アニメにおけるOCGデッキの可能性
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野獣の眼光
テスト。ほとんどの学生が嫌いなこの行事はデュエル命であるこのデュエル・アカデミアにも存在する。とはいえ、前述した通りデュエルアカデミア命なので難易度はそこまででもない。元々大学生だった身だ。軽く復習をすれば全く問題なかった。
さて、元の世界のテストとは違うところが一つ存在しているのだが、それはなにかわかるだろうか?そう、実技テストだ。遊戯王の。
普通は同じ寮のやつが相手として選ばれるらしい。つまり、俺の相手はラーイエローということになる。
というわけで俺の対戦相手はラーイエローが誇る空気。エアーマンです。
「……なにか失礼なことを考えなかったか?」
「……気にするな」
勘のいいやつめ。
「まぁいい。俺は君とのデュエルが楽しみで仕方なかった。俺はカードに関してかなりの知識があると自負しているが……君の使うカードは全く聞いたことがない。今回、どんなカードを見せてくれるか……くくっ」
カードオタっぽい反応をどうもありがとう。さすが原作キャラだ。濃ゆい。
「それでは、中間テスト実技試験を開始します」
会話が一段落したと感じたのか試験官が前に出てデュエル前の口上を述べ出した。
「試験受験者はラーイエローの三沢大地。及びラーイエローの尾上逢魔。間違いありませんか?」
「間違いありません」
「ああ」
確認に軽く頷くとデッキを腰に付けたポーチから抜き出し、デュエルディスクに差し込む。
「では、デュエル開始!」
「「デュエル!」」
「先攻は俺がもらう!」
また取られた……。先攻を取れたためしがないんだが。
「俺はハイドロゲドンを通常召喚。カードを二枚伏せてターンエンド!」
水でできた蜥蜴が現れ、こちらを威嚇してくる。何と言うか……凄い懐かしいカードだ。
「俺のターン、ドロー。カードを二枚伏せ、さらにカードカー・Dを召喚。このカードは召喚されたメインフェイズにリリースすることで二枚ドローできる。ただし、そのままエンドフェイズになるが」
「強欲な壷を使えばいいんじゃないか?」
「……こだわりだ」
OCGでは禁止なんです……なんて言えないよなぁ。
「俺のターン、ドロー! オキシゲドンを通常召喚。さらに二重召喚を発動する。これで俺はもう一度召喚ができる。これで俺は二体目のハイドロゲドンを通常召喚する」
風のようなもので構成されているトカゲが登場する。
これで水素が二つ。酸素が一つか。
「バトル! 行けっ、ハイドロゲドン!」
水でできた蜥蜴が突進してくる。合計攻撃力は5000。すべて通せばゲームセット。もちろん、そんなことは有り得ないが。
「手札のバトル・フェーダーのモンスター効果を発動する」
「手札からだと!?」
いや、そこまで驚かなくても……。まあ、この時代には少ないか……手札から発動できるカード。
「相手のダイレクトアタック宣言時、手札から特殊召喚しバトルフェイズを終了させる」
「くっ……ターンエンド」
「俺のターン、ドロー。手札抹殺を発動する」
四枚捨てて四枚ドロー。
これで準備は整った。
「墓地の闇属性、異界の棘紫竜をゲームから除外し輝白竜ワイバスターを特殊召喚」
白く輝く竜が登場し、周囲が沸く。やはりドラゴン族はかっこよく、人気らしい。
「二体のモンスターをいけにえに百獣の王ベヒーモスを通常召喚」
バトルフェーダーとワイバスターが光に包まれ、次の瞬間には無駄な威圧感を持つ巨大な獣が堂々たる姿を現した。……デカイ。
「墓地に送られた輝白竜ワイバスターの効果。デッキから暗黒竜コラプサーペントを手札に加える。さらに百獣の王ベヒーモスの効果により、いけにえに使用したモンスターの数だけ墓地の獣族モンスターを手札に戻すことができる。よって墓地のアンドロ・スフィンクスとスフィンクス・ティーレイアを手札に戻す。さらに伏せカード、光のピラミッドを発動する」
