| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

俺の知ってる作品でバトルロワイアル

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

30話:ご自由にお持ちください

 G-5エリアにある木で出来た小さな小屋の中。
 伊園美和はバトルロワイアル開始時点はそこにいた。
「‥‥‥飛んでる飛行機の中にいた人間を、こうも簡単に誘拐できるなんてね」
 美和は主催達の持つ技術に呆れるような発言をしたが、内心ではそんなことはどうでもよかった。
 伊園磨知。
 転送される前、あの会場で殺し合いの始まりを告げ、そして一人の男を爆殺した人物。
 そして、美和の姉だ。
 ハイジャックなんかやってた自分が言えたことではないが、正直磨知があんな事をするなんて信じられない。そんな人間には見えなかったのに。
「雨宮くんや、弖虎ならなにか知ってるかもしれない」
 名簿を見て呟く。
 自分が生き残ることはほとんど諦めているが、姉を問いただすことぐらいはしたかった。
 次は支給品の確認をしようと思い、デイパックの蓋を開ける。
 すると、勢いよくでかい金管楽器が出てきた。
「うわ」
 少しびっくりした。
 そして殺し合いにおいてまったく役に立たないそれを見て呆れたように呟く。
「こんなんどう使えって言うのよ」
 両手でその楽器、種類的にはコントラファゴットというのだがそれを美和は知る由もない、を掴んでその重さに悪態をつきながら小屋の中にあるそう大きくはないテーブルに少々乱暴に置く。
 そして残りの支給品を見た。
 刀と、宝石みたいなものがある。
 まあ当たりの方だろう。
 そしてコントラファゴットを放置し、美和は小屋から出ていった。


【伊園美和@多重人格探偵サイコ】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:支給品一式、古青江@School Days、飛行石@ニコニコ動画
[思考・状況]
基本思考:特にやりたいことは無い
1:磨知のことは知りたい
2:死ぬ前に雨宮くんには会っておきたい
3:コントラファゴットは置いていく







 美和が出ていってから二時間後。
 苗木誠を殺害した折原臨也はこの小屋に立ち寄った。
 とりあえず身を隠して食事を摂ろうと思ったのだ。
 入って最初に抱いた感想は勿論、なんでこんなところにコントラファゴットが置いてあるんだろうねえ、だった。
 見た感じ特になにか仕掛けられている訳でも無さそうなのでそのまま座り込んで苗木のデイパックを開ける。
 と同時に中から人間が出てきた。

「うわあっ!?」

 流石の臨也も肝を冷やした。
 まだ身体のほとんどはデイパックに、どうなっているのかわからないが入っている。
 恐る恐る出てきた人間の顔を確認すると、その人間と目があった。顔は白く塗ってあり、丸眼鏡をかけている。
 そして、喋りだした。

「餃子いらんかあー」

 その声は、どうも機械的だった。
「‥‥は?」
 放心している臨也を余所に謎の支給品は餃子を勧めてくる。
 その、妙に機械的な音声に臨也は疑問を抱く。
―――コイツ、ロボットか?
 ロボットの顔を掴んでデイパックから引きずり出す。
 そして立たせてみると、それは異様な姿をしていた。
 一言で言えば、白い全身タイツを着てその上から白い円柱のような衣装を被ったおっさんだ。
 ふと臨也は円柱の部分に取っ手がついていることに気付き、それを掴んで引っ張った。
 中には餃子が入っていた。
「どういうことだよ‥‥‥」
 思わずツッコミを漏らしてから餃子以外にも何か書かれた紙があることに気付き、それを手に取る。
 どうやらこの訳のわからない支給品の説明書らしく、『餃子ロボ。餃子のCQCの店長の成れの果て』と書かれていた。
 ますます意味がわからなくなったが、どうやらその餃子のCQCとやらの店長は壮絶な人生わや歩んだらしい。
 とりあえず臨也は説明書を捨て、当初の予定通り苗木のデイパックからパンを取り出して食べるとすぐに小屋から出ていった。
 無論餃子ロボは置き去りにした。




【折原臨也@デュラララ!!】
[状態]:健康
[装備]:Xガン@GANTZ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品3つ、苗木誠のデイパック
[思考・状況]
基本思考:最優先は自分の安全
1:シズちゃんには会いたくないなあ
2:もし会ったら殺す
3:餃子ロボのことは忘れよう。






