オズのベッツイ
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第八幕その九
「食べているのよ」
「そうなの、ただ」
「ウーガブーの国ではですね」
「フランス料理とイタリア料理、ドイツ料理よ」
「その三つですね」
「その三つを食べているから」
だからだというのです。
「他のお料理は食べないの」
「シェフの人にお願いしたらどうですか?」
恵理香はこうアンに提案しました。
「そうしたお料理を作ってくれる様に」
「お願いするでしょ、そしたらね」
「そうしたら」
「焼きそばがスパゲティになるの」
「スパゲティにですか」
「おうどんはペペロンチーノになるの」
「おうどんのペペロンチーノですか」
そのお料理を聞いてです、恵理香は頭の中でお皿の上にスパゲティみたいに置かれていてペペロンチーノのソースを絡められているものを想像しました。
そしてです、こうアンに言いました。
「美味しいそうですね」
「美味しいことは美味しいけれど」
「日本のおうどんではないですね」
「イタリアでしょ」
「はい、イタリアです」
このお国のお料理だというのです。
「私もそう思います」
「シェフの腕は最高よ、けれど」
「その三つのお国のお料理だけしかですね」
「作ることが出来ないの」
「じゃあお刺身も」
「大抵カルパッチョになるわ」
お刺身を作ってもそちらのお料理になるというのです。
「これがね」
「そうなんですね」
「そう、だから和食はね」
「ウーガブーの国の外で、ですね」
「食べているの。他の国のお料理もね」
ウーガブーの国を出たその時にというのです。
「食べてるの」
「それでウーガブーの国で一番召し上がられているお料理は」
「そうね、オムレツね」
「オムレツですか」
「朝はよくそれを食べているわ」
こう皆にお話するのでした。
「目玉焼きもね」
「あっ、目玉焼きは日本でも食べます」
「あれ美味しいわよね」
「はい、とても」
そうだと答える恵理香でした。
「朝は特に」
「シェフはハンバーグの上にも乗せてくれるわ」
「ハンバーグと目玉焼きを一緒にですね」
「食べているの」
「それお母さんも作ってくれます」
恵理香のお母さんがです、そうしたものを作ってくれるというのです。
「美味しいですよね」
「そうでしょ、私ハンバーグも好きだから」
「ハンバーグでしたら」
それならとです、カルロスが言うことはといいますと。
「僕も大好きです」
「貴方もなのね」
「あれも美味しいですね」
「ええ、私も好きだから」
「シェフの方がよく作ってくれるんですね」
「それで楽しんでいるわ」
そのハンバーグをというのです。
「いつもね」
「成程、じゃあ」
「ウーガブーの国に着いたらシェフに作ってもらうわ、貴方達にね」
「何か悪いですね」
「私は遠慮されることは嫌いよ」
アンはカルロスににこりと笑って返しました。
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