ハリー・ポッターと蛇の道を行く騎士
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第十五話 授業
カツカツと黒板に書き込まれた名前。
男は振り向くと背後を指差してぶっちゃける。
「はい、どーも。1年1組の担任を任されたロビフト・クライアーツだ。基本は放任主義、何か分からんことがあった時だけ聞きに来い、以上」
ロビフトは名簿を開くと出席を取る。
「出席取るぞぉ、いない奴は返事しろ~……よし、全員いるな」
生徒達が驚愕するような仕方で出席確認を取ったロビフトは教材を机上に広げる。
「じゃあ授業を始める。時間が無いからどんどん進めるし遅れた奴は置いていく、必死になってついて来い。では、薬草学の教科書4P目を開いて──」
フランスは週に4日しか授業が無いなど、他国に比べて授業日数が非常に少ない。
授業内容自体は他国の魔法使いと変わらない質を維持する為、とにかく授業の進みが早く、一つ一つの宿題の量も馬鹿にならない。
留年・落第などもあり得るので、手を抜くことも許されず、バカンスなどに出掛けたり、休日をしっかりと確保するために殆どの者が毎日必死になって宿題を消化する。
ちなみに飛び級制度もあるにはあるのだが、魔法の安全性なども考慮して、飛ばす授業の分だけ宿題や課題なども増えるため、エメレベルの天才でも飛び級をするのは難しい。ダンブルドアやヴォルデモートでさえも飛び級を諦める程の難易度だと言えば伝わるだろうか?
「──では、授業を終わりとする。今日やったことの復習と宿題はしっかりとやっておくように、宿題は来週末までに提出を期限とする」
「起立! 礼!」
「「「ありがとうございました!!」」」
今日の授業が全て終わり、先生が教室を出て行った後、急に空気が弛緩し、生徒達の間にざわつきが戻った。
エメの横に座っていた少年がぐだ~っと机に突っ伏した。
「入学初日から全教科合わせて100ページ近くやるとか、魔法使いになるの大変過ぎるだろう! コレを毎日か~。宿題も1日で山のように出るし」
そうか? と疑問に思ったエメ。図鑑のように分厚い教科書を見ても不思議に思わず、こんなものかと思えるのは、スペックの違いによるものだろう。
「エメ君は平気なの?」
「? この程度だったら日本に居た頃も生徒会の仕事とかで普通にやっていたし……それほど難しくないよね、コレ」
100ページ分も?! と驚いた顔をする少年に、逆に何で分からないの? という顔を向けるエメ。
少しずつ人が減っていく教室の中で、シルヴィがエメの所にやって来た。
「エメさん、今からレナのクラスに行こうと思うんですが、一緒に行きませんか?」
「ん? ああ、いいよ、一緒に行こう」
顔馴染みだからついでに声を掛けられたのだろう。
さっきまで話をしていた少年に質問される。
「彼女は? 友達?」
エメが紹介する前にシルヴィが自分で自己紹介をした。
「初めまして、シルヴィ・ルピアです。エメさんとは汽車で相席になって知り合ったんですよ。よろしくおねがいしますね」
「アルブ・ロイドア。見ての通りエメ君の隣の席だ。好きなものはカエルチョコかな。これからよろしく!」
2人が互いに自己紹介を終えた後、レナに会いに行くため、エメとシルヴィはアルブと別れて教室を出た。
後書き
打ち切りです。
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