 折原臨也が去った更に一時間後。
 超高校級の格闘家、大神さくらはこの小屋に入った。
 何故か猫を抱いて。
「ふむ、少し休むとしよう。アンプ」
 アンプという名前らしい猫に話しかけてそっと撫でる。
 しかし当のアンプはものすごく怯えていた。
(ひいいいいいいい! 頭を撫でるんじゃにゃい! 潰れてしまうぅ!!)
 さくらのゴツゴツとした手で頭に触れられる度、アンプは寿命が縮まるような思いをしているのだ。
 勿論歴戦の戦士であるさくらはアンプの怯えを感じ取ってはいたが、それを殺し合い会場に連れてこられてしまった恐怖だと思っていた。
「むっ! なんだ、あれは‥‥‥?!」
 小屋に入った瞬間、さくらは餃子ロボを目に留め、警戒する。
 その際に放った殺気を間近で浴びたアンプの心臓はさらに鼓動を早めた。
 さくらはアンプを地面に置き、一回撫でてから言った。
「いいかアンプ。もし我に何かあったらすぐに逃げるんだぞ」
(何かにゃくても逃げたいわ!)
 逃げたら逃げたで何かされそうで脚が動かない。
 そしてさくらは餃子ロボが別に危険でないことを確かめると何とか脚を動かそうとしていたアンプを抱き上げて中に入った。
「ふむ、このロボットは餃子ロボと言うのだな」
 説明書を拾い上げてさくらはアンプに話しかける。
 そしてコントラファゴットも発見し、ダンベルにはなりそうもないなとちょっとずれた発言をしながら片手で持ち上げた。
 さくらがコントラファゴットを置き直すとゴンという音がして、その音で寝ていた餃子ロボが起動する。
「餃子食ってけー」
「む? では頂こう」
 オーガと呼ばれた歴戦の戦士はこのくらいでは動じない。
「チーン!!」
 勿論、チーンて明らかに冷凍食品だろそれなんてツッコミもしない。
「ふむ、これは中々旨い‥‥‥」
 しかも食った。それどころか当麻紗綾用のニンニク増量餃子をウマイと言っている。プロテインを主食とする格闘家はやはり常人と違うところがある。
「そういえばアンプは餃子は食えないな。我のパンで良ければ食うがよい」
 差し出されたアンプはおとなしく従って食べる。
 その様子を微笑みながら見ていたさくらだが、ふとデイパックの中に何か特殊な形状の物が入っているのを見つけた。
 取り出して見ると、それはレイピアだった。
「ふむ、我には必要ないな」
 さくらは格闘家である。武器とするには自分の拳だけで十分だし、自分には剣の心得はない。この先レイピアなんて特殊な武器を使う仲間が出来る可能性も低い。
 ならば荷物はなるべく少ない方が良いと考え、レイピアをそっとコントラファゴットの隣に置いた。
 そしてもうひとつ、デイパックの底に何かがあるのを見つけて取り出す。
 感触はDVDのパッケージのようだった。
 そしていざ取り出してパッケージを見るとそこには―――
































クッソ汚い男たちが絡み合っている絵柄があった。
































 これには流石の超高校級の格闘家も硬直する。
 そのタイトルは『真夏の夜の淫夢』とあった。
 説明書と思われる紙を無言で読んでみると、どうやらただのクッソ汚いホモビらしい。
 さくらは説明書を握り潰し、その場に捨てると真夏の夜の淫夢をつかみ、、

「ふん!!!!」

 と、壁にめがけて投げた。
 真夏の夜の淫夢はそのまま真っ直ぐ飛んでいき、やがて壁に突き刺さって止まった。
 その様子を見ていたアンプは心臓が止まりかけていた。



【大神さくら@ダンガンロンパ】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、アンプ@斉木楠雄のΨ難
[思考・状況]
基本思考:主催の妥当
1:アンプももとの場所に帰してやりたい
2:苗木達と合流
3:強い味方が出来れば心強い






 かくして、G-5エリアの小屋には4つの支給品が集まった。そこはもはや支給品置き場と化している。
 いずれもほとんど不法投棄のように棄てられ、誰かに拾われるのを待っている。

コントラファゴット@人間シリーズ
餃子ロボ@SPEC
レイピア@現実
真夏の夜の淫夢@ニコニコ動画

 上記の4つが現在小屋の中にあります。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