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ドリトル先生と二本尻尾の猫

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第七幕その十

「その漫画も酷いからね」
「先程お話した大学の先生や思想家さんみたいにですか」
「うん、酷い漫画だから」
「そこに描いていることはですか」
「評価していないよ」
「じゃあアメリカ産のオレンジも」
「食べよう」
 一緒にとです、先生はトミーに笑顔でお話しました。
「是非ね」
「それじゃあ」
「オレンジもいいよね」
「健康にもいいですしね」
「ビタミンが沢山あってね」
 ここで先生はそのビタミンからこんなことを言いました。
「食べると壊血病にならないし」
「壊血病は怖いですね」
「うん、日本では殆どなかった病気だけれど」
「欧州ではかなりあって」
「沢山の人が死んだからね」
「特に航海の時は」
 海にいるとです、どうしても食事が偏ってしまってだったのです。
「凄かったね」
「大航海時代にしても」
「だからね」
「ロイヤル=ネービーもライムを配ってましたね」
 壊血病の予防の為にです。
「搾ってラム酒に入れて」
「そうしていたよ」
「そうでしたね」
「十八世紀の終わりになってからだけれどね」 
 そうしてライムを配っていたのはです。
「そうだったけれどね」
「それで、でしたね」
「うん、ロイヤル=ネービーも壊血病を防いでいたんだよ」
「それだけ大変だったんですね」
「そうだよ、けれど日本ではね」
 この国はどうかといいますと。
「壊血病が殆どなくて」
「こうした心配もなかった」
「そうなんだよ」
「それだけでもかなり幸せですよね」
「そうだね、冬には蜜柑があるから」
「蜜柑も美味しいですよね」
 ここで二人共晩御飯を食べ終えました、そしてトミーはそのデザートのオレンジを持って来てそれからです。
 ナイフでそれぞれ四等分してです、先生にお皿の上に乗った一個分のそれを差し出してからまた笑顔で言いました。
「あちらも」
「そうだね」
「如何にも日本の果物という感じで」
「あれも美味しいよ」
「そしてその蜜柑があるから」
「うん、そうだよ」
 それで、というのです。
「日本では壊血病が殆どなかったんだ、他にもお漬物やもやしもあるから」
「そうしたものも食べるから」
「壊血病にならないんだよ」
「お野菜も果物も食べないと」
「そういうことだからね」
「日本はそのことも大丈夫だったんですね」
「ずっとね」
 それこそ昔からです。
「そうだったんだよ」
「じゃあ今度は蜜柑を買ってきます」
「あっ、ここで話して」
「食べたくなりましたから」
 だからこそというのです。
「買ってきますね」
「じゃあ頼むよ」
「その様に」
 トミーは先生に笑顔で応えつつそのオレンジを食べます、オレンジはみずみずしくしかもとても美味しいです。
 そのオレンジを食べてです、先生も言いました。
「うん、確かにね」
「美味しいですね」
「そうだね、アメリカのオレンジも」
「それで今度は」
「日本の蜜柑をだね」
「買ってきます、ただ」
「ただ?」
「何処の蜜柑がいいですか?」
 ここでこう先生に尋ねるのでした。 
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