FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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ウェンディ、初めての大仕事 !?前編!!
前書き
序盤、シリルとグレイは遅れてギルドに入ってくるので、グレイのセリフをナツやルーシィたちが代わりにいいます。ご注意ください。
妖精の尻尾にて・・・ウェンディside
「う~ん・・・」
「なかなかこれってのがないわね」
私とシャルルは今、リクエストボードの前で次のお仕事を探しています。だけど、シャルルの言う通り、私がやれそうな依頼がないなぁ・・・
「おかえり」
すると私たちの後ろからミラさんの声が聞こえてくるので、私たちはそちらの方へと振り返る。
「もう次の仕事探してるの?ウェンディも、だいぶうちの仕事に慣れてきたわね」
「といっても、この街の中でも簡単な依頼しかあんたが受付ないじゃないのよ」
「ちょっとシャルル!」
笑顔で言うミラさんと、それに対して言うシャルル。私はシャルルの失礼な言い方に注意する。ミラさんは私たちのことを考えてくれてるんだからそう言うこと言わないの!
「でもシリルは他の街の仕事とかにも行ってるじゃない!!」
「シリルは以前からいろんなところに仕事をもらいにとか行ってたみたいだし、ナツやグレイと一緒に行ってるから」
「そうだけど・・・」
納得がいかないという顔のシャルル。
「それに、小さな仕事で経験を重ねるのも大事だと思うから」
「でもよぉ、そろそろでっかい仕事やってみてもいいんじゃねぇか?遠くの街からの依頼とかよぉ」
すると今度は後ろからナツさんが来てそう言う。遠くの街かぁ。私、そんなに遠くには行ったことないからなぁ。それに・・・
「私、早く大きな仕事ができるようになって、皆さんのお役に立ちたいんです!!」
「ふぅ・・・」
私も大きな仕事ができるようになって、早く胸を張って妖精の尻尾の魔導士だって言えるようになりたい!!それに、シリルにだっていいとこ見せたいもんね!!
「みんなの役に立ちたい・・・か」
「頑張れよ!」
「こういう素直で健気な子を見ると、応援したくなるねぇ」
「頑張ります!///」
私がそう言うと皆さんが優しい言葉をかけてくれました。すごく嬉しいです。
しばらくすると、なぜかハッピーとルーシィさんが追いかけっこを始めてしまいました。ハッピーも逃げるなら最初っから変なこと言わないといいのに・・・
「でも、留守にしてる連中が戻ってきたら、驚くだろうな。こんな小さな子が・・・しかも二人もいて」
「えへへへ・・・」
リーダスさんにそう言われて少し照れちゃいます。シリルも私と見た目の年齢は変わらないからね。
「だな。ギルダーツとか」
「ギルダーツかぁ・・・」
「相変わらず音沙汰ねぇよなぁ・・・あの仕事にいって確か・・・三年くらいたったか?」
「ん?」
ギルダーツ・・・さん?
「心配ねぇだろ。俺たちならともかく、あのギルダーツだからな」
「そうそう。別格だからなぁ」
皆さんそのギルダーツさんのというか人の話を始めました。一体どんな人なんでしょうか?
「そういえば、ちょうどいい仕事があるわよ」
ミラさんはそう言って一枚の依頼書を持ってきてくれました。ちょうどいい仕事って、どんな依頼なんでしょうか!
「心を癒してくれる魔導士を探してるんだって。報酬はそこそこだけど、ピッタリじゃない?」
心を癒してくれる魔導士ですか!?それなら私にもできそうです!!
私はミラさんから依頼書をもらいました。
「なんだなんだ?オニバスの街か?どんな依頼だ?」
私はもらった依頼書を手にとって読み始めます。
「えーっと・・・ありがとうございます?」
「「「!?」」」
なぜいきなりお礼なんでしょうか?するとナツさんとルーシィさんがいきなりのお礼わ聞いて固まってしまいました。
「いきなりお礼?」
「カァーーー!!思い出したーー!!なんか思い出してきたーー!!」
ナツさんが何かを思い出して怒り始めました。昔もこんな依頼があったんでしょうか?
「劇団の役者に逃げられ、舞台の公演も失敗続き、心も体もズタズタです。私を元気づけてください。
ラビアン」
「ラビアン、って誰だっけ?」
「シェラザード劇団の団長だよぉ!!」
「ほら、前にお芝居やったでしょ?」
「ああっ!!フレデリックとヤンデリカ!!」
ナツさんとルーシィさん、そしてハッピーが暗くなってしまいました。嫌なことでも思い出したんでしょうか?
