オズのベッツイ
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第九幕その十一
「それじゃあね」
「ええ、お願いするわ」
「これからエメラルドの都に行くよ」
「メリーゴーランドマウンテンには気をつけてね」
「あそこは行かないよ」
最初からというのです。
「別の道を選ぶよ」
「そうね、それがいいわね」
「あそこの厄介さはわし等も知ってるよ」
族長さんは少し苦笑いになってベッツイに言いました。
「何かとね」
「そう、近道をしたいなら別だけれど」
「そうでないとね」
「あそこは出来るだけ入らない方がいいわ」
「さもないと大変な目に遭うのはこっちだからね」
「そう、だからね」
それで、というのです。
「あそこは行かないに限るわ」
「全くだね」
「じゃあエメラルドの都に行ったらね」
「オズマ達に伝えておくよ」
こうお話してでした。クルマー達は皆と別れてです。
ベッツイ達は真実の池に再び向かいました、その途中で。
ベッツイは目の前にあるものを見付けました、それはといいますと。
煉瓦の道の傍に咲いているお花でした、そのお花は薔薇でした。道の傍に野薔薇の園があったのです。
その野薔薇達を見てです、ベッツイは皆に笑顔で言いました。
「これはいいわね」
「黄色い薔薇ね」
アンも笑顔で応えます。
「幸せの」
「黄色い薔薇は幸せのお花だから」
「だからね」
「いいことがあるわね」
「そう、この薔薇を見れば」
それで、というのです。
「幸せが訪れるわ」
「そうよね、じゃあ真実の池に行けば」
「お花が見付かるわ」
「そしてそのお花を摘んでね」
アンは笑顔で言うのでした。
「ウーガブーの国に戻って」
「そうしてね」
「あの人の病気を治して」
そして、とです。アンはさらに言いました。
「貴女にもね」
「ジャムをね」
「プレゼント出来るわ」
「そしてそのジャムをね」
「貴女がおじさんとおばさんにプレゼントするのね」
「そうなるわね」
こう二人で笑顔でお話するのでした。
「プレゼントしてもらってプレゼントをする」
「面白いわよね」
「それが世の中なのね」
「何でもつながっていてね」
「回っているのね」
黄金の林檎のジャムのこともです。
「つながっていて回っている」
「そういうものなのね」
「そうですね、確かに」
ナターシャも二人のお話を聞いて頷くのでした。
「世の中って何でもそうですよね」
「つながってるでしょ」
「そうして巡り巡って回っているものよね」
「ですね、面白いです」
ナターシャもそのことがわかったのです。
「世の中はそうなんですね」
「そうよ、だからね」
「私達も真実の池に行ってね」
「そしてなの」
「お花を摘んでね」
その銀色の菖蒲をです。
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