白く輝くピラミッドが俺の背後に展開される。さすがは劇場版の敵のカード。演出がかっこいい。
「綺麗なカードだな……それはどんな効果があるんだ?」
エアーマンも見惚れている。
「このカード自体にはデメリット効果しかないだが……こんなことができる。手札のアンドロ・スフィンクスはフィールド上に光のピラミッドが存在する場合、ライフを500ポイント払い特殊召喚できる」
4000→3500
「攻撃力3000!?」
光のピラミッドから音もなく現れたアンドロ・スフィンクスは音もなく俺の前に着地した。
「ただし、この召喚によって特殊召喚するとこのターン、アンドロ・スフィンクスは攻撃することはできない……だが」
「だが?」
「こうすればいい。墓地の光属性、輝白竜ワイバスターをゲームから除外し暗黒竜コラプサーペントを特殊召喚」
先程のワイバスターと違って真っ暗なドラゴンが現れる。こちらにも歓声が上がった。
「そして闇属性のドラゴン族、暗黒竜コラプサーペントと獣族、アンドロ・スフィンクスを融合する」
「融合も使わずに融合だと!?」
モンスターだけで融合するなんて剣闘獣やネオスくらいしかテーマがないから珍しいかな。
「ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴンを融合召喚する」
これから来るかも知れない未来。あっちの世界では遊戯王ARC-Ⅴと呼ばれる時代の主人公、榊遊矢のエースモンスター、オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンの進化形態。
獣のような眼光をもって周囲を睥睨しながら登場した。
「墓地に送られた暗黒竜コラプサーペントの効果でデッキから輝白竜ワイバスターを手札に加える」
説明は死亡フラグなのでそのまま行かせてもらおう。
「バトルだ。ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴンでハイドロゲドンを攻撃する」
ビーストアイズは目を鋭く光らせると野獣のような叫び声をあげ、猛然とハイドロゲドンに向かって突進を開始した。しかし、エアーマンはあくまでも冷静にそれを見つめている。
「通しても堪えきれる……か?いや、しかし……トラップカード発動。アモルファス・バリア! 自分フィールド上にモンスターが三体以上存在する場合、その戦闘を無効にし、バトルフェイズを終了させる」
攻撃の無力化の弱体化バージョンか。
ATフィールドのようなものに阻まれてしまった。
「……カードを一枚伏せ、ターンエンド」
「くっ……わかっていたが、強い。あれだけやって手札が全然減っていないな。俺のターン、ドロー! 俺は強欲な壷を発動して二枚ドローする。そしてサイクロンを発動。光のピラミッドを破壊する。それを残しておいたら危険だ」
「まあ、このデッキの中核だからな。だが……」
当然、中核のカードには保険は付き物だろう?
「永続トラップ、宮廷のしきたりを発動。これにより、このカードが存在している限り、このカード以外の永続トラップカードは破壊されない」
サイクロンによって発生した竜巻は宮廷のオッサンによって弾かれてしまった。
「くっ……だが、ボンディングH2Oを発動させてもらう! これによりウォータードラゴンをデッキから特殊召喚する」
ハイドロゲドン二体とオキシゲドン一体が混ざり合い、水でできたドラゴンが雄叫びをあげる。
「ウォータードラゴンでベヒーモスを攻撃する!」
3500→3400
ふむ……まだ眼光は死んでないな。
「これで俺はターンを終了する」
この顔をした原作キャラは怖いな。次のターンで決めさせてもらおう。
「俺のターン、ドロー。墓地の暗黒竜コラプサーペントをゲームから除外し、輝白竜ワイバスターを特殊召喚。さらにライフを500払い、スフィンクス・ティーレイアを特殊召喚する」
3400→2900
「……くっ、これ以上は出させん! トラップカード、激流葬! モンスターが召喚、特殊召喚された時、フィールド上のすべてのモンスターを破壊する!」