「ウェンディ!悪いことは言わねぇからやめとけ!!」
「とっても人使いが荒いんだよ・・・」
「しかも低賃金重労働・・・しかもなかなか帰してもらえなかったのよぉ・・・」
ナツさんたちが口々にそう言う。そ・・・そんなに大変だったんですね・・・
「私も反対よ。何もそんな仕事じゃなくても・・・悪い予感もするし・・・」
「シャルルの予感はよく当たるけど・・・」
皆さんにそう言われると少し不安になっちゃう・・・けど・・・
「でも・・・私で役にたてるなら・・・」
「あなたは人が良すぎるのよ。大体、行ったこともない街で大きな仕事なんて・・・あなたじゃまだ無理よ」
「そんなことない!!私もちゃんと依頼を果たしてみせる!!」
「なら、好きにするといいわ!私はついていかないから・・・」
「ちょっとちょっとぉ!?なんであんたたちがケンカになるの!?シャルルもそんなにカリカリしなくていいでしょ?」
「ふん!!」
私とシャルルが言い合っているとルーシィさんが間に入る。シャルルの予感は確かによく当たるけど・・・でも私だって一人でできるはず!!
「私、このお仕事を引き受けます!!」
「ちょっと待って!!まさか一人でいくんじゃ・・・」
「はい!何事も経験ですから!」
ミラさんは心配そうに言う。でも、何事もやってみないとわからないよね?まだシリルはナツさんやグレイさんと一緒に行ってるみたいだし!私の方が先に一人でお仕事できるようになるぞ!!
「待て待てー!!」
するとマスターが叫ぶ。やっぱりダメなんでしょうか?
「ウェンディもようやくこのギルドのやり方に慣れてきたばかりじゃ。いきなり一人で遠くにやるわけにはいかん!」
マスターはそう言ってお酒を飲みながら周りを見回す。
「前もいったことのあるもの・・・そうじゃなぁ・・・ハッピー!!」
「オイラ!!」
マスターに指名されて驚くハッピー。
「うむ。んっ!それにフリード、お前も手が空いてあったな。手を貸してやれ」
「マスターのご指示とあらば」
「ええ~!!?」
「「なんでフリード!?」
フリードさんが指名されたことにナツさんたちが驚く。フリードさんとはあまり話したことがなかったので、これを機に親しくなれたらいいですね。
「それに・・・気心の知れた者も行かせたいが・・・」
マスターがナツさんたちを見るとあからさまに視線を反らす。そんなにこのお仕事嫌なんでしょうか?
すると
「ただいま」
「ただいま帰りました」
「たっだいま~!」
ギルドの扉からグレイさん、シリル、セシリーが帰ってくる。するとマスターがそれを見る。もしかしてシリルも一緒に行くのかな?シリルに成長したところを見せるにはいいかもしれない!!
「ちょうど良い!!お主も行ってやれ、セシリー!!」
「何が~??」
「「「なんでセシリー!!!?」」」
シリルじゃなくてセシリーだった。ハッピーと同じ猫だからかな?ハッピーとセシリーは仲がいいし、そういうのも考えてるのかな?
こうして私はハッピーとセシリー、そしてフリードさんと一緒にオニバスの街に向かうことになりました。
ギルドの前にて・・・シリルside
「それじゃあ、行ってきます!!」
「むぅ・・・」
今はウェンディの見送るためにギルドの前に来ている。シャルルが怒ってるみたいだけど・・・ウェンディも頑張らなきゃならないんだからしょうがないじゃん。
「よし、行ってきな」
「フリード。ウェンディのことをちゃんと守ってあげてよ~」
「心配無用だ。任せておけ」
「必要以上の手出しはいかんぞ。ウェンディの勉強にならんからな」
「あいさ~・・・」
「了解で~す!」
マスターがフリードさんたちに言う。ハッピーが暗くなってるけど、そんなに前に仕事した時の印象が悪かったのか?
