詩集「棘」
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意地悪な月
冷たく落ちた初夏の月
霞んだ夢の一欠片…
迫ってくるは闇の夜
消えそうな外灯では避けられぬ
一夜一夜と思い出は
姿を変えては傷つける
こんな幽かな月光(ヒカリ)では
心癒すことも出来ない…
緩かなりし時を…創りては壊し
心の…隙に染み込んで
奥から揺さぶる…
君に会えない悲しみに
暮れる僕を月は眺め
慰めてるのか貶すのか…
弱々しい三日月が浮かんでる
君と僕とじゃ違うから
想いはきっと重ならず
朧が月を匿って
僅かな光さえ惜しむ夜
揺蕩うように今を…抱いては放し
想いを…聞いては嘲笑う…
天空(ソラ)から見下ろし…
虚空の闇を切り裂いて
そぼ降る月影は意地悪で
君への想い綴じ込めた
哀しみは癒せぬとも捨ては出来ぬ…
君を想い…一人歩く…
うつろう月の下…
揺らぐ光…
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