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ドリトル先生と二本尻尾の猫

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第七幕その八

「早い、安い、美味しいってね」
「三拍子揃っていますね」
「そう、だからね」
「先生は牛丼もお好きなんですね」
「うん、最近あれもよく食べるよ」
「お昼に」
「日本では牛丼はカロリーが高いって言われてるけれど」
 それでもだというのです。
「イギリスではね」
「ヘルシーな食事ですね」
「アメリカのそれと比べるとさらにね」
 カロリーが少なくてヘルシーなお料理だというのです。
「いや、美味しいしヘルシーだし」
「お好きですか」
「うん、定食もね」
 そちらもだというのです。
「好きだよ、お野菜も食べているしね」
「御飯と一緒に」
「本当に御飯を食べることが多くなったよ」
 日本に来てから暫く経ってというのです。
「そうなったよ」
「御飯をですね」
「そうだよ、朝だってね」
「そうそう、朝は」
「御飯を食べることがですね」
「多くなってきたね」
 朝食もです、先生は変わってきているのです。イギリスにいた時はパンかオートミールでしたがそれが、なのです。
「とてもね」
「そうですよね」
「食べると身体も温まるし」
「パンと比べても」
「いいよ、そういえば昔日本でね」
 ここで先生は御飯を食べつつです、そのお顔を少し曇らせてです。
 そうしてです、こうしたことも言いました。
「先進国は何処もパンだとかお米を食べると頭が悪くなるとか言った大学の教授がいたね」
「それ科学的根拠は」
「ないよ」
 全く、とです。先生はトミーにはっきりと答えました。
「そんなことはね」
「それで何でそんなこと言ったんですか」
「どうもとある場所からお金を貰ってたんだよ」
「お金をですか」
「それで嘘を言っていたんだよ」
「学者がそんなことをしたら」
「もう学者じゃないよ」
 もうそれで、です。学者から嘘吐きになってしまうというのです。
「それで戦後日本ではパンを沢山食べる様になったけれど」
「御飯をないがしろにして」
「そうした話もあるんだ」
「とんでもないお話ですね」
「うん、日本はとてもいい国だけれど」
 それでもというのです。
「知識人はね」
「あまり、なんですね」
「よくない人が多いね」 
 そうだというのです。
「僕が見たところね」
「そこが困ったところなんですね」
「第二次世界大戦が終わってから」
 その時を境にして、というのです。
「急に知識人の質が悪くなって」
「今もなんですね」
「日本の知識人とマスコミは世界でも最低だと思うよ」
 そこまで酷いというのです。
「テロを起こしたカルト教団の教祖を偉大な宗教家とか最も浄土に近いとか言った人が戦後最大の思想家って言われていた位だから」
「えっ、それ本当ですか!?」
 先生のそのお話にトミーは思わず目を丸くさせてしまいました。
「テロを起こした人をですか」
「それで多くの犠牲者が出たよ」
「そんな人を偉大とかですか」
「本気で言っていたんですよ」
「それは絶対におかしいですよ」
 トミーは仰天を隠せませんでした、幾ら何でもそれはあまりにも酷いと思ってそれで。
「そんなことは」
「そうだよね」
「あの、そんな人がですか」
「戦後最大の思想家と言われていたんだよ」
「酷いなんてものじゃないですよ」
 今度はこう言ったトミーでした。 
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