて、榊博士から貰った心付けを開け、杯を傾けながらジュリウスと話をしているホワイト。

「それより、突然農業に目覚めたのは立派な任務っていうお題目以外にも何か理由があるんでしょ?言ってみなさい、色々と楽になるわよ」

「……そうだな。きちんと話しておくべきだろう」

ジュリウスはコップをテーブルに置き、改めてホワイトに向き直る。

「ホワイト。俺はあの時、ラケルが示した未来のために神機兵を教導した。多くの黒蛛病患者達を犠牲にして」

「……そうね」

「これはどんな理由があろうと許されざる行為だ。それに結果的に見てもゴッドイーターの負担と犠牲を減らすどころかあのザマだ。言い訳のしようもない。本来ならば俺は、ここに居るのを許される立場ではない」

「そんな事は……!」

声を荒げるホワイトを片手で制してジュリウスは独白を続ける。

「今こうして居られるのはホワイト、お前たちブラッドを初めとする極東支部、それに情報管理局皆の尽力のお陰だ。そこにはまだ俺自身の贖罪は含まれていない。この罪は決して許されるものではないが、だからと言って何もしなくていいという訳では絶対にない。自己満足かもしれないが、俺は口だけでなく何かしらの行動を持ってそれを示したい。初めは神機使いとしてアラガミを討伐し続けるのが今出来る最善だと考えていたが、今日榊博士の話を伺い、俺がすべき事はコレなんじゃないかと思ったんだ」

「未来への備え、ね」

「ああ。今度は争いの為じゃない、誰かの助けになるものを育ててみたいんだ。それに、農業は多くの人が一緒になって、土を相手に汗を流す仕事だ。そうして大地の恵みを共有する。俺は……今まで何でも一人でやろうとしてきた。でも次は皆でやってみたいんだ。ブラッドや、極東支部の皆と。俺の都合で皆に負担をかける事になるだろうが、手伝ってくれるか?」

変わらず真摯に言葉を紡ぐジュリウスにホワイトは小さくため息を付いてグラスの中身を一気に空けた。

「今更そんな事を聞く必要はないでしょう。私たちブラッドは皆、家族なんだから」

「そうだな」

「次にそんな事を態々聞いてきたらシエルにバレットエディットして貰ったブラスト弾の試し打ちの的にするわよ」

「そうならないように注意しよう」

「…………ジュリウス、やっぱり貴方は生意気だわ」

「自分ではそういうつまりはないんだがな」

「生意気よ。私がそう言うんだから間違いないわ」

ホワイトはジュリウスの肩に頭を乗せ、目を閉じる。

「もっと自分の我がままを押していいのよ。私も皆も貴方に頼られるのは嫌じゃないわ」

「我がままか。もう、かなりの我がままを通してる気がするな」

「足りないわ、でもそうね。私が我がままのお手本を見せてあげるわ」

「我がままの手本か?」

「そうよ。ジュリウス」

ホワイトはビンの蓋を閉め、離れたソファーのうえに投げた。







アレを空けるまで、今日は私に付き合いなさい――





 
 

 
後書き
MY主人公

NAME:ホワイト 神機:ヴァリアントサイズ(シロガネ)・ショットガン(シロガネ)・バックラー(シロガネ)
♀/ボイス:18/ヘアスタイル5/ヘアカラー真っ白/瞳:ガーネット/アクセサリ:ヘッドホン(白)/共通アクセサリ:包帯1

尊大な態度を取りつつ面倒見のいいブラッド現隊長。
パッと見、しっかり者に見えるが某赤い悪魔と似たうっかり属性を持つ。
また押しに弱く、何だかんだで押し切られたり、善意からくる行動を拒否れなかったりする。
辺境地区の外部居住区出身で、頭が良かったり育ちの良い人に密かに憧れを持っていて、暇な時にシエルから年少組共々色々と教わったりしている。
入隊当初、物静かで優しく知性的なラケル博士に憧れていて、全てが終わった今でも、あの日憧れた姿は目指すべき未来の姿として思っている。



因みにエミールとは茶飲み仲間で、ラウンジでお茶をしてるとエリナがエミールに噛みついてきたり、ムツミやカノン様がお菓子等を持ってきたり、ナナがシエルと共に乱入してきたり、ハルオミさんが女子臭に誘われて来たりと色んな人が集まってきて顔には出さないが内心嬉しがっていてオーラに出るクール風マスコット。

 
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