「ふんっ!」
ウェンディがシャルルを見るとシャルルはそっぽを向いてしまう。ウェンディはそれを見て悲しそうな顔をしたあと、オニバスの街へと歩いていく。
「本当に大丈夫かな?」
「フリードが一緒なら、心配ないと思うけど・・・」
「でもあいつも、変に融通利かないっていうか、マイペースなところあるからねぇ・・・」
ルーシィさん、リーダスさん、カナさんが心配そうに言う。まぁ確かに心配だけど・・・
「心配ないですよ。ウェンディはああ見えて、結構しっかりしてますから」
「そうだぞ~。心配することねぇよ」
俺が言うとナツさんも同意してくれる。ただ、シャルルはウェンディが歩いていくのを見て、すごく心配そうな顔をしていた。
マグノリア駅にて・・・ウェンディside
『オニバス行きの列車は、線路の破損事故のため運休です!!繰り返します!オニバス行きは運休です!!』
駅についてオニバス行きの列車に乗ろうと思ったんですけど・・・どうやら運休みたいです。
「さっそく試練だな。どうする?ウェンディ」
フリードさんに問いかけられる。う~ん・・・
「オイラとセシリーさぁ、飛べるから一気に空飛んで連れてってあげようか?」
「ウェンディとフリードくんは僕とハッピーでちょうど運べるよ~」
ハッピーとセシリーがそう言ってくれる。でも・・・
「ううん。今度の仕事はできるだけ自分の力でやり遂げたいの。だから、オニバスまで歩いて行こうと思うの!」
「えぇー!!?めちゃくちゃ時間がかかるよ!?フリードも止めてよぉ」
「確かに・・・その通りだな」
フリードさんもハッピーに同意する。やっぱり難しいかな?
「ほら!フリードもこう言ってる」
「俺も歩こう」
「えぇ・・・!?」
フリードさんは私に賛成してくれてたみたい!!ハッピーは心底驚いてるけど。
「この仕事は、ウェンディの気持ちを尊重する。マスターに言われた。それが、いわばルールだ。ルールは守らねばならん」
「ありがとうございます!!フリードさん!!」
この依頼は私の気持ちを尊重してくれるのか~!!フリードさんって優しい方なんですね!!
「頭固すぎ・・・」
「そんなこと言ってないで!早く行くよ~」
セシリーも私に任せてくれるみたい。ハッピーは絶望みたいな顔してるけど、今回は自分の力で絶対達成するんだもん!!頑張ろう!!
とある山にて・・・
「この距離歩くの~・・・」
「いいじゃん別に~。運動は大切だよ~」
「そうだけどさぁ・・・」
ハッピーは相変わらず歩きたくないみたい・・・ちょっと悪いことしちゃったかな?
「正確に言えば、お前は歩いているのではなく、飛んでいるわけだが?」
「どっちもあんまり変わんないよ!!」
「言葉は正確に使うべきだ。術式を使う俺には、言葉の大切さがよくわかる」
「は・・・はい!!」
「そんな話今されても・・・」
フリードさんの説明にセシリーが珍しく語尾を伸ばさずに返事した!?というか、そんなことより
「いきましょ?急がないと日が暮れちゃいます」
「よ~し。レッツゴー!!」
私たちはオニバスに向かって歩き始めました。
―――――一方、妖精の尻尾にて・・・シリルside
「何!?あの劇団からまた依頼!?」
「そうなの。ついて行こうと思ったんだけど・・・マスターに止められちゃって」
エルザさんとルーシィさんが何やら話している。すると・・・
「あ!え!い!う!え!お!あ!お!」
突然エルザさんが発声練習を始める。どうしたんだ?
「なんで発声練習?」
「備えあれば憂いなし」
「何の備え?」
「マスターの言うこともわかるが、しかし、やはり四人だけでは心配だ。私もあとを追おう!」
そう言うエルザさんはどこからかたくさんの荷物を取り出す。どこにあんなの持ってたんだ!?てか何ついていく気満々なんですか!?
「ちょちょちょっと待てお姉さん!!」
「どうしたシリル」
「なんか今の変だったわよ」
すみません・・・一回やってみたくて・・・というかそんなことより!!
「ウェンディなら大丈夫ですよ!たぶん・・・」
「自信持って言いなさいよ!!」
いや・・・正直なところ心配だし・・・あれ?
「そういえば・・・オニバス行きの列車って今止まってたような・・・」
「え!?」
俺の言葉にルーシィさんが驚く。
「それ本当!?」
ミラさんこちらにやってくる。
「はい。帰ってくるときアナウンスしてました」
「だったら・・・ちょっと見てきてくれない?エルザも行くみたいだし」
「えぇ・・・いいのかな?」
「わかったぞミラ!!行くぞシリル!!ルーシィ!!」
「わかったわ!」
「エルザさんは別の目的のような気がしてならないんですけど・・・」
ミラさんに頼まれたし・・・本音を言えばウェンディも心配だし・・・ここはちょっと様子を見に行こう!!
