美しき異形達
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第五十一話 二人の伯爵その四
「やがては」
「そうね、私もね」
「お互いお母さんになってもさ」
薊は裕香に顔を向けて言った。
「友達でいような」
「ママ友ね」
「それでお互いの子供見せ合おうな」
「そうね、喫茶店で会ってね」
「マジックとかいいよな」
駅前の古風な趣の喫茶店である、イギリス調の。
「あそことか」
「あそこお茶もケーキも美味しいしね」
「そっちも楽しみながらな」
「赤ちゃん見せ合うのね」
「そうしような」
こう二人で話してだ。そしてだった。
薊は湯舟から出た、その鍛えられているが決して筋肉質ではなく引き締まり出るところは出ているスタイルを出してだ。
そのうえでだ、裕香にこう言った。
「身体は洗ったけれどな」
「髪の毛はね」
「それはまだだからな」
それで、というのだ。
「今から洗うよ」
「そうね、じゃあ私もね」
裕香もだ、こう言ってだ。
湯舟の中から出て来てだ、薊の横の席に来てだった。
そうしてだった、頭からシャワーを浴びた。薊もそうした。
そしてだ、二人で髪の毛も洗った。そうしてからだった。
二人は風呂を出て身体を拭いて後は夏休みの宿題を二人でした。学生だけで勉強のことを忘れていなかった。
次の日薊は朝食の後に歯を磨いてだった。裕香と共に寮を出た。
それからだ、菖蒲達に連絡してだった。智和の屋敷に向かった。そこで智和と会うのだった。
智和はいつもの落ち着いた服で出て来た。その彼がだった。
薊達を客室に案内してから微笑んでだ、こうしたことを言った。
「昨日の博士のお話だけれど」
「そのことだよな」
「うん、博士は嘘を言う人じゃない」
このことからの言葉だった。
「だから昨日の話は全部ね」
「本当のことでか」
「うん、それで昨日僕もサン=ジェルマン伯爵やカリオストロ伯爵について調べたけれど」
「やっぱりそうした人か」
「うん、錬金術師でね」
二人共だ、そうだというのだ。
「それでね」
「しかもか」
「神出鬼没だよ」
「じゃあ今日にでも急に出て来てもか」
「おかしくないね、特にサン=ジェルマン伯爵は」
「そっちの伯爵さんはか」
「お祖父ちゃんとも深い関係があって」
智和は薊達を見つつ話していく。
「君達も生み出した。言うならば君達の親だから」
「先輩のお祖父さんと一緒か」
「そうだね、けれどそうなると」
ここでだ、智和はふとすっと微笑んでだった。こんなことも言った。
「君達がお祖父ちゃんの娘なら」
「ああ、先輩がお孫さんだから」
「僕は君達の甥になるね」
「あはは、そうだよな」
薊は智和の今の言葉にすぐに反応して笑ってこう返した。
「あたし達皆先輩の叔母さんか」
「そうなるね」
「だよな、あたし達の方が年下なのにな」
「面白いね、そう考えると」
「やっぱりそうなるのかね、あたし達と先輩って」
「君達がお祖父ちゃんの娘ならね」
この規定になると、というのだ。
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