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猫達の里親

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第一章

                        猫達の里親
 ロリィ=クラウスはルクセンブルグにいる、この小さな国の中でわりかし実入りのいいブティックを経営している家の娘だ。
 ふわふわとした淡い赤毛を肩の高さで切り揃えていて大きな紅のリボンをいつも着けている。鳶色の瞳は大きくはっきりとしていて顔立ちは明るくいつもにこにことしている。口は小さくまとまった形で奇麗なピンクだ。眉は細く奇麗なカーブを描いている。
 まだ小学生で幼いがわりかしスタイルはいい、常連の客達は幼いながら真面目にかつ可愛く家の仕事も手伝っている彼女を見て両親に言った。
「あの娘将来はね」
「凄い美人になるわよ」
「可愛いし明るいし」
「有望よ」
「女優になれるかもな」
「それもかなりのね」
 こうまで言うのだった、だがロリィ自身はというと。
 両親からそう言われてもだ、こう返すだけだった。
「ロリィ別にね」
「女優とかにはか」
「興味がないのね」
「うん、別にね」
 そうだというのだ。
「だって私このお店の娘だから」
「だからか」
「将来はなのね」
「うん、このお店の店員さんになるよ」
 店長になるという考えはまだないのでこう言ったのだ。
「そうなるから」
「そうか、女優にならずにか」
「このお店継いでくれるのね」
「そうしてくれるのか」
「そう言ってくれるのね」
「だって。このお店をやることがロリィのお仕事でしょ」
 それで、というのだ。
「それに女優さんって売れないと大変だってお友達に言われたから」
「それよりもか」
「このお店なのね」
「うん、ロリィこのお店の店員さんになるよ」
 にこりとしての言葉だった。
「そうなるから」
「そうか、じゃあな」
「大きくなってからもお願いね」
 両親はその娘に笑顔で応えたのだった、そのうえで。
 娘を可愛がり大切に育てていた、そうしたある日の夕食の時にだった。
 ロリィは両親にだ、こう言ったのだった。
「あの、お友達に言われたけれど」
「?どうしたんだ?」
「何かあったの?」
「猫を貰ってくれないかってお願いされたの」
 そう言われたというのだ。
「お家で猫が子供を産んだけれど。子猫が多過ぎて」
「それでか」
「里親になって欲しいっていうのね」
「そうなの、駄目?」
 両親の顔を覗き込んでだ、ロリィは尋ねた。
「猫ちゃん達呼んだら」
「いや、猫はな」
「別にね」
 そう言われるとだ、両親もだった。
 特に嫌なものを見せずにだ、こう娘に答えた。
「猫は鼠を捕まえてくれるしな」
「ネズミはちょっと油断したら出て来るから」
 そして服を噛もうとしてくるのだ、店の商品を。
「今もな」
「だからね」
「それにいるとな」
「色々と幸福を招くともいうし」
「それに可愛いからな」
「いいと思うわ」
「それにな」
「ロリィにとっても」
 娘も見て言うのだった。
「いいことだから」
「是非ね」
「私にも?」
「それは猫が家に来ればわかるよ」
「その時にね」
 両親はロリィの言葉に首を傾げさせて問い返したが両親はこう返した。 
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