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ガウチョスタイル

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第三章

 祖母が焼いたステーキをたらふく食った、そのうえで言うのだった。
「やっぱりいいぜ、祖母ちゃんの焼いたステーキはな」
「一キロ食ったな」
「ああ、満足したよ」
 それこそとだ、一緒に食ったフェリペに答えた。
「祖父ちゃんもだろ」
「まあな、痩せの大食いだな」
「育ち盛りだしな」
「俺もそうだったな、若い頃はそれ位食った」
「で、太らなかったんだな」
「そうした体質だな、遺伝ってやつだ」
 フェリペは確かな声でだ、こう言ったのだった。
「背は高くなってな」
「痩せてるってことだな」
「そうだ、そうした遺伝なんだよ」
「太らないどころか痩せ過ぎっていうのはな」
「困るな、しかしそんな御前でもな」
「本当にその服が似合うっていうんだな」
「今から着るぞ、いいな」
 祖父は確かな顔でだ、孫に告げた。
「わかったな」
「ああ、じゃあその服出してくれよ」
 ホセはステーキをたらふく食ってだった、そのうえで。
 期待せずにその服を待った。すると。
 その服は上下共に黒だった、ブーツと帽子までだ。シャツは白でスカーフは赤だった。その服についてフェリペは話した。
「ズボンはボンバチャ、ベルトはディアドール、こっちの幅広帽子はソンブレロというんだよ。ズボン下はカルソンシーリョ=クリバドだ」
「何か色々言うんだな」
 ホセはボレロ風のシャツとベスト、黒のそれを見つつ応えた。
「黒ばかりなのにな、ブーツも黒革だな」
「シャツは白いだろ、それはカミサっていうんだよ」
「へえ、そうか」
「まずはその洋服を脱いでだ」
 そしてとだ、フェリペはホセに告げた。
「カルソンシーリョ=クリバドを穿け」
「ズボン下をか」 
 これは白だった。
「それを穿くんだな、まずは」
「最初にカミサを着てな」
 そのシャツをというのだ。
「わかったな」
「よし、じゃあな」 
 こうしてだった、ホセはまずはトランクスとシャツだけになった。そこからだ。
 その白いシャツであるカミサを着てだった、ズボン下を穿いてだった。すると。
 そこでだ、祖父はさらに言った。
「よし、ブーツを履くが」
「こっちはどうするんだよ」
「ズボン下の裾はブーツに入れろ、それからボンバチャだ」
 ブーツの次にズボンをというのだ。
「それを穿け、それでベルトを締めるんだ」
「随分太いベルトだな」
 黒地で周りが赤い太いベルトだ。
「これをズボンの上から締めるんだな」
「そうだ」
 こうしてだった、ホセはまずはだった。
 シャツとズボン下を着けてだった、そこから。
 ブーツを穿いてだ、ズボンを穿いてベルトも締めてだった。フェリペはそこまで見てからまた孫に対して言った。
「今度はシャツだ」
「ベストが下じゃないんだな」
「ベストは上だ」
 シャツの上から着るというのだ。
「そうして着るんだ」
「ベストの上からシャツじゃないんだな」
「この服は別だ、ガウチョっていうんだけれどな」
「そうか、この服ガウチョっていうんだな」
「全体でな」
 この黒い服一式でというのだ。
「そう呼ぶんだよ」
「そうか、じゃあな」
 ここでだ、ホセは。
 シャツとベストも着た、そこでだった。
 祖父は孫にスカーフも巻く様に言った、帽子を被ることは言うまでもなかった。そのガウチョを全て着た孫を見て。
 フェリペは笑顔でだ、こう彼に言った。
「俺の思った通りだ」
「似合ってるか?」
「かなりな、試しに鏡で自分の姿見て来い」
「ちょっと行って来るな」
 こうして実際にだった、彼は自分の今の姿を鏡でチェックした、そして祖父のところに戻ってこう言ったんだった。 
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