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Angel Beats! the after story

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クロ遊佐はフリッカー使い

とうとうやってきた、クロ遊佐との約束の日。待ち合わせ時刻は午前10時となっている。

ただいまの時刻………午前6時ジャスト!早朝でも夏の暑さは衰えずにいる。こんな時刻に待ち合わせ場所にいる自分を馬鹿だと思っているが、決して遊園地が待ち遠しいとかそんな乙女チックな理由ではない。

なぜこんな早くに来たかというとだな……。

あのドSの性格上、必ず5分前行動ならぬ50分前行動をし、後から来た俺にシャワーのように毒舌を浴びせるに決まってる。最終的には一刺しぐらい覚悟しなければならない。それを回避するために文句が言えないぐらい早く行こう、となった結果こうなった。





「音無く~ん、やっほ~☆」

ふりふりなフリルの黒いスカートにピンクと黒の縞模様のカラーソックスと下だけで判断できるのだが、ほんの少しの希望を持ち全体を見た結果。半ゴスロリと表現できる服装だった。

セーフセーフ。半分ゴスロリだから痛くない。大丈夫だ俺、気を強く持て。

「待った?」

「いや、2時間ほど待っただけだ」

ケータイの充電が切れるのを嫌った俺はブランコに鉄棒、一人でシーソーとミニ遊園地気分を味わっていた。

「そんなに早く来たの?なになに、そんなに楽しみだった、私とのデート」

「それはないない。もし、俺がお前より遅く来たらR18並のグロテスクなことをしてようしてたんだろ?現に今、9時だし」

一時間前行動をしている時点で俺に《放送事故》なことや《自主規制》なことをする気満々なのが分かる。

「…………………チッ」

え?今舌打ちしたよねこの娘!?どんだけ俺へのアンチ溜まってるの?クロ遊佐が掌に光沢を放っているハサミを隠しているのは、見なかったことにしよう。

悪意に満ちた顔が一瞬でにこっにこっな笑顔に戻り。

「もう遊園地に行っちゃいましょっか。時間、勿体無いですし」

そう言うと、俺の手を握り潰しながら鼻歌を歌い駅の方へ歩き出す。女の子特有の柔らかさを堪能できるのはいいんだけどさ。

「クロ遊佐さん、俺の手はグリップじゃないですよ」

何故かますます力を入ってくる。

「あ、あの~、だからグリップじゃ………いやなんでもないです」


握り潰すのに疲れたのか、駅に着く頃には普通に手を握っていた。






電車から降りて遊園地までは仕事の話と中学校での初音の話と他愛のない会話をしている内にあっという間に目的地に着く。にしても、楽しくお喋りをするクロ遊佐を見ると日向が話してくれたことが嘘のように思えてきてしまう。

「ほらほら見て見て!、観覧車だよ!観覧車!」

「おお~やっぱり間近で見ると迫力あるな」

観覧車が怖いって気持ちが少しばかり分かってしまう。こんなところでイチャイチャしたりするのは頭がおかしいに決まってる。

「ほら、ちょうど開園したみたいだから行こ行こ」

テンション高めのクロ遊佐に袖を引っ張られながら入場料を払い、いざ夢の国へ!



「最初はどこに行くんだ?」

さすがに行き先ぐらいは知っときたく、返事を聞くためにクロ遊佐の方を見てみる。遊園地の案内図を両手で広げ、うーんうーんと悩んでいた。最初に行くアトラクションを決めるのに悩んでるなんて可愛いじゃないか。