「わかりましたミラさん!シャルルも行く?」
俺はカウンターに腰かけているシャルルに聞く。
「まったく・・・おせっかいなんだから。ついて来なくていいって言ってるんだから、ほっとけばいいのよ!!」
シャルルはそう言いながらカウンターから立ち上がると俺たちと一緒にギルドから出ていく。
「そもそも、どうしてオニバスの仕事なんか受けるのよ。遠くに行けばいいってもんじゃないでしょ?まったく時間の無駄」
「とかいいながら、ついてきてるじゃない」
「ウェンディのことだから、セシリーたちの力は借りず、徒歩で向かってるはずよ。長旅になりそうね」
シャルルはなんか言ってるしエルザさんは発声練習してるし・・・
「ルーシィさん・・・俺、ウェンディたちよりも俺たちの方が心配なんですけど・・・」
「それは私も思ったわ・・・」
こんなので俺たち・・・大丈夫なのかな?
森の中にて・・・ウェンディside
私たちは今、森の中を歩いています。フリードさんたちも一緒に歩いてくれてます。
「すみません・・・私のためにフリードさんたちまで・・・」
「仲間のためだ。気にするな」
「僕も全然平気だよ~」
フリードさんとセシリーがそう言ってくれるので少し気が楽になる。
「ねぇねぇ~。少し休もうよ~」
ハッピーはお疲れみたい。本当は休んであげたいけど・・・
「でも、雨が降りそうだから急ぎましょ。私、空気の流れが読めるんです」
「まさか~。こんなにお天気なのに~?」
「ハッピー・・・ウェンディが言うってことはたぶん降るよ・・・」
セシリーかそう言うと頭にポツポツっと水滴が落ちてくる。やっぱり降ってきちゃった!!
「なんだこの天気ー!?」
「早く雨宿りしないと!!」
「風邪引いちゃうよ~」
私たちはどこか雨宿りできるところを探す。すると近くに洞窟があるのを見つける。あそこに隠れよう!!
「ハッピー!!セシリー!!あの洞窟に隠れよ!!」
「あいさ~!!」
「わかった~!!」
私たちは急いで洞窟に飛び込む。よかった~、これでみんな無事に雨宿りでき・・・あれ?フリードさんがいませんよ?
私たちが外を見るとそこには立ち止まっているフリードさんがいる。
「ラクサース!!」
「フリードさーん!!こっちですー!!」
私が呼ぶとフリードさんもこちらに気づいて走ってくる。何か叫んでましたけど・・・どうしたんでしょうか?
「よかった。やはり、手を貸さなくて正解だった」
洞窟に入ったフリードさんは服についた雨を払いながら何か呟きました。
「ん?何ブツブツ言ってるの?」
「フッ。わからなくていいことだ」
「フリードの頭の中ってどうなってるんだろう・・・」
「きっといろいろ考えてるんだよ~」
ハッピーたちも何か言ってるけど・・・しばらくこの雨は止みそうにないなぁ・・・シリルがいたら雨も大丈夫だったのに・・・
――――そのシリルたちは・・・シリルside
ウェンディたちのあとを追って歩いていると・・・何かの匂いを感じる・・・この匂いは・・・
「皆さん!雨が降ってきそうですよ」
「何!?本当か!?」
「まさか~。こんないい天気なのに」
俺がそう言うとエルザさんは荷物の心配をし始め、ルーシィさんは冗談だと思ったみたいだ。
「シリルがそう言うってことは・・・」
シャルルはそう言いながら空を見上げる。するとさっきまで青かった空は雨雲によって見えなくなる。
「やば!!開け!!時計座の扉・・・ホロロギウム!!」
ルーシィさんはそう言ってホロロギウムを召喚する。どうしたんだ?
現れたホロロギウムにルーシィさんは素早く入り込む。
「「みんなも早く入って!!濡れちゃうわよ!!」と、申しております」
「必要ないわ」
「大丈夫ですよ。ルーシィさん」
「「え?それはどういうこと?」と、申しております。
ホロロギウムって一々中にいる人の言葉を代弁しなきゃいけないのが大変そうだな・・・
俺たちが話していると雨が降ってくる。だけど・・・その雨は俺には当たらないようにできるんだよね♪
だって俺は水の滅竜魔導士!つまり水は俺にとってはなんてことのないもの。
「はぁっ!!」
俺は空に手を向け魔力を使い、雨が俺たちに降ってこないようにコントロールする。魔力を消耗するけど、今はバトルとかでもないから問題ない。
「すごい!!全然雨が当たらない!!」
「これなら衣装が濡れなくて済むな」
ホロロギウムを閉門したルーシィさんとエルザさんが言う。ウェンディたちはどうしてるのかな?早く追いかけないと!!
「皆さん。ウェンディたちを追いかけますよ」
「うん!」
「そうだな」
「まったくもう・・・」
俺たちは再びウェンディたちを追いかけ始めた。
後書き
いかがだってしょうか。ちょっと長くなりそうだったので前編と後編に分けさせていただきます。次回もよろしくお願いします。
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