流れに巻き込まれ、フィールド上のモンスターがすべて落ちていく。俺は無言でデッキから暗黒竜コラプサーペントを手札に加えた。
「これでお前のフィールド上にはモンスターがすべて消えた。対して俺のフィールド上にはウォータードラゴンの効果で特殊召喚された三体のモンスター。さらにお前の手札は残り三枚。これで形勢は逆転したぞ」
なるほど。相手のフィールド上にはオキシゲドンが一体、ハイドロゲドンが二体いる。いずれも警戒してかオキシゲドンを除いて、守備表示だ。
さらに手札の一枚は暗黒竜コラプサーペントだと判明している。
コラプサーペントの攻撃力は1800でオキシゲドンと同じ。俺のライフは2900。エアーマンが何らかのモンスターを出せば勝ちと。……非常に甘い。
「魔法カード、マジックブランター。効果で宮廷のしきたりを墓地に送って二枚ドロー。さらに輝白竜ワイバスターをゲームから除外し暗黒竜コラプサーペントを特殊召喚する。暗黒竜コラプサーペントをいけにえに百獣王ベヒーモスを妥協召喚。ベヒーモスの効果で墓地のアンドロ・スフィンクスを手札に戻す。ライフを500払い、アンドロ・スフィンクスを特殊召喚」
2900→2400
「手札三枚からそこまで……だが、アンドロ・スフィンクスは攻撃できないし、闇属性のドラゴン族モンスターも存在しない。それでどうするつもりだ?」
「ならこうしよう。簡易融合を発動する。ライフを1000ポイント払い、俺は暗黒火炎竜を特殊召喚だ。そして暗黒火炎竜とアンドロ・スフィンクスで融合召喚、ビーストアイズ・ペンデュラムドラゴンを再び出す」
2400→1400
どうでもいいが野獣の眼と聞くと5D's編に出てきたチームホモコーンの焼き肉のタレを思い出す。……背筋が寒くなった。
「バトル。ビーストアイズ・ペンデュラムドラゴンでオキシゲドンに攻撃する」
ビーストアイズは野獣の眼(寒気)を光らせるとオキシゲドンに向かって突撃。一度跳躍し、オキシゲドンの後ろに回り込むとそのまま頭からオキシゲドンの尻に向かって突っ込んだ。
……どこからツッコミをいれたらいいんだろうな。
「くっ……だが、まだライフは残っ……!?」
4000→2800
エアーマンが歯を食いしばりながら顔を上げるとそこに広がるのは視界いっぱいの野獣の顔面。うん、それはビビるわ。こちらからは見えないのだが、あちら側の観客が引いてるので容易に想像できる。
次の瞬間、広がるであろう惨劇(ソリッドビジョン)に軽く頭を抱えたくなりながら、悲劇の引き金を引いた。
「ビーストアイズ・ペンデュラムドラゴンのモンスター効果発動。相手モンスターを戦闘によって破壊した時、融合素材に使用した獣族モンスターの攻撃力分だけ相手プレイヤーにダメージを与える。このビーストアイズ・ペンデュラムドラゴンの素材にした獣族モンスターはアンドロ・スフィンクス。攻撃力は3000だ」
「なにっ!?3000の効果ダメっぷりだとおおおぉぉぉぁぁぁ!?」
ビーストアイズに頭を丸かじりされて悲鳴をあげるエアーマン。マミりやがったか……。
※ソリッドビジョンです。
「勝者、尾上逢魔。これで試験を終了する」
ふう、終わった。終わった。
後書き
光のピラミッドを利用したビーストアイズデッキです。
……強さは微妙なのでOCGで使うのはちょっとなぁ。効果を最大限利用するという点では評価できます。ただ、ドロー補助が少ないんでいろいろ入れてます、はい。なんだかんだで揃います。妨害されなければ二体ならんだことも。
というわけで原作では十代が遅刻するわけですが、ウチの主人公はそんなことはなかった。
恵は明日香を蹂躙してなんなく勝利。シンクロがなくても負ける気がしない。
次は魔法使用不可デュエルでしたっけ?不動性不動のデュエルをしたいんだけどアレ、シンクロ使うんだよなぁ……。
※この小説はストーリーではなく、デュエル重視です。
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