カイン=パンジャン
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第三章
「彼等、彼女達が着こなして好評でないとね」
「意味がないですからね、結局」
「まず彼女達に好評でないと」
「着こなしてもくれませんし」
「制服は大事ですよね」
「日本を見ると」
スンダリはスラバヤにも観光客を送り込んでくるこの国のことも話した。
「高校もね」
「制服ですね」
「制服がいいかどうかですね」
「それが肝心らしいですね」
「あの国は」
「うん、日本の学校は制服が見られる」
特に女の子達にというのだ。
「それがどうかで生徒が着てくれる」
「だから我々もホテルとはいえ」
「着る側の意見を聞いてみる」
「それですね」
「では後は」
「デザイナーの人にもデザインしてもらって」
そしてというのである。
「そのデザインした服をね」
「女性従業員に見てもらって」
「そのうえで決めてもらって」
「着てもらいますか」
「そうしますか」
「私が勝手に好きなデザインを選ぶと」
ここでだ、スンダリが言った例えは。
「北朝鮮の軍服みたいになったらことだよ」
「ああ、あの国の軍服ですか」
「あれはですね」
「どうにも」
「いけませんね」
インドネシアと北朝鮮は実は友好関係にあると言っていい、だがそれと国民の好き嫌いは別でこう話すのだった。重役達も。
「センスがないですね」
「デザインが悪いです」
「帽子や肩章が妙に大きく」
「変な軍服です」
「ああした軍服ではです」
「着ていられません」
「あそこの将軍様が選んだらしいが下手にああした制服を選ぶとホテルによくない」
折角制服のデザインでも人を呼ぼうとしているのにだ。
「だからね」
「着る側の意見も聞いて」
「そして決めますか、正式に」
「既におおよその意見を聞いて決定に近付いていますが」
「正式にはですね」
「よし、そうして決めよう」
こう話してだった、そのうえで。
そのカイン=パンジャンの制服についてだ。デザイナーの人に注文をして実際にデザインしてもらってだった。
そしてだ、女税従業員達に聞くと。
好評だった、それを受けて遂にだった。
スンダリもだ、決定した。
「よし、じゃあね」
「はい、この制服でいきましょう」
「カイン=パンジャンでいきましょう」
「これで」
こうしてだった、ホテルの制服はカイン=パンジャンでいくことになった。そのデザインはというと。
黄色い袖のない上着にだ、長い赤と緑の帯を胸からスタゲンという腰に幾重にも巻いて。
長い腰布をだ、まずは下着の上から布の箸を三角に折って腰に当てたうえで
均等に織り込んだひだは崩さない様んにして巻きつける。作業の時には外すが肩かけのスレンダンは接客の時等には着ける。スレンダンの色は黄色地で黒とオレンジの模様がある、頭には帽子ではなく赤と白の花で飾った冠であるグルンガンがある。
腰布、これこそカイン=パンジャンの名前の由来であるこれはバティックというジャワ島発祥の織物だ、色は藍色でデザイナーの人はそこにジャワ島の草花と鳥達を描いた。靴は黄色だ。
そのデザインのカイン=パンジャンを着た従業員達にだ、スンダリは問うた。
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