「……お化け屋敷で暗闇に乗じて……いや、コーヒーカップの遠心力で……」

前言撤回。まったく可愛くない。

「俺は遊園地に来たなら真っ先にジェットコースターに乗るって決めてる男なんだ!さぁクロ遊佐行くぞぉ!」

「えっ!?ちょ、何いきなり!」

死にたくないんだよ!殺人計画を練っているクロ遊佐を止めるには半ば強引に他のアトラクションに連れていくしかない。



「みなさんくれぐれも安全バーをいじらないようにお願いします。では、いってらっしゃ~い!」

係員の陽気な掛け声とともにジェットコースターが出発する。規則正しい機会音と振動を感じながら、上に登るに連れて緊張してくる。

「ほんと音無くんってチャレンジャーだね」

絶叫する前だというのに俺をからかう余裕を見せている。かくいう俺は……。

「ま、まぁな。楽しみで目から汗がでてきてるよ。ハハッ」

「やっぱり叫ぶ時ってキャーかな?それともイヤァーのどっちがいいと思う?」

「そうだな、定番はやっ……ギャアァァァ!!!」

いつの間にかもう降ってるぅぅーー!!!右に左に挙げ句の果てには一回てぇぇん!!!

「ウギャアァァァ!!!!」

「アハハハハッ!!楽しいぃぃぃ!!」

だいぶご満悦なクロ遊佐。俺はそれどころじゃなぁぁぁあーー!!!い!!



「お疲れ様でした~」

もうお疲れとかいうレベルではなくゲロる寸前である。

「ほんと頼りないな~ほら、水飲む?」

「わ、悪いな」

ありがたく水をいただき、一息つく。もう二度と乗らん!無謀なチャレンジほど無意味なものはないぞ。

「ふぅ……。クロ遊佐って気遣いできるんだな。俺が考えてたのだと、大爆笑で罵倒するのかと考えてた」

「私を何だと思ってるの……」

「鬼畜な悪魔」

「そんなこという悪い子は殺しちゃうぞ☆」

脇腹に突きつけられるハサミがなければ仲良しカップルなのかもしれない。いやそれはないか。

「じゃ次行こっか」

「ラジャ!」







どうなってるのだろうか……。

「ゆりっぺ逃げろ!ここは俺が何とかする!」

「いやよそんなの!野田くんも一緒に逃げるのよ!」

「そんな都合よくいかないよ~」

ありのままで説明すると。クロ遊佐のフリッカージャブを何発もくらいながらもゆりが逃げるための時間を稼いでいる野田がいる。


そう、あれは俺とクロ遊佐がコーヒーカップに乗り、二回目のゲロっちゃうモードに突入した時だった。クロ遊佐が突然あたりを見渡し、一方向を直視していた。気になり同じ方向を見るとそこにいたのは……。

「次はあれに乗りましょ、野田くん」

「ゆりっぺは元気だな。ジェットコースターに三回乗ったのにまだ他のアトラクションに乗るとはさすがだ」

どうやらゆりと野田のデートに遭遇してしまったらしい。にしても、あの二人日向たちとはまた違う感じのラブラブだな。

「音無くん、私ねあの男性を見ると無性に八つ裂きにしたくなるの」

息が荒く、絶好の獲物を見つけたといわんばかりに興奮している。止めなきゃいけない気がする!理由……?俺のゴーストがそう囁いてるんだ

「待て待てクロ遊佐落ち着け……ってはや!?」

クロ遊佐はもうゆりたちのすぐ近くまで近づいていた。もはや手遅れである。野田に安らかな眠りを……アーメン。



で、俺が歩いてやってきた頃には今の状況となっていた。

「さぁさぁまだまだいっちゃうよ!」

鞭のようにしなるクロ遊佐のフリッカーを亀のように体を丸めて耐えている野田。

「やめなさい遊佐さん、このままじゃ野田くんが!」

「顎ががら空きだよ!」

「ゲブッ!」

的確なアッパーが野田の顎を捉え、野田は綺麗な弧を描きながら空中を舞って地面に落ちた。

「立って!立って野田くん!」

「……すまんゆりっペ。お前だけでもい……きろ……」

何この茶番?いつまで続くの。俺もうクタクタだよ。

「の、野田くぅぅーーんーー!!!」

「ふぅ~スッキリ☆」

どこかの青春ドラマみたいに汗を拭うクロ遊佐だが、やっていたことは一方的な暴力である。

「というか、なんで遊佐さんがここにいるのかしら?」

抱きかかえてた野田を捨ててこちらを向くゆり。これまで何人も戦線のメンバーに会っているだけあって、耐性がついているのか、そこまで驚いていない。

「そのことなんだが、俺が説明するよ。複雑というか特殊なことだらけだから」

ゆりには遊佐が俺の家に来てから何が起きたのかを簡潔に伝えといた。

「ふむふむ。遊佐さんが遊佐衣さんになってクロ遊佐になったと……なるほどね。………って!分かるかい!!!」

「ガハッ!」

ラビットパンチで俺の意識を削ぎ落とそうとしてきた。さすがに簡潔すぎたと思ったが、ゆりなら分かってくれると信じてたが、結果はこれだった。
そして、あらためてゆりに説明をした。

「ふぅ~ん、じゃあ今、私の前にいる遊佐さんは記憶があるけど、人格は戦線に入る前の頃なのね」

「その節は迷惑かけてごめんね。許してちょ」

「でも……こんな感じだったかしら……?」

あまりの変わりように頭の中で整理ができてないらしく、頭を抱えていた。

「ん、んぅ……なぜ俺は寝てたんだ?体が痛いのも気になる」

目を覚ますのが早いな、と内心褒めていると。

「ったく、目覚めましたか。また眠らせてあげますね」

キラっと近づきそのまま、馬乗りとなり右拳、左拳と連打を浴びせる。

「どう?中学生にボコボコにされる気分は?」

ヤバイものでも吸ったり服用したりしてるように、顔が幸福で満ちている。野田をボコボコにすることは快楽と言わんばかりに殴っている。

「ああ。最高だ!」

ここで、一つクロ遊佐は見落としていたのだ。それは、野田が……元はネット民族ということを。アニメを見るのは当然のため、中学生に殴られるのはご褒美と言わざるを得ない。

「ヒ、ヒィィ!!!!

咄嗟に俺の背中に周り、服を掴んで身を隠していた。変質者に遭遇したようなドン引き具合だった。んまぁ、当たってるんだがな。

「キモいキモいキモい!!!死ね死ね死ね!!変態変態変態!!」

「身に余るお言葉感謝感激でございます」

罵倒をすることによって自分の首を絞めているクロ遊佐。TKといい戦線にロリコンが多いのはなぜだろうか?

「もうやだ~!どうにかしてよ音無くん、ゆりっぺさん」

野田の精神攻撃によって半ば泣き目で懇願してくるため、ゆりにアイコンタクトをする。


そ こ の 変 態 を 消 せ


「頭が整理できてないけど、これ以上野田くんを放置してると通報されほうだしね。後でもう一度説明させてもらうわよ」

そう言ってスイッチの入った野田の元へ向かい。一言。

「ねぇ野田くぅん。お腹空いちゃった♡」

「和風、洋風、中華、イタリアンにフレンチ、郷土料理何にする?」

ジャンルとして似てるのがあるのだが、一瞬で選択肢を導きだす野田に近い何かを感じてしまう。

「迷うわね。だから歩きながら考えましょ。じゃあね遊佐さん音無くん」

早口でまくし立て野田と共に歩いていく。手を繋ぐのを忘れないあたりがバカップルと確信できる。

「ふえぇぇ怖かったよぉ~」

「よしよし変態は塵となって消えていったから大丈夫だ」


生まれたての子羊のように震えているクロ遊佐をなだめながら昼飯のことを考える。

まだ半日残ってるのか……限界を超えてがんばるしかないのか……。







 
 

 
後書き
騎士見習いです!
一話完結にしようと思っていたのですが、思いのほか文字数が多くなっていたので2話構成で遊園地を書きたいと思います。

すこし色々とありすぎて更新遅れましたが、頑張って次回も書いていきますのでよろしくお願いします。

梅雨に入るということで甲冑にカビがつかないように手入れをしている騎士見習いでした!!

(意見、感想、評価よろしくお願いします) 
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