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天才への挑戦

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第三章

 灯りは消えない、それでスフォルツォは首を傾げさせて言うのだった。
「なあ、今日もな」
「もうかなり遅いけれどな」
 ブリオッティも言うのだった。
「おっさん寝ないな」
「朝も昼も起きてるんだろ」
「ずっとそうらしいぜ」
 今日の情報を聞く限りはそうだった。
「そもそもあのおっさん朝と昼はな」
「起きてるんだな」
「毎日な」
 ブリオッティは自分が集めた情報を相棒に話す。
「昼型なのは間違いないぜ」
「じゃあ何でなんだ?」
 スフォルツォはブリオッティに問い返した。
「夜も起きてるんだ?」
「朝も昼もな」
「夜寝てないのはどうしてなんだ」
 それがどうしてもわからないというのだ。
「幾ら何でもおかしいだろ」
「二日続けて徹夜なんてな」
 それこそ、だった。このことは。
「有り得ないだろ」
「ちょっとな」
「相当忙しいのか?」
「いや、幾ら忙しくてもな」
 ブリオッティはスフォルツォに言い返した。
「二日だぞ」
「二日徹夜か」
「それも完徹だぞ」
 それは、というのだ。
「そうそうないだろ」
「それはそうだけれどな」
「幾ら何でもおかしいだろ」
 ブリオッティはスフォルツォに強く言った。
「それは」
「そうだな、じゃあどうなっているんだ」
「わからない、しかしだ」
 それでもともだ、ブリオッティは言った。
「あのおっさんも人間だからな」
「寝るよな」
「絶対にな」
「じゃあ待つか」
「強盗は流儀じゃないだろ」
 自分達の、とも言うのだった。
「それだったらな」
「今はか」
「待つんだよ」
「それしかないか」
「ああ、待ってな」
 そして、とも言うのだった。
「あいつは絶対に寝る、そして寝た時に」
「家に忍び込むか」
「それで盗みを仕掛けるぞ」
「わかった、それじゃあな」
 スフォルツォも相棒の言葉に頷いた、そのうえで。
 二人はこの日もダ=ヴィンチが寝るのを待った。しかし。 
 それもなくだ、結局だった。
 この日も朝まで粘ったが粘っただけに終わった。ブリオッティはやれやれといった顔で相棒にこう言った。
「じゃあな」
「今日はか」
「諦めてな」
 そして、というのだ。
「寝るか」
「そうだな、そうしような」
「明日な」
「明日またか」
「待とうな」
「そうだな、まさか二日なんてな」
 二日も寝ないというのだった、ダ=ヴィンチが。
「どうなってるんだ」
「どんな仕事してるんだ、しかしな」
「寝るよな」
「寝ない筈がないんだよ」 
 人間ならだ、それは絶対だというのだ。 
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