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我輩は逃亡者である

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第二章 世界からの逃亡者三人。
  13.ファンタとタコス

はっ…!?何か危険なものをスルーできた気がする、よくわからないがそんな気がするのだから仕方ない。

「どうかしましたか?怪訝ななんとも言えない顔をしてますよ」
「顔じゃなくて表情と言おうよくーちゃん」
「失礼しました」
「それにしてもくーちゃんのISってどんなの?」
「唐突ですね。私のIS、名前は黒鍵と言うんですが簡単に言うと幻覚系特化です」
「へーそうなのか、逃げるのに便利そうだよね」
「ええ、実際何度か使いま」

した、とくーちゃんが言いきろうとしたそのときだった。茶髪ロングなお姉さんが全力で走りながらこちらへと向かって来た。

「そこの子供二人待てぇぇ!銀髪と黒髪の二人だ!」

これは逃亡フラグである、待てと言われて待つやつはいないと習わなかったのであろうか?おれは束先輩に習いました。

追っていいのは逃げられる覚悟があるやつだけだ!

「くーちゃん逃げようか!」
「はい、ちょうどよいです。私と黒鍵の力お見せしましょう!」
「いや、逃げようか!」
「大丈夫です、追跡を妨害するだけですので!」

おお逃げたいけどここまで張りきってるくーちゃんは始めてだ!もしや黒鍵で自分達を捕まえた幻覚でも見せるのか!
と思っていたのだが

--ゴキッ! と嫌な音をたてて茶髪の女の人の足の小指辺りが消火栓に当たった。

「ぐぁぁぁぁ!?足が、足の小指がぁぁぁ!」
「ふっ、ワールド・パージ、完了。これが私と黒鍵の力…ワールド・パージです!」
「うわぁ……」
「本人は普通に追ってるつもりになりますがそれは錯覚!常に全力で足の小指を物にぶつけにいっているのです!」

ぐっと握りこぶしをつくり力説するくーちゃん。やってることは地味だがかなり痛そうだ、あの人蹲って足を抑えてるよ。ワールドパージ…名に恥じぬ恐ろしさのようである…!これが束先輩と共に逃げてきたくーちゃんとそのIS《黒鍵》の実力か!

「さ、かーくんさん行きましょうか!」
「そうだね、くーちゃん。くーちゃんのお陰でだいぶ楽に逃げれそうだ」
「あ、まっ待て!待ってくれ!」
--ゴキッ!
「いったぁぁぁぁ!?」
「うん、地味だけどえげつないね」
「まあ、ある程度私が離れれば効果はきれるようしてますし早く行きましょうか」

そうしよう、あの人のためにも。そのうち足の小指が折れそうである、もう涙目になってるし見てられない。
まあ、流石に痛そうなのでもうじっとしといてほしいが。

--ゴキッ!
「っっっっっっっっ~!?」

あ、遂に地面に転げた。






▽▽▽▽




「束さんはお腹すいたよー、まだできないのかな?」
「もう少々お待ち下さい篠ノ之束博士」

むー、お腹すいたー。くーちゃんもかーくんも全然来ないし…せっかく目立つ印つけて地図渡していったのになー。ああ、くーちゃん成分が枯渇する。

「おじゃましーす、席空いてま…あら?ガラガラ」
「失礼します。かーくんさん失礼ですよ、例えこの店が不人気でこの時間帯にガラガラだとしても声に出しては失礼です」
「くーちゃんもちょっと声のトーン下げようね」

キターーーーー!!

「くぅぅぅぅぅちゃぁぁぁぁん!かぁぁぁぁくぅぅぅぅん!」
「こぺ!?」
「わふっ!?」

会いたかったよ!知らない金髪ウェーブとご飯とか既に後悔し始めてたんだよ!来てくれて嬉しいよ!





▽▽▽▽



「こぺ!?」
店内に入ると視界にうつった束先輩という名のミサイルが飛んできた。首、首決まってるから!
隣のくーちゃんは束先輩のクッションに埋もれているのにえらい差である。

「おー!くーちゃんかーくん来てくれたのかい!せっかく地図まで置いていったのに中々来ないから来てくれないかと思ったよー!さあさあ、入って入って!」

「離して!首決まってます!息が…こひゅーこひゅー」
「束様苦しいので一度離していただけると嬉しいです」
「むー仕方ないなー」

意識が飛びかけた。というかくーちゃんの言う通りホントに来てほしかったみたいだ。始めから連れていってくれたらよかったのに。

「あ、あの束様。それはともかく追手です!茶髪ロングな女の人が急に追いかけてきました!」
「な、なんだってー!?うちの可愛いくーちゃんに何をしようというのだ!」
「あ、あの……その茶髪って」

おや?おいてけぼりをくらっていた金髪の女性が顔をひきつらせつつ話に入ろうとしている。そういえば自己紹介もまだだったね。
--そう思い自己紹介をしようとしたところ

「スコールぅー!子供二人ともに逃げられたぁぁ!私も追いかけようとしたのに進もうとするたびに足の小指に物がぶつかって…!」
「ちょ!?オータム今それいったらマズッ!?」

追手の茶髪…オータムというらしい女性が店内に入ってきて

「あ、束様あの人です」
「うちのくーちゃんかーくんになにする気だぁ!とうっ!!」
「え…?もるすこふぁ!?」
「オータムぅ!?」

くーちゃんがそう報告したところ再び束先輩がミサイルと化してオータムさんのどてっ腹にへとドロップキックをかました。
店内に入ってすぐに店外にドロップアウトしたオータムさんであった。
束先輩からオータムさんまで結構離れていたのに一息に跳んでいったなぁ、スコールさんが外までオータムさんを拾いにいった。おー生きてたみたいだ、よかったよかった。

「束様落ち着いてください、出会い頭のドロップキックは挨拶にしては過激すぎます」
「えー」
「オータムさん綺麗に飛んでいきましたよ。ほら束先輩、一緒に行ってあげますし素直に謝りましょう?」
「いやいや!二人とも追いかけられてたんだよね!?


そんなことを話してる間にスコールさんオータムさんが戻ってきて逆に謝られた。
なんでもISをつくってもらいたくて交換材料としてとしておれとくーちゃんを捕まえようとしたそうだ。
まあ被害なかったし、強いていえばオータムさんの足の小指とお腹に被害あっただけだしいいけどね。


「本当にすみませんでした…それで篠ノ之束博士つくってはいただけないでしょうか?」
「えーファンタとタコス大量生産する機械ならともかくなー」
「え!タコス作ってくれるのか!?」
「え?オータム!?なんであなたタコスに食いついてるの!?」

何故かオータムさんがタコスに食いついたと思ったら

「ファンタ大量生産だと!?是非頼む!」
「Mぅ!あなた指示あるまで出たらダメだから!?」

店の奥からファンタに食いついた織斑さんの顔した少女が飛び出してきた。ふむ、とてもカオスと化してきた。


--ファンタコスはとても楽しそうな組織でした